ブンデスリーガは例年とは異なる様相を呈している。
ドルトムントが無敗で首位を快走。すでに“ヘルプスト・マイスター(秋の王者)”の称号を手にした。一方で、6連覇中の王者バイエルン・ミュンヘンはここまで3位と出遅れている。なぜこのような序盤戦となっているのか、このような答えを探すのに最適な人物に、『Goal』は話を聞くことができた。
それが、ブンデスリーガのご意見番となっている元ドイツ代表MFローター・マテウス。現役時代にはバイエルンでブンデスリーガを6度制している。引退後は解説やドイツメディアでコラム執筆などを担当。ドイツサッカーに精通した男が、疑問に答えてくれた。
■「クラブからのサポートが必要」
――バイエルンは今シーズンからニコ・コバチ監督が指揮を執っていますが、苦戦を強いられています。監督が原因なのでしょうか?
コバチはかつてバイエルンでプレーしていた。当然バイエルンのDNAを持っているし、ブンデスリーガのこともよくわかっている。クロアチアにルーツがあるが、ドイツ生まれだ。ブンデスリーガでプレーして、去年はアイントラハト・フランクフルトの監督として結果を出した。クロアチア代表の監督もしていたし、スター選手たちを率いた経験がある。ただ、言えるのはバイエルンが特別なチームだということだ。
その点で言えば、彼には、クラブで働くスタッフからのサポートが、もう少し、もう少しだけ必要だろう。私に言わせれば、バイエルンは夏に、選手を変えないというミスを犯した。コバチ監督は、ここ数年であらゆる栄光を手にしてきた選手たちを率いなければならない。私には、選手たちのモチベーションが欠けているように思える。6連覇もしてしまったら、モチベーションを保つことは難しくなる。選手が怠けているのではなく、どうしても心理的にそうなってしまうんだよ。
Getty Images
ただ実際、コバチもいくつか間違った決定を下してしまったのだろう。彼は学ばなければならないし、学ぶと思う。彼は優秀な監督だ。朝から晩まで、チームをうまく回そうと懸命に働いている。バイエルンからサポートが得られれば、会長や理事やファンがサポートしてくれれば、ここ数年、他の監督の下で得てきたのと同じ結果を、コバチ監督の下でも得られるだろう。
――他方、ドルトムントが好調です。その要因の一人となっているのが、夏に中国からやってきたアクセル・ヴィツェルです。バイエルンにもああいった選手が必要なのでしょうか?
彼は、ここ3カ月ドルトムントでいいプレーを見せている。だが、バイエルンは長期的視点で考えるチームだ。ヴィツェルが来年も今と同じようにいいパフォーマンスを見せられるなら、確かにバイエルンにとっても適切な選手になれるかもしれない。
Getty Imagesただ、バイエルンには同じポジションにハビ・マルティネスがいる。ハビは、今はともかく、ここ数年、いいプレーをしている。レオン・ゴレツカも、コンフェデレーションズカップで素晴らしいプレーをした。「6番」、「8番」として偉大な選手だ。ドルトムントで、チームにとって的確な選手だとしても、バイエルンにとって同じとは限らない。バイエルンとドルトムントのサッカーは、プレースタイルが異なる。
ヴィツェルがバイエルンに合うかどうかと聞かれれば、確かに彼はとても良い選手だし、きっとバイエルンのためにも、いいプレーができるだろう。だけど、今はドルトムントの選手だ。
――先程バイエルンが犯した「ミス」という話がありました。具体的にお聞かせください。
バイエルンはここ6年間、ドイツのリーグタイトルを独占してきた。ブンデスリーガは常に、非常に面白いリーグだ。素晴らしい選手が大勢いるし、ここ6年間、ドイツで最高のチームは間違いなくバイエルンだった。
Getty Imagesここ6年間はずっと変わらず、アリエン・ロッベン、フランク・リベリ、ジェローム・ボアテング、トーマス・ミュラーといった選手たちがプレーしていた。一方で時代は変わり、ますます速いサッカーが求められるようになった。若い世代も育ってきている。シーズン前にバイエルンが犯した最大の誤りは、変化しなかったことだ。
それで今は徐々にだが、戦えるように戻ってきている。バイエルンには優秀な若手がいる。コバチ監督は、若い選手たちに試合に出るチャンスを与えなければならない。
――バイエルンのヘーネス会長はここ最近、発言でメディアを騒がせることが多くなっています。クラブOBとしてはどのように考えていますか?
Getty Images私にとって、ウリ・ヘーネスはただの会長じゃない。バイエルンの選手だったし、マネージャーとしても黄金期を支えた。過去50年にわたって、選手たちに多くのことを教えてきたし、結果を出してきた。それに、通常会長とは、サッカークラブを代表する存在だ。ヘーネスはある意味、特別な会長だ。サッカーについて多く発言しているが、それは彼のすべきことではない。今は発言を控えることがクラブのためになると思う。
会長として、バイエルンの顔として、発言することは必要だが、今はマスコミにあまり多く答えないほうがいい。自分の役目とクラブにもっと集中すべきだ。
インタビュー・文=ニサント・イアスヴァル/Nisanth Easwar
構成=Goal編集部
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