2018年最大のトピックの一つがロシア・ワールドカップであり、小国クロアチアの躍進である。決勝ではフランスに力負けしたものの、人口420万人の小さなタレント王国が次々とサッカー強豪国をなぎ倒していく姿に多くのファンが胸を熱くした。
そのクロアチアを率いるのが予選敗退の危機に瀕していたときに就任したズラトコ・ダリッチだ。チームを見事に再生させると、本大会でもその手腕を発揮。FWニコラ・カリニッチをチームから追放し、結果的に結束力を高めるなど、その決断力にも称賛の声が集まった。
そんなダリッチ監督が『Goal』クロアチア版の独占インタビューに応じた。ワールドカップでの躍進やカリニッチの追放、決勝の戦いぶり、そして世界最高と呼ばれるまでになったルカ・モドリッチについて語る。
■どのようにメッシを止めたか?

――まず、ワールドカップで振り返るべきはニコラ・カリニッチの一件でしょう。ナイジェリアとの初戦(2-0)の後、あなたはカリニッチを追放しました。
過去のことをあれこれ話すのは好きじゃない。あれはそうしなければならないと思ったから、そうしただけだ。選手たちにとっても、二コラにとっても、私にとっても、苦しい状況だった。だけど、ああしなければならなかったんだ。
――ではカリニッチの追放は、あなた個人の決定でしたか? それとも、クロアチアのサッカー連盟に従ったものですか?
私個人の決定だ。監督とは、そういう決断を下さなければならないものだ。他の誰でもない。
Igor Kralj/Pixsell――アルゼンチンとの試合では、どのような作戦でリオネル・メッシを止めたのですか?
私にとって、レオ・メッシは世界一の選手だ。彼はその実力を毎週のように発揮している。だけど、彼にとって、アルゼンチン代表としてプレーすることは、バルセロナでプレーするよりもハードなことだ。我々は、アルゼンチンの些細な弱点を見つけ出し、そこを突こうとした。規律正しく、自分たちのゲームプランを完璧に実行することが重要だった。選手たちは、まさにそれをしてくれたんだ。我々はメッシにボールが渡らないようにし、彼がボールを受けたいと思うエリアでは、さらに厳しいマークを付けた。メッシは素晴らしいが、サッカーはチームスポーツだ。チームとして相手よりも良いプレーができれば、選手一人ですべてをひっくり返すことは難しい。あの試合、クロアチアはアルゼンチンよりも良いチームだった。
――メッシ封じに一役買った選手の一人がデヤン・ロヴレンです。リヴァプールでは批判の的になることも多いですが、ワールドカップでは素晴らしいパフォーマンスを見せました。どのようにして守備のプレーを向上させたのですか?
デヤンは素晴らしい選手だ。リヴァプールでも素晴らしいプレーをしていると思う。センターバックというポジションは簡単なポジションではない。チームのすべてが、そこにかかっているからね。チーム全体が良いプレーをしていて、選手全員が守備をしているときは、センターバックの負担は少ない。ピッチに大きなスペースができてしまっていたら、どんなに素晴らしいセンターバックも、相手の最高のアタッカーを止めることはできない。リヴァプールがチームとして機能しているときは、デヤンも素晴らしいプレーをする。チャンピオンズリーグの決勝で、彼は最高の選手の一人だった。クロアチアはチーム全体として良いプレーをしたし、大会中ずっと、規律のとれたサッカーをしていた。だから、センターバックの負担は軽減されていた。ロヴレンとドマゴイ・ヴィダは、自分たちの役割をきちんと果たしてくれた。ロヴレンは、間違いなくワールドカップで最も優れたディフェンダーの一人だった。
■「クロアチアの実力を信じていた」
Getty――ワールドカップでは素晴らしい戦いぶりを見せていましたが、クロアチアの決勝進出は多くの人々に衝撃を与えました。あなたは決勝に進出することを予想していましたか?
