「負けを背負ったまま進むのは意味がない」クロップが語るリヴァプールの強み

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『Goal』独占インタビューに応じてくれたのはユルゲン・クロップ。チャンピオンズリーグ決勝で敗れた夜のことや選手の移籍に関する自身の仕事について語ってくれた。

ユルゲン・クロップはカーテンを開けるとにっこりと微笑んだ。

「ああ、またインタビューか! 完璧だ!」

クロップが我々の姿を目にした瞬間に発した一言目がこれだ。このインタビューはリヴァプールのトレーニング地であるニュージャージー州で行われたのだが、実は前日、クロップらがこの地に到着したのは予定時刻の8時間後であった。飛行機の遅れにより到着が遅れ、選手たちがベッドに入ったのは午前2時だったという。同日にマンチェスター・シティとの試合が行われることを考えれば理想とはいえない。

しかしそんな状況の中、クロップは翌朝の『Goal』独占インタビューに快く姿を現してくれた。精力的ですでに話す準備ができている。そこには良い雰囲気があった。

■失望のキエフから先を見据え…

この夏、クロップの歩みには特筆すべき飛躍があった。彼は何を要求されているかがわかっていて、自身にそれを成し遂げる能力があることを強く信じている様子だ。

キエフでの出来事はもはや遠い昔のように感じる。チャンピオンズリーグ決勝で敗れた苦しみは決して完全に癒えることはないだろうが、クロップは試合終了の笛が鳴ってから1時間もしないうちに、すでに自身が前に進む準備ができていると語った。実際、翌日には自宅のキッチンで歌うクロップを収めた動画がネット上にアップされ、そこにはまるでしくじったことを楽しむかのような男の姿があったのだ。

「動画を見ただろ、なあ?」と笑いながら顔に手をやるクロップは、「明らかに皆、少し飲みすぎたね。酒に酔ったらスマホは遠ざけろっていうのは素晴らしいアドバイスだ」と冗談めかして話しながらも、表情に少し真剣さを加え、こう続けた。

「でもこれだけは言えるんだ。自分が持つすべてを結集して勝利したいってね。負けるのは大嫌いさ。負けた時の受け入れ方を学ぶべきなんだろうけど、それも嫌なんだ。でも、試合終了の笛が鳴ったのに、苦しむことに人生を費やすことはしない。敗戦は引きずらないようにしているし、そんな時は少しだけどこか違うところに行けば私はOKなのさ」

「負けてしまったという結果を背負ったまま進むのは意味がないし、捨て去ってしまわなければいけないと思う。だって、もう一度試合に立ち戻って、ああだこうだと言うことはできないんだから。試合で起きたことについて語ることはできるよ。けど、感傷に浸ることはない。そういうことさ」

しかしリヴァプールがキエフで経験したことは明らかにショッキングなものだった。ロリス・カリウスのミス、モハメド・サラーの負傷、そしてガレス・ベイルの驚異的なゴールがこの拮抗した試合を決定づけた。 Jurgen Klopp speaks to Goal's Neil Jones

■決勝では6連敗も

クロップにとってはまたも決勝でチャンスを逃すことになった夜である。これで決勝での戦績は6連敗となったが、クロップ自身もそのことは認識しているようだ。

連敗の始まりはボルシア・ドルトムントを率いて臨んだ2013年のチャンピオンズリーグ決勝、ウェンブリー・スタジアムで行われたバイエルン・ミュンヘンとの試合だった。しかし当時のドルトムントと現在のリヴァプールを並列に語るのは誤りだ。

クロップは「確かに違うね。君は正しいよ」と言い、「2013年の決勝の後にはマリオ・ゲッツェを失ったよ。実際にはその2週間前には失っていたけどね」と続けた。

「決勝では負けてしまったけど、ドルトムントが終焉を迎えたわけではなかったんだ。準優勝という結果を手にしたし、カップ戦の決勝にも進んだしね。いいチームのままだったよ。とはいえ、変わったこともある。加入後に“なんて素晴らしいチームだ、次のステップを目指すのはやめよう”という選手もいたと予測できるから」

「でもリヴァプールでは、誰もキエフの試合が最後のステップだったとは思っていないんだ。まだ成長の真っ只中さ。常勝チームではないし、世界最高のチームでもない。でも明確なプレースタイルがあるし、そのおかげで本当にいいチームになっているね」

「例えば最初の30分間の戦いぶりに私はとても満足したよ。試合前は誰もが、“レアル・マドリーが優勝するだろう”と思っていたんじゃないかな。でも30分が経過した頃には、我々に注目していなかった多くの人が“いい試合だ”と感じていたと思う」

「でも結局のところ、満足はしたけれど勝利はできなかった。だが、これで終わりじゃない。チャンピオンズリーグのシルバーメダリストだし、もう一度やり直す必要があるね。我々は非常にタフなチームになれると確信しているよ。ただ、同時に準備も整えないとね。私はやれると思っているよ」

Jurgen Klopp in Kiev

■邁進する今夏のリヴァプール

クロップは正しい。ドルトムントは決定的な夜を過ごした後、すぐに弱体化したが、今のリヴァプールからはすでにさらなる強さを感じられる。ファビーニョが決勝の2日後に契約を結び、ケイタもその1カ月後に加入した。さらにシェルダン・シャキリとアリソン・ベッカーも加わり、リヴァプールはブックメーカーの今シーズンのプレミアリーグ優勝オッズで2位につけている。上昇気流を描いているのだ。

クロップは、「試合の前にも後にもチームに疑問は抱かなかった」と主張する。「手にしたチャンスを取りこぼした。ただそれだけさ」

「もう一度チャンスを手にできるか。私は5年待ったけど、新たなチャンスのためにはクラブを変えなくてはいけなかった。でもそれが人生さ。多くの同僚は人生をかけて努力しても一度もたどり着くことができない。そこに私は2度到達したし、それ自体が素晴らしいことだ。勝利は手にできなくても経験にはなる。面白い経験だけど、それで終わらせてはいけないね」

「運が味方すればまったくひどいチームでも決勝で勝つことができる。決勝では誰も最高のフットボールをしようとはしないし、ただ勝利を目指すだけだ。残念ながら、我々にそんなことは起きなかったんだけどね」

では、どうすれば今度はそれを“起こす”ことができるのだろうか。さらなる深みなのか、経験なのか、はたまた幸運なのか?

