リヴァプールのドイツ人指揮官、ユルゲン・クロップが、ドイツ代表引退について「人種差別」を理由としたメスト・エジルに対しコメントした。
今年5月、トルコにルーツを持つドイツ代表のエジルと、同じくトルコ系のイルカイ・ギュンドアンは、ロンドンでトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と写真を撮り、それぞれのSNSにアップ。これが一部のメディアや人々に、人権問題などで非難されるトルコのエルドアン政権を支持していると受け取られた。
そして、エジルはロシア・ワールドカップ終了後、自身へと向けられた人種差別的批判やドイツサッカー連盟(DFB)のサポート不足を理由に、代表引退を表明。「勝ったらドイツ人、負けたらトルコ系移民だと言われる」などと言われたことなどを明かしたSNSでの引退表明文は、大きく注目された。
これに対して、クロップ監督はメディアの前で「批判はナンセンス」と、エジルを擁護するコメントを発した。
「これは批判の矢面に立たされたエジルに同情するよ。インテリな人たちが批判の論調で語りがちかもしれないが、それは必ずしも正しいと限らない」
「私は彼らのメンタリティを疑うことはないよ。少なくとも、ナショナリズムや代表への忠誠は必ずしもすべて合致するものではない。例えば、彼らが複数の国に帰属意識を持っていたとして、何が問題だ? それは美しい概念だと思うよ」
「文化の多様性はワールドカップでこれまで見られた要素だ。例えばドイツ代表でプレーしたゲラルド・アサモア(ガーナ系)や、マリオ・ゴメス(スペイン系)の家族が一緒にバーベキューをするなんてこともあった。だからこそ、この議論は偽善的なんじゃないかと思っている。みんなが客観的かつ冷静に判断できない状況となり、今回は悪いケースへとつながったんじゃないかな」
ドイツ代表では過去にも旧ユーゴスラビア、トルコやチュニジア、ポーランド、ロシア、ガーナなど様々な国にルーツを持つ代表選手が活躍していた。ドイツ出身のクロップからしてエジルに向けられた批判は「偽善的」だと主張し、擁護の姿勢を見せている。
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