ロシア・ワールドカップ、グループE第2節スイスvsセルビアの一戦は、スイスが2-1で逆転勝利を収めた。ゴールを決めたグラニト・ジャカ、シェルダン・シャキリのゴールパフォーマンスが、政治的パフォーマンスの意図があったとして物議を醸している。
試合後、ステファン・リヒトシュタイナーはゴールを決めた2人について「簡単な試合ではなかったけれど、みんなよくやってくれたと思う。スイス代表には多くのアルバニア人がいるし、セルビアとの間には複雑な歴史がある。メンタル的にも難しいものがあった」と賛辞を贈っている。
ジャカとシャキリはゴールセレブレーションで、手をクロスさせて「双頭の鷲」を表現した。これは東ヨーロッパで幅広く使われている紋章で、セルビアとアルバニアの両国では、シンボルとして国旗にも使用されている。これまでバルカン半島ではセルビア人がアルバニア人を迫害してきたことから、対セルビアのゴールパフォーマンスとして使用したようだ。
ジャカの父親はアルバニア系で、ユーゴスラビア紛争で3年以上監禁されたという過去がある。ジャカは両親が移住したスイスで生まれたが、自らのルーツであるアルバニアにナショナリズムを感じているという。
そしてシャキリはコソボ人とアルバニア人の両親のもと、コソボに生まれた。しかし、4歳にして故郷を追われ、難民としてスイスへ移住。後にスイスの市民権を取得している。
一部メディアが報じたところによると、2人のゴールセレブレーションが政治的パフォーマンスとして国際サッカー連盟(FIFA)から、処罰対象になる可能性もあるという。
それでもスイス代表の主将リヒトシュタイナーは次のように語り、逆転勝利の立役者2人を擁護する。
「彼らにとって、セルビアとの関係は特別なものがある。自分もアルバニア系の人物と話し、この歴史がいかに特別なものか教わったよ。これはサッカーの枠組みでは収まりきらない、特別な理由があるんだ」
当のシャキリは「ゴールを決めることができて幸せだが、今このことについて話をする必要はない」と話題に触れなかった。
スイス代表として、セルビア戦でゴールを決めたジャカとシャキリは、ともにアルバニアにルーツを持つ。ゴール後に見せた「双頭の鷲」は、バルカン半島の歴史や自らの出自を踏まえ、特別な意味合いがあったようだ。

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