2018-05-22-yuya-kubo(C)Getty Images

“ストライカー”として完全復活!久保裕也はW杯イヤーをどう過ごしたか?【日本代表×当落線上の男たち】

久保裕也にとって今季は決して平坦ではなかった。だが、シーズン終盤、残り3試合になって、“ストライカー”久保裕也が復活した。

 今季の久保を振り返ると、4つのタームがあった。第1タームがハイン・ファンハーゼブルーク前監督時代、第2タームがイベス・ファンデルハーゲ新監督就任からトップ下定着まで、第3タームがベンチに回った時期、そして第4タームがスタメン復帰してワントップで起用されるようになった最終盤だ。

■ケガで出遅れ…

 昨年夏、今季が始まった段階で久保は昨年6月の日本代表活動時に負ったケガからの復帰途上にあった。コンディションが万全でない中でプレーも精彩を欠いており、なかなか得点を決めることが出来ないでいた。今季初ゴールが生まれたのは第7節。9月17日のアウェー、オーステンデ戦まで待たなくてはならなかった。ただ、当時低調だった久保と歩調を合わせるようにチームもまた低迷。結局、9月27日にファンハーゼブルーク監督が辞任することになってしまった。負傷からの復調に時間を取られ、その間に監督が交代するまでの時期が、久保にとっての第1タームだった。

第2タームは、ファンデルハーゲ新監督が就任してから始まる。新たな指揮官は、当然ながらチームを掌握する過程で様々な試行錯誤をする。当初、久保はケガ人等のチーム状況もあってサイドハーフで使われた。だが、程なくトップ下に定着するようになる。監督はしばらくスタメンと4-2-3-1のフォーメーションを固定。チームの基盤創りを優先させた。すると低迷していたチームは守備が安定し、結果が出せるようになって順位を上げていった。ところが年が明け、ケガ人が次々に戦列に戻ってくると久保の立場が危うくなってくる。監督もまた、ダブルボランチで4-4-1-1気味だったフォーメーションからアンカーを置いた4-1-4-1へと変更しようとしていた。こうなってくるとトップ下なり2列目の選手は、セカンドストライカーやシャドーストライカーというより中盤の一人という役割をより強く求められることになる。そしてレギュラーシーズンが終盤を迎える頃に久保は徐々に出番を失うようになっていった。

■ベンチからワントップへ

 第3タームは、レギュラーシーズン終盤からプレーオフ1が始まる時期。久保はベンチに回ることが多くなっていた。プレーオフ第1節のアンデルレヒト戦でも久保はベンチスタートだった。

 「(ベンチなのは)前日練習で分かっていました。もう今の監督は完全にトップ下も中盤と考えているので、そういう中盤扱いでしっかりと守備もしないといけないというところはあります。それも考えながらやらないいけない」。

久保はこの試合で途中出場すると後半41分に自らの蹴ったPKのこぼれ球を押し込んで得点を決めている。スタメンを外されながら、虎視眈々と捲土重来の時を伺っていた。

ヘントはプレーオフ1で第1節、第2節で2連勝を飾る最高のスタートを切る。だが、調子が良かったのはそこまでだった。第3節でスタンダールに0-1で敗れると、続く4節ヘンク戦では0-0の引き分け。内容も低調になっていった。第5節もまたシャルルロワに1-2で敗北。この試合では久保のゴールだけが光明だった。6節スタンダール戦では1-3と惨敗。この試合で久保はイエローカードを出されて累積で次節出場停止に。久保不在の第7節、ヘントはシャルルロワに0-1とまたしても敗戦を喫した。

そして、第4タームを迎える。得点を決め切れず、守りきれなくなっていたヘントのファンデルハーゲ監督はテコ入れを図る。プレーオフ第7節、ヘンク戦で久保をワントップとして起用したのだ。久保は前半15分に先制点を決めている。この試合は1-1の引き分けに終わったものの、続く第8節アンデルレヒト戦でヘントは1-0と勝利。実に7試合ぶりの白星を手にした。久保はこの試合でもワントップで起用され、切れのある動きを見せていた。

試合後、ワントップはどうですか? という質問に「いやー、ロングボールが多いとキツいですけど、グラウンダーで来たらなんとか行けるかなという感じです」と答えた久保の表情は、その謙虚なコメントとは裏腹に充実した様子だった。

「ワントップというより、守備のときは完全に下がりますし、自由に動いていい感じなので。最初の入りはワントップという形ですけど、そんなにワントップ、ワントップしてないかなと思います」

 中盤的な起用をされていた時に感じていたストレスからは完全に開放されたようだった。

「そういうストレスはないですね。前にポジションを取れば、やっぱりチャンスが増えるので。それだけ決めるチャンスも来るということで、僕にとっては凄い良いですけどね」

ストレスから開放され、ストライカーとして起用されている久保の動きは明らかにキレが増している。

 「やっぱり、前にスプリントする回数が増えれば増えるほど、体もシャープになってくるし、それはかなり違うと思います。落ち着いてプレーできているかなというのはありますね」

■「最低ライン」の目標を達成

 第4タームを迎えて、久保は完全復活を果たした。そんな久保だが、なんだかんだありながら今季10得点、二桁に乗せている。チーム内でもFWロマン・ヤレムチュクと並んでチーム内最多得点者だ。

「最低限ですけどね。昨シーズンは半年で二桁取れてたので。あんまり納得はしていないですけど、最低ラインかなと思います」

プレーオフ1を振り返って、久保はこんな風に語っていた。「チームは1試合目、2試合目、凄い調子が良かったですし、自分もあんまり絡めていなかった。でも、内容は守備的だったので、チャンスは来るなと思っていました。そこから上手くいかない時期が来て。色々変わってという感じでした。色々あるプレーオフだったなと思います。我慢してコンディションを整えて、(チームが)悪い時期に自分が乗れたかなと思います」

 ここに来て“ストライカー”久保裕也が完全復活した。ベンチに回った時期もあったが、今となってみれば、結果論だがコンディションを整えるにはちょうど良い期間だったかもしれない。ロシア・ワールドカップが近づいて来ている今この時になって、久保裕也はまさに絶好調を迎えている。

文=堀秀年

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