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ついに始まったか大宮の逆襲。3つのカギから見えた昇格への道すじ

今季初の連勝。連続無失点。昇格を争うライバルを撃破。そして内容でも会心のゲーム。ついに大宮アルディージャの逆襲が始まった。昇格への道すじがかすかに見え始めた。そう信じてもいいのかもしれない。

1年でのJ1復帰を求められながら、ここまではリーグ戦10試合を終えて15位と低迷。前節のアルビレックス新潟戦後にも、クラブは代表取締役社長を務める森正志氏の署名入りで、サポーターに詫びる声明を発表するなど、状況は楽観視できないものとなっていた。

■東京V戦で会心の戦い

そんな苦境の中で迎えた4月28日の東京ヴェルディ戦。東京Vは無敗で5位、3失点はリーグ最少タイと、大宮とは対照的に好調をキープしていた。しかし、必ずしも試合前のデータが内容に反映されるわけではない。

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大宮は前半から押し込まれ、決定的なシュートを許すこともあったが、GK笠原昂史の好守でしのぐと、後半開始直後にロビン・シモヴィッチがスルーパスに抜け出してキーパーもかわし、先制点を決める。終盤までボールを回して相手の反撃の意欲を削ぐと、終了間際にはマテウスが単独突破から追加点を挙げ、理想的な試合展開で白星を手にした。

3ポイントを加えた大宮は13位にランクアップし、自動昇格圏内の2位ファジアーノ岡山とは勝ち点10差。いまだ小さくない隔たりがあるものの、圧倒的な強さで昇格を決めた2015年を再現すべく、3つのポジティブな要素も見て取れた。

■守護神・笠原の奮闘報われる

まずは守護神である笠原の奮闘。今季は第3節からゴールマウスを任され、安定したセービングを見せてきた。なかなか好守が白星に結びつかず、「勝ち点につながらなければ意味がない」と唇をかんできた男だが、今節はついに結実。前半のビッグセーブの数々が大宮に流れを引き寄せ、「良い準備ができて、良い結果につながった」と手応えを語る。

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■両サイドの若武者が躍動

次に挙げられるのは若きサイドアタッカーの台頭だ。前節に続き、両サイドは22歳の嶋田慎太郎と今季、ユースからトップ昇格した18歳の奥抜侃志が務め、前者は先制アシストを決めてみせた。公式戦2試合目の奥抜は足がつって途中交代となったが、前半からアグレッシブな姿勢を貫いて攻撃陣をけん引。チームメイトからも「カンジ」と呼ばれ、愛される甘いマスクの若武者は「これを継続していかなきゃいけない」と頼もしい言葉を口にする。

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石井正忠監督も2人の存在は攻守両面において大きな影響を及ぼしていると認めるところ。

「間で2人とも受けられるし、そこから中央への攻撃だったり、サイドへの展開だったり、攻撃の部分は彼らのストロングポイントなので、それを表現してくれたなと。あとは、守備での貢献度も2人はすごくあると評価しているので、攻守両面で非常にチームに貢献してくれたなという評価でいます」

■自らの役割を理解する大山

最後に挙げたいのが、中盤の安定感。ダブルボランチは今季から加わった三門雄大と生え抜きの大山啓輔で固定しつつある。ボール奪取能力の高い三門と堅実につなぐプレースタイルの大山は補完性が高く、2人がそろって先発してから2勝1敗1分けと結果も出ている。大山自身が「ゲームを落ち着かせたり、スイッチを入れるのが自分の役割だと思っています」と立ち位置をしっかりと理解しているのも強みの一つ。それを象徴する場面として、東京V戦ではこんなシーンがあった。

1点リードで迎えた70分、自陣からインターセプトで持ち上がった大山が、相手GKの位置を見て一度はキックモーションに入るが、ロングシュートを放つことなくスピードを緩めた。試合後に、疲れからかと問うと、「いや」と首を振り、こう語る。

「狙えると思ったんですけど、うまくいかなかったときにもう一回相手のボールになってしまうので。チームが全体的に下がり気味になっていたので、ちょっとドリブルで運びました」

スーパーゴールを期待した大宮サポーターは残念がるような声を漏らしたが、結果として大山はファウルを引き出し、マイボールをキープした。こういったクレバーな判断の積み重ねが反撃の芽を摘み、2試合連続のクリーンシートへとつなげたのだろう。

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2015年シーズン時は、第15節以降首位を譲ることなく、独走で昇格を決めた。とはいえ今季で言えば、残り4試合で首位に立つことは至難の業。それでも見通しは明るい。

NACK5スタジアム大宮でホームデビュー戦となった奥抜はミックスゾーンの動線を間違えて立ち尽くすという初々しさを見せていた。しかし、ことチームの昇格への道すじに関しては、確かに正しい道を歩み始めたようだ。

取材・文=平松凌

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