ロシア代表レジェンドが見る母国…1試合5得点のFWが見る“後継者”は?【W杯開幕直前連載】

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開幕まで残りわずかとなったロシア・ワールドカップ。『Goal』では、ついに開幕する祭典までロシアのレジェンドに話を聞き、全8弾の独占インタビューをお届けする。第一弾はオレグ・サレンコ。

4年に一度の祭典が、間もなくやってくる。

『Goal』はFIFAワールドカップの開幕を前に、開催国ロシアのレジェンドたちにインタビューを行った。全世界の目がロシアに集まる特別な1カ月。レジェンドたちの現在や、ワールドカップに抱く期待、願い、思いとは?

「スペシャルウィーク・ロシア」の第一弾はオレグ・サレンコ。1994年のアメリカ・ワールドカップに出場し、史上初となる1試合5得点を達成した名ストライカーだ。得点王にも輝いたレジェンドは、母国や自身の記録を破る選手は現れるかなど様々なことに関して言葉を続けてくれた。

■「まだ“時代遅れ”にはなっていない」

――では、まず、現在の様子をお聞かせください。あなたは2001年に引退して、その後はほとんど噂を聞かないのですが…

すべてがうまくいっていますよ。今はディナモ・キエフのOBチームでプレーしていて、だからキエフには、頻繁に行っています。サッカーを討論するテレビ番組にも参加しています。あと、個人的なビジネスもしています。何もかも順調ですよ。一時期は、ウクライナのビーチサッカーの監督もしていたし、それから、街のチームの監督もしました。だけど、まあ、それは大したことではないかな。

――ハイレベルの試合や国際大会の試合は見ていますか?

はい、見ています。まだ「時代遅れ」にはなっていません(笑)。予想もたくさんしています。特にワールドカップやユーロ、チャンピオンズリーグのような大きな大会があるときにはね。メディアに関わることで、最新情報を得たり、自分なりの分析や予想を公表したりしています。

■今も破られない1試合5得点は…

――まもなくワールドカップが始まります。あなたにとっても特別な大会ですよね?

ええ、もちろん。それどころか、今になってインタビューを申し込まれることが多いです。開幕が近づいて、イギリスの新聞社と会いました。ブラジルのマスコミとも。ワールドカップがロシアで開催されるので、モスクワに呼ばれて1日がかりのロングインタビューに答えたこともありましたね。

――1994年のワールドカップでは、カメルーン戦で5得点。ワールドカップの1試合の得点数としては最多記録で、今でも破られていません。思い出すことはありますか?

選手としてのキャリアを終えたとき、やはり5ゴールは生涯で最も印象深い瞬間だと思い返しましたね。しかも、あの記録は破られていません。今度のワールドカップで「並ばれたり破られたりすると思うか」と聞かれるときには、いつも「今のサッカーでは非常に難しいだろう」と答えています。でも、理論的には不可能なことではありません。グループステージで、急に目覚ましく進歩して、強くなるチームもたくさん出てくるでしょう。逆に、期待されたよりも悪い結果になってしまうチームも出るでしょうがね。

――記録を更新されたら、悲しいですか?

とんでもない、逆にうれしいです。スペクタクルなシーンが見たいという希望がかなえられるわけですから。ただ、今のサッカーでは、ワールドカップのような大会で、多くのチームがとても慎重に戦うことを選びます。リスクを負わないようにするのです。あの試合の場合、私たちは得点を多く取り、勝つ必要がありました。そうでなければ、3点奪ったところでリードを守るようなプレーをしていたでしょう。あの試合には大量得点が必要だったので、試合終了のホイッスルが鳴るまで、私たちは全力で攻めました。現在では、そういうサッカーで有名なのはイングランドのサッカーでしょう。先制して、最後の瞬間まで戦い続けていますね。

――今でも、あの5得点について、街で話しかけられることがありますか?

