アーセナルに燻るGK問題…レノの扱いに見え隠れする新生ガナーズの混乱

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Getty/Goal
ペトル・チェフかベルント・レノか――。正守護神問題から、新生アーセナルに見え隠れする不安とは。

アリソン・ベッカー、ケパ・アリサバラガ、そしてベルント・レノ――。今夏、プレミアリーグ“ビッグ6”のうち3チームが、新たな守護神を獲得した。GKに不安を抱え続けたもの、守護神が出ていってしまったもの、そして世代交代をねらったもの。それぞれの思惑を抱えながら、移籍市場で人気銘柄をチームに加えた。

しかし、注目の3人の内の1人、レノはセカンドGKとして今季の開幕を迎えた。

ドイツ代表にも招集される彼は、およそ2000万ポンド(約28億円)で7月にレバークーゼンからアーセナルへやってきた。衰えの見え始めたペトル・チェフの後継として、ファーストチョイスになることが予想されていた。

26歳ながらブンデスリーガの出場試合数が300を超えているレノは、GKとしてはまだ若手に分類される年齢ながら、リーグや代表戦など多くの経験を積んでいる。アーセナルのスカウト部門トップのスヴェン・ミスリンタートにとって、これ以上ない補強候補だっただろう。

ところが、プレシーズンの熱狂が冷めると、指揮官ウナイ・エメリはペトル・チェフを依然としてファーストチョイスに据えて今季を戦うという雰囲気が漂い始める。そして、36歳となったベテランGKは、開幕から2試合続けてゴールマウスを守ることとなったのだ。

■レノが正守護神になれない理由

Bernd Leno Arsenal

迎えた王者マンチェスター・シティとの開幕戦。セルヒオ・アグエロとの一対一を見事にストップする場面もあったが、それ以上にミスで目立つことになってしまった。もう少しでオウンゴールになりかねないパスミスで、SNS上で各方面から嘲笑され、レノの古巣レバークーゼンからもネタにされた。これに対しチェフ本人が怒りの返信を送っていたが、今までの彼を知っているものからすれば平静さを失っているようにみえるだろう。

それ以来、エメリはベテランGKへの信頼を度々強調。ガナーズのレジェンドGKイェンス・レーマンもチェフの能力を称賛し、最後方から丁寧にボールを繋ぐスタイルに合致する選手であると力説している。

「ペトルは、今でもファンタスティックなGKだ。スタイルを変えなければならないことは確かだが、何をすべきかは時に試合が教えてくれることであり、後戻りしてはならない」。レーマンは『スカイスポーツ』でそう擁護している。

「不可能な時にもボールを繋げようとすることに、少し驚くこともあった。どの場面でパスを繋いでいくか、それは誰も教えることはできない。彼はとても賢い選手であり、自分で判断できるはずだよ。ペトルはプレミアリーグで何百試合もプレーしてきた。クリーンシート記録保持者でもある。以前は遠くへ蹴りだすこともあったように思う。だが、今季は“急いでプレーする”ようにプレッシャーを感じているようだ」

「だが、どんなスタイルでプレーすべきかは試合が教えてくれる。36歳になったとしても、試合から学んで成長することはできる。ただ、大事なのはどういう意図をもってパスをしなければならないかだ」

「時には、監督たちの指示に従わないほうがよいこともある。ある瞬間には、他の誰よりも自分自身がゲームをよりよく理解していることがあるからだ」

そして、続くチェルシーとの“ビッグ・ロンドンダービー”でもチェフがゴールマウスを守ることになったのだ。この試合でも、彼はパスを出す場面に戸惑いながらプレーしていた。やはり、36歳という年齢で今までのスタイルから変えていくのは非常に難しい。

エメリは2人のGKについてこう語る。

「2人とも重要なGKだ。プレーの質は違うが、どのような試合をするかによって起用するGK変わる。両選手とも機会はあるだろう。(チェルシー戦に関して)決断は容易だった。チェフは先発する準備ができている。彼を信じているよ。だが、レノも同じだ。レノを先発で使う場合は、完全に信頼している」

しかし、指揮官の言葉とは裏腹に、レノがプレミアリーグでプレーできると信じていないことは明らかだろう。レーマンはひとつの可能性を指摘する。

「ベルントは優秀なキーパーだ。それは間違いない」

「問題は、これまでやってきたこと以上のことができるかだ。成長しつづけるにはもっとリスクを取らなければならない」

■新体制の少なくない不安

2018-08-13 Unai Emery

前述の通り、アーセナルはレノの獲得に2000万ポンドを費やした。今夏の補強予算が7000万ポンド(約99億円)しかなかったことを考えれば、クラブとして非常に重要な投資だろう。それでも、彼のポジションが確約されていないのだとしたら、間違いなく疑問が生じる。

クラブはセカンドGKに大金を投じたのか? エメリが本当に望んだ選手だったのか? 上層部と現場、ミスリンタートとエメリはコミュニケーションを取れているのか? 22年クラブの舵を取ったアーセン・ヴェンゲルが去った今、クラブは同じ方向を向けているのか?

今夏、確かにガナーズ(アーセナルの愛称)の補強は素晴らしかった。限られた予算の中、明らかな弱点であったディフェンスラインに2人の経験豊富なベテラン(ソクラティス・パパスタソプーロス、ステファン・リヒトシュタイナー)を獲得し、中盤にはロシア・ワールドカップでウルグアイ代表として活躍を見せたMFルーカス・トレイラ、そして輝きを見せる19歳MFマッテオ・グエンドウジという2人の若手有望株を確保した。

しかし、レノの現在の扱いを見ていると首を傾げざるを得ない。シーズンが進めば、カップ戦などで出場機会はあるだろう。しかし、ここまで出場していないことは事実であり、リーグ戦で起用するタイミングを失ってしまったことも事実だ。たとえプレミアリーグに出場したとしても、26歳GKの肩には大きすぎるプレッシャーがのしかかる。

新体制で2018-19シーズンを戦うアーセナル。クラブそのものだった男の長期政権が終了した今、彼らは1つになれているのだろうか。

文=クリス・ホイットリー/Chris Wheatley

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