■ファイナルに到達したCL
iPadを見つめるサディオ・マネの目は輝いていた。我々はアンフィールドのメインスタンドに座っている。『Goal』はセネガル人スター選手に、昨シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)決勝に勝ち上がったリヴァプールの足跡の特集を見てもらった。
「良い思い出だね」ビデオが再生すると、彼はそう言ってほほ笑んだ。
確かに良い思い出だ。彼らのシーズンは落胆のうちに終わりを迎えたが、それまでの戦いは、サポーターを乗せて大冒険の日々だった。ホッフェンハイムからキエフへ、マリボルを経由してモスクワ、マンチェスター…ユルゲン・クロップ率いるレッズはそのスリリングなヨーロッパの旅の中で、幾度も対戦相手に恐怖を抱かせた。長すぎる日陰暮らしを経て、彼らは再び大陸にその名をとどろかせることに成功した。大きく、危険で、魅力的な存在として。
その復活劇において、マネも大きな部分を担っていた。リヴァプールの微笑みの暗殺者は、ピッチの外では信じられないくらい誠実で、柔らかな物腰で話す26歳の青年だ。だがピッチの上では評判以上の働きを見せる。彼自身初のCLという大舞台でもそれを証明してみせた。
CLで10ゴール、固め打ちすることなく得点を積み上げた。グループステージで3ゴール、ラウンド16ではハットトリック、そして大一番としてホームに迎えたマンチェスター・シティとの準々決勝、準決勝ローマ戦では1stレグ、2ndレグでも得点を決めた。レアル・マドリーとの決勝でネットを揺らしたのもマネだ。
ローマのゴール前が画面に映し出される。「なんてこった、アリソン!」新しいチームメートがあがく姿を見てマネは笑う。「ごめん友よ。きっと彼にとっては苦い思い出だろう?ノーチャンスだったからね!」
Goal彼の言う通りだ。昨シーズン、誰もリヴァプールの快進撃を止められる気配はなかった。グループステージではマリボルとスパルタク・モスクワが7-0で完敗。ラウンド16のポルトもホームに迎えたレッズに5-0と叩きのめされた。準決勝で相対したプレミアリーグで記録を打ち立てた王者シティでも2試合合計5-1となす術無し。アリソンがゴール前に立ったローマとの準決勝でも、アンフィールドでの30分足らずで5得点、2試合合計で7ゴールが生まれた。マネは語る。
「僕が過ごした中で一番楽しいシーズンだった。こう言えるだけのシーズンだったと思うよ」
「簡単ではなかったけど、僕たちはベストを尽くしたんだ。グループステージを戦いはじめた頃は誰も僕たちが準々決勝、準決勝まで勝ち上がるなんて信じていなかったよね。でも僕たちはいつだって自分たちを信じていたんだ。すべてをかけたから、この長い戦いを進むことができたんだ」
「当然だけど、CLは世界中のプレーヤー全員にとって夢の舞台なんだ。僕もいつも夢見てきたんだ、本当さ」
「昨シーズンは僕にとってはじめてのCLだった。そこで一生忘れることのできない最高の思い出を作ることができたんだ。僕たちは最高のプレーをした。素晴らしい、本当に最高のチームで、信じられない結果を手にしたんだ。決勝でも最高の結果を目指してトライしたけど、悲しい結果になっちゃったね。でもそれもフットボールの一部だ」
「いま僕たちはそれらをすべて忘れて、今シーズンもう一度決勝を戦えるよう、ベストを尽くすことだけに取り組んでいるよ」一拍おいて、彼はまたほほ笑んだ。「次こそは勝つ、そうだろ?」
■魅惑の攻撃陣
今年のGoal50の18位に入っていることを告げると、マネは再びほほ笑んだ。彼はセルヒオ・ラモスや、ネイマールよりも上位につけている。それだけではない。かつてレッズで共闘したフィリペ・コウチーニョ、セルヒオ・アグエロ、イスコ、ギャレス・ベイル、ルイス・スアレス、パウロ・ディバラと言った選手たちより上に彼の名前がある。
「でもモーより上ってことはないんでしょ?」そう言って笑った。モーとはモハメド・サラーのことだ。残念だけど、今回は彼が上だよサディオ!