夢ではあったけど、それは他のほとんどの出場国もそうだっただろう。我々は、チームの実力を信じていた。ビッグクラブでプレーしている経験豊富な選手もいたし、彼らならワールドカップのどの国も倒せる力があると思っていた。ただ、こういう大会でメダルを獲得するのはとても難しいことだ。決勝まで行けそうな、弱点も見つからないような強いチームが10チームはあるからね。トップコンデションを維持して、ケガもなく、チーム全体が良い雰囲気でなければならないし、勝ち進むためには運も必要だ。
――決勝でフランスと対戦する直前、選手たちはどんな準備をしたのですか?
ああいう試合に特別なモチベーションは必要ない。人生で最大の試合なんだからね。他のすべての対戦相手を分析するようにフランスを分析し、どうプレーすればよいか、プランを立てた。私はよくやってくれたと思っている。前半は素晴らしいプレーができたし、PKでリードされてハーフタイムを迎えたのはアンラッキーだった。フランスは素晴らしいチームで、1試合の中で2度追いつくのは簡単なことじゃない。フランスは最後までリードを保った。脱帽だよ。だけど、私はチームと、パフォーマンスを誇りに思っている。準備から試合まで、50日間をともにしてきた。練習も、試合も、移動も、メディア対応も、何もかも、選手たちにとってはハードなことだった。最後の最後まで、最高のレベルでプレーし続けた選手たちを誇りに思う。
――決勝戦の後、あなたはポグバと握手していましたね。これはどういうシーンだったのですか?
彼は素晴らしい選手で、私はワールドカップ優勝に値する彼を祝福した。彼も我々とパフォーマンスをとてもリスペクトしてくれた。ああいう場では、選手も監督も、互いに健闘を称え合うものだ。ワールドカップの決勝という場にたどり着くまでに、どれほど多くの努力と犠牲が必要だったか、全員が知っているからね。
■「バロンドールもルカが選ばれると信じている」
Getty――ワールドカップ後、モドリッチは個人賞を独占しています。何かメッセージを彼に送りましたか?
もちろん、彼には「おめでとう」と伝えたよ。とても誇りに思う。彼は2018年のすべての賞を受賞するに値する。彼以上のことをした選手はいないからね。FIFAクラブワールドカップでも最高の選手だった。チャンピオンズリーグは3連覇しているし、そこでも最高のミッドフィルダーだった。それに、彼はワールドカップの準優勝チームのキャプテンだ。これは信じられない快挙だよ。ワールドカップの最優秀選手賞にふさわしい。2018年に彼以上の選手は見当たらない。
――あなたは世界一の監督に選ばれました。ご感想は?
(ディディエ)デシャンや(ジネディーヌ)ジダン、(ジョゼップ)グアルディオラのような偉大な監督たちと肩を並べられたことは、とても名誉なことだ。投票してくれた人たちと、ワールドカップで素晴らしいプレーをしてくれた私のチームには感謝しかない。どんな監督も選手次第だ。監督の指示に選手たちがうまく従ってくれるかどうかにかかっている。ロシアでクロアチアが成し遂げた歴史的快挙に、力を貸せたことを誇りに思う。私はいつも、選手たちに全幅の信頼を置いている。
――今年のバロンドールについてはどのように考えていますか? モドリッチではなくてグリーズマンが有力とみられていますが…
いや、私はルカがバロンドールも受賞すると信じている。投票する記者たちは、いつもとても幅広く選ぶけれど、ルカにとって最高の年であったことは、彼らもわかっていると思う。ワールドカップに勝ったのはフランスだが、グリーズマンがチームで一番だったわけじゃない。(キリアン)ムバッペや(ポール)ポグバ、(ラファエル)ヴァラン、(ウーゴ)ロリスも同じくらい良かった。それに対して、ルカはワールドカップの最優秀選手に選ばれたし、チャンピオンズリーグとクラブワールドカップで優勝した。彼の2018年の功績はグリーズマンを上回っている。『France Football』はフランスの選手を選びたいかもしれないが、投票する記者たちが客観的な視点から選んでくれると信じている。
インタビュー・文=アーメド・ラガブ/Ahmed Ragab
構成=Goal編集部
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