アジアカップに生き残るのは誰か?控え組のテストで問われる森保ジャパンの底力/キルギス戦プレビュー

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©Getty Images
来年1月に迫ったアジアカップ(UAE)で8年ぶり5回目のアジア王者を目指す日本代表。20日に豊田で開催されるキリンチャレンジカップ・キルギス戦は、大会前最後の強化試合となる。

■13~23番目に入るための熾烈な戦い

「ベネズエラ戦からは大幅にメンバーを代えて、キルギス戦に臨もうと考えています。より多くの選手にプレーしてもらいたい」

19日の前日会見で森保一監督がこう明言した通り、2018年ラストマッチとなる20日のキルギス戦は、ここまでサブと位置付けられてきたメンバー中心の戦いとなる。年明けの2019年アジアカップUAE大会のメンバーに選出されるのは23人。チームの主力11人とそれに準じる原口元気(ハノーファー)の12人目まではほぼ決まっているが、13~23番目の構成はまだハッキリしていない。そこは特筆すべき点だ。

4度目のアジア制覇を達成した8年前の2011年アジアカップカタール大会を振り返ってみても、メンバー23人中、権田修一(サガン鳥栖)と森脇良太(浦和レッズ)の2人を除く21人がピッチに立った。準々決勝のカタール戦では控えDFの伊野波雅彦(ヴィッセル神戸)が試合を決める3点目を挙げ、準決勝・韓国戦でもサブのボランチだった細貝萌(柏レイソル)が2点目を叩き出した。極めつけは決勝・オーストラリア戦のスーパーサブ・李忠成(浦和)の決勝弾だ。このように要所要所でバックアップの面々が良い働きを見せなければ、5度目の頂点に立つのは難しい。

当時もメンバーであった吉田麻也(サウサンプトン)はこう強調する。

「チームのベースは大事だけど、勢いだったり、チャンスをモノにできる選手が出てくるかどうかが大事。日本は期待値が高まってる中ではあまり力を発揮できていない。期待される中で勝つのが本当に強いチーム。僕らは精神的な部分を克服しなければいけない」

森保ジャパンもそれだけのタフさと総合力を備える必要がある。キルギス戦はそれに見合った人間を絞り込む最終テストの場と言っても過言ではない。

■また強固な守備基盤はできていない(吉田)

2018-11-20-japan-Kyrgyz-formation

▲キルギス戦予想フォーメーション

先発を予想すると、まずGKは東口順昭(ガンバ大阪)か権田修一のいずれかになる。11日、大分でのベネズエラ戦で初キャップとなった大型守護神シュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)が世界基準の高さと巧みなビルドアップを披露したことで、競争は混とんとした状況になった。ここまで一歩リードしていた7キャップの東口、そして所属クラブで好プレーを連続している4キャップの権田もウカウカしてはいられない。どちらが出てもキルギス完封は至上命令。そこは最低ラインだと考えるべきだ。

最終ラインは右から室屋成(FC東京)、三浦弦太(G大阪)、槙野智章(浦和)、山中亮輔(横浜F・マリノス)が有力視される。所属クラブで出場機会の少ない吉田がピッチに立つ可能性も皆無ではないものの、基本的にはこの構成だろう。「後ろは後ろで構築してかなきゃいけないところがたくさんあるし、準備してもしても足りない」とキャプテンである吉田が強調した通り、まだまだ何試合も無失点を続けられる強固な基盤はできていないのが現状だ。

ほぼ1カ月にわたるアジアカップともなれば、累積警告やケガもあり得る。吉田や酒井宏樹(マルセイユ)、長友佑都(ガラタサライ)頼みの陣容では物足りない。ここでチャンスを与えられる山中に関しても、守備はもちろんのこと武器である左足の強さや精度、FKを前面に押し出して、戦力として数えられることをアピールしたい。

一方、中盤では、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇の自信と経験値を引っ提げて代表に合流した三竿健斗(鹿島アントラーズ)がピッチに立つ見込み。その相棒は、通常ならベネズエラ戦で出場していない守田英正(川崎フロンターレ)となるが、どちらかというと守備的な側面が強い二人の組み合わせではゲームメークの面でやや不安が募る。相方は柴崎岳(ヘタフェ)が安心か。クラブで出番に恵まれていない柴崎は代表でできる限りコンディションを上げておく必要もある。それは森保監督にとっても重要なテーマ。

これら要素を踏まえると、三竿・柴崎の新旧鹿島コンビの先発が有力視される。お互いの特徴をよく理解し合ってもおり、柴崎には遠藤航(シントトロイデン)と組む時とは違った関係を見いだしてほしいものだ。

■攻撃陣は総入れ替えの見込み

2018-11-20-japan-haraguchi

攻撃陣は顔ぶれがガラリと変わる見込み。2列目は右から伊東純也(柏)、中央に北川航也(清水エスパルス)、左に原口、1トップに杉本健勇(セレッソ大阪)という構成が濃厚だ。次で国際Aマッチ40試合目となる原口は、今のメンバーの中で吉田、酒井に続く3番目のキャップ数を持つ。若くフレッシュなアタッカー陣を引っ張り、生かし生かされる関係を構築しなければならない。

「パッと誰かが入ったり、メンバーがガラリと変わった時にクオリティーが落ちるようだと問題だよね。監督が悩むくらいのパフォーマンスをしなきゃいけない」。ロシアW杯のレギュラーとして16強入りを経験した男は語気を強める。

その原口のスタンダードに周りが合わせて動き、得点チャンスを作れればいいが、その基準に適応できない人間はUAEの地を踏めないということになる。森保監督も「これまで呼んでいない選手をいきなり呼ぶこと? それはもちろん可能性としてはあり得る」と発言。新体制発足後はまだ招集していない香川真司(ドルトムント)や乾貴士(ベティス)、岡崎慎司(レスター)、武藤嘉紀(ニューカッスル)ら実績あるメンバーを呼び戻す可能性も否定していない。今回のバックアップメンバーがダメなら、そういう方向へと一気に傾くだろう。杉本や伊東、北川は「ここがラストチャンス」だと思って、持てる力のすべてを出し切ってほしい。

キルギスはFIFAランキング90位と50位の日本より格下だが、ジアカップ初出場を決めてチームの士気は高まっている。森保監督も「中央アジアの国は非常に球際が激しく、厳しく、そこから試合のペースを握っていく」と分析。

17日に鹿島の控え組と対戦して0-2で負けてはいるものの、自陣に人数を割いて強固な守備を形成してくると思われる。こういう相手をどう攻略するかは、日本がアジアで戦ううえで毎回直面する問題。原口を軸とした攻撃陣はこの解決策を示せれば、アジアカップに向けて選手層が積み上がり、チームのバリエーションも増える。そういった収穫のある試合にしなければならないのだ。

果たしてアジアカップの最終リストに残るのは誰なのか。香川らの呼び戻しはあるのか。その行方を左右する2018年最終“決戦”の行方をしっかりと見極めたいものだ。

文=元川悦子

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