この問いに対し、クロップは「決定的な瞬間にもう少しだけ運に恵まれる必要があるね」と語る。「例えばこの間の決勝ではマドリーは選手を欠くことなく最強の布陣で試合に臨んだ。確かにダニエル・カルバハルは負傷したが、マルセロ、センターハーフ、ミッドフィルダー、アタッカー、全員がプレーしたよ」

「我々もいいチームだったけど、12試合だったかな? その間をほぼ同じメンバーで戦っていたのさ。プレミアリーグやチャンピオンズリーグといった大会で成功を収めたいのならば、幅広い布陣を擁する必要がある。それこそ我々が目指していることだ」

Naby Keita, Liverpool

「昨シーズンのチームも十分に幅広な布陣だったけど、1週間で3人もの選手が離脱したらワオ!と言うほかない。中盤は非常に激しいポジションだ。選手は縦横無尽に走り、考えることも求められる」

この点でクロップは頭を抱える。

クロップは、「最終節までチェルシーが我々を追いかけていた」と続ける。「チェルシーはサウサンプトンに2-0で負けていて、そのままいけばシーズンは終了、そして決勝の準備に取り掛かれるはずだった。でもチェルシーはそこから逆転して勝利を手にした。だから我々も最終日まで気を抜くことができなくなったよ。本当にタフな状況に追い込まれたね」

「でもそれがサッカーだよ。誰も愚痴をこぼしたりはしない。誰も責めることはできないし、そうしようとも思わない。代わりにすることは同じクオリティを持つさらに幅広な布陣を作り上げること、そして共に次のステップへと進もうとすることだよ。皆がそれを目指せるといいね」

Jurgen Klopp speaks to Goal's Neil Jones

■何がリヴァプールを変えたのか?

リヴァプールにはそれが可能だ。クロップ体制ではまだトロフィーを一度も掲げていないことは明白な事実で、過度にポジティブな考えを持つのはリスキーではあるが、クラブのピッチ内外での発展は否定しようがない。

まず、移籍市場が何よりの証拠である。長年に渡るリヴァプールの急所にも、今や真の強さが見られるようになった。クロップが監督に就任して以来、フットボールディレクターのマイケル・エドワーズによる新戦力の獲得は例外的ともいえる。

コストについてはひとまず忘れ、別の機会に議論したい。少なくとも、過去3シーズンに渡って多くの才能がアンフィールドに魅せられ、そしてその大部分がピッチの上でトップチームにインパクトを与えてきたことは印象的な出来事だといえる。

だが、ここで疑問が湧き上がる。一体何がそれほどまでにチームを好転させているのか、そして誰がその名誉に値するのかということだ。

「重要なのはいつも一緒に仕事をすることさ」とクロップは語る。「私が一人で歩き回りながら、あれこれ言うことはできないよ」

「我々はポジションに関する話をして、名前をあてはめる。そして“お、いい感じだ。動画を作ってみよう”と考えるんだ。実際に動画を作ってみると、それがさらにいい感じに見えるのさ。これが我々がチームを作るからくりだよ。決して、“彼を獲得すればこうできると思う”というような一人の天才による決定ではない。それは明白なことだね」

「モハメド・サラーの時もサディオ・マネの時もそうだった。最近ではシャキリの時も皆で一緒に考えたんだ。誰かが提案したら他の誰かが次のステップを作り上げる。ただ、最終的には私が実際にフィットするのかの判断を下さなくてはいけないよ。もし私がフィットすると考えれば、我々は行動に移すんだ。それが、我々がここ数年間行ってきたことだ。1月のビルヒル・ファン・ダイクや最近のアリソンも同じさ」

Jurgen Klopp Mohamed Salah Liverpool 14012018

ここまで語ると、クロップは、もう少し具体的に選手の移籍について話してくれた。

「アンドリュー・ロバートソンを例に話してみよう。“ロボ”については長年検討していたよ。欲しがっていたクラブが20もあったわけではない。でも、チームを追放されてここに来たわけではないよね。明白なのはロボには時間が必要だったこと、そして実際にその時間を費やしたことだ。時間を経た今、もし私がロボを売りに出せば20以上のクラブが欲しがるだろうね。リヴァプールの支出額よりもずっと多くのコストが必要になるのさ」

「今は選手がチームにいち早く定着し、クオリティを発揮してキャリアを発展させるチャンスをチーム全体が提供できているね。本当にクールなことだし、我々がぜひとも継続していきたいことだ」

インタビューは明るい雰囲気のまま終了した。クロップは微笑み、自慢げな様子で自身の仕事へと戻っていった。

リヴァプールのサポーターはすでに気分のいい日々を過ごしてきただろうが、今シーズンはさらに大きな期待ができるだろう。その時は目前に迫っている。

文=ニール・ジョーンズ/Neil Jones

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