サラー(今回3位に輝いた)とロベルト・フィルミーノ(同29位)との彼、この3人の関係性は、昨シーズンのレッズの躍進の鍵だった。そして今シーズンはそれがさらに進化しているかが鍵だ。彼ら3人で、全コンペティションで合計91ものゴールを生み出した。マネは44試合に出場し20ゴール。これはレッドブル・ザルツブルク時代の2014年以来の好成績だ。今シーズンは既に7ゴール挙げており、これは昨シーズンを上回るペースだ。
昨シーズンの快挙に続き、今シーズンのリヴァプールは1990年以来となる目覚ましいスタートを切っている。前線の黄金のトリオは脚光を浴びている。ゴールは既に量産体制。しかし、何が物足りないというのか。パフォーマンスの低下、シャープさ、あるいは効率性? なぜ我々は春先に見た彼らと比べて、物足りなさを覚えるのだろうか?
「素晴らしい選手たちとともにいつも楽しんでプレーしているよ。彼らとともにプレーすることで、僕に簡単にプレーできるんだ!」
「彼らは本当に偉大なプレーヤーなんだ。とても仲が良くて、一緒にプレーできることを愛している。誰かが得点するために出すパスだって愛おしいんだよ。彼らとともにプレーできるのは、本当に素晴らしいことさ」
「ラッキーなことに、みんなが僕やモー、それにボビーのことについて話してくれる。でも僕の仕事はまだはじまったばかりなんだ。僕たちはリヴァプールだ。偉大なチームなんだよ。それが僕たちの礎になっていて、先へ進むための道しるべになっているんだ」
■昨季以上のゴールを
Getty/Goal
昨シーズンの後、どのような期待が湧きあがったか、選手たちは知るべきだろうか。大きなサプライズの中で連敗があった。次に何が起こるか? 人々は求め、期待し、プレッシャーをかけるようになる。前進がなければそれは後退と同じとみなされる。
「僕たちにとってそれはプレッシャーにはならないね、モチベーションだよ。僕たちはまだまだ若い、でも偉大なチームなんだ。これからもベストを尽くすことを目指すよ。でもそれはプレッシャーではないね。プレッシャーは何も助けにならないよ」
「もちろん、昨シーズンは誰も僕たちに期待していなかった。きっと今シーズンは期待してくれることだろう。でもそれが重圧にはならないよ。むしろ、僕らをより良くしてくれるモチベーションだね。必要なことだよ」
「僕ら選手が目指すべきは、少しでも良い選手になることだよ。だからこそ僕たちは一生懸命トレーニングを積むんだ。でも忘れちゃいけないのは、僕たちはチームだってことだよ。そして一番大切なのは、タイトルを獲得することだ。僕のゴールがそれに役立つのなら、モーやボビーの得点も同じだ、それが理想だね」
「もちろん、僕自身昨シーズン以上のゴールを決めたいと思っているよ! でもそれもすべては勝利のためだ」
今シーズンも、トロフィーを勝ち取ることは簡単なことではない。リヴァプールは良いスタートを切ったが、昨シーズン勝ち点100という記録を打ち立てたシティは今シーズンもハイペースで勝ち点を積み上げている。CLでも競争はますます苛烈を極めそうだ。
それでもマネはレッズがやってのけると信じている。彼は信じているのだ。
「僕たちの調子はいいよ。今シーズンとてもいいスタートが切れたんだ。タイトルとかトロフィーのことを話すにはまだ早すぎるね。でも僕たちはどんな試合だって勝てるはずだ」
「簡単だとは思わないよ。手ごわいチームがいっぱいいるからね。マンチェスターの2クラブに、チェルシーだって強敵だ。でも僕たちはリヴァプールなんだ。よそのチームのことに気を向けてなんていられないよ。自分たちのことだけを考えているのさ」
「僕らのファンはいつだって僕たちを助けてくれる。彼らは僕らの成功の大きな部分を占めているんだよ。時々、僕ら相手にプレーすることを怖がっているようなチームを見るんだけど、それはファンのおかげだね。彼らがいるからここはアンフィールドだし、だからこそ僕たちはリヴァプールでいられる。だからこそ、僕たちはここで勝てるんだ」
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