私と同世代の人たちは、私をテレビで見ていたので、そうですね、私とわかると、あのことについて話しかけられます。でも、知り合いが私に話しかけてくるのは、現在のサッカーについてで、今実際に起きていること、様々なチームに起こっている問題についてです。一方で、インタビューに答えるときは、今日のように必ずあのことが聞かれるし、しょっちゅう話題にあがります。ただ、実生活では誰かに話しかけられることがあっても、必ずしも5得点が一番の関心事というわけではありません。

――あの5得点だけがあなたの偉業のようになっていることを、嫌だと思ったことはありませんか? 選手として、他にも成し遂げたことがあるのに、無視されることが多いですよね?

サッカーに関わる専門家や選手、あるいは、ただファンだという人たちの中にも、私がソ連代表として、または、リーガ・エスパニョーラに所属していたときに成し遂げたことを、まだ覚えていてくれている人がいます。ただ、引退してもう15年以上になるので、ああいったセンセーショナルなことしか思い出してもらえないというのも、当然のことです。たとえば、ウクライナではみな、オレグ・ブロヒンやイーゴリ・ベラノフがバロンドールを獲ったことは覚えています。でも、彼らがどんなプレーをしていたか、語れる人はわずかですからね。

――今の現役選手の中で、ワールドカップで1試合5得点できる選手は誰だと思いますか?

今は時代が違うから、ごくわずかしかいないでしょう。あえて言うなら、(ロベルト)レヴァンドフスキかな。でも、彼のチームはそんなに強くないからどうだろう…。ポーランドは強豪とは言えませんから、あの快挙を達成するのは、とても難しいでしょう。最近では、クラブで活躍しているように見えるストライカーも、味方が最高の選手であって、その恩恵を受けているのです。とりわけ、ハリー・ケインやルイス・スアレスがそうです。ただ、彼らはサプライズを起こせるでしょう。スアレスは、ウルグアイ代表でプレーするとき、何をやるか全く予想がつきません。バルセロナではボックスの中にだけいて、得点だけが求められています。代表チームではそうではないようです。今度のワールドカップで最も多くのゴールを挙げるのは、やはりリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドかもしれませんね。実際、現在のサッカー界で最も点を取っているのは、この2人ですから。

Robert Lewandowski Polandia

――残念なことに、あなたがカメルーン戦で快挙を達成しても、ロシアは1994年のワールドカップで、グループステージを突破できませんでした。許されるのであれば、ベスト16進出と引き換えに、5得点を返上してもよいと思いますか?

はい。ただちに、なんの躊躇もなく交換するでしょう。ワールドカップから帰国したとき、私だけが英雄扱いで、他のチームメイトは無視されました。もっとチーム全体が取り上げられていれば、私ももっと嬉しかったでしょう。でも、ご存知のとおり、私たちはとても厳しいグループに入っていました。最終的に優勝するブラジルと、ブラジル以外には負けなかったスウェーデンと同組だったのですから。とても大変なグループでした。

■母国ロシアのW杯はどうなる?

Russia World Cup Squad

――今のロシア代表をどう思いますか? あなたの頃の方が強かったというのは、間違いでしょうか?

そうですね、攻撃力は低いでしょう。あの当時はもっと人口の多い国でした。チームを構成する選手全員が、ソビエトの出身でした。U17からU19に上がって、最後がトップチームでした。あの当時、我々はほとんど同じメンバーで、ヨーロッパチャンピオンであり(U19、1988年と1990年)、世界チャンピオンでした(U17、1987年)。このチームは結束が固かったですね。今のロシアは、予選が免除されて親善試合しか戦っていませんし、難しいですね。実力がよくわかりません。何が起こるか、どういうプレーをするチームなのか、みんなが注目しています。ただ、グループステージはきっと突破できるでしょう。このグループには本命がいませんから。

――ロシアとなってから、ワールドカップのグループステージを突破できない理由は何だと思いますか?

ソ連が崩壊した後、多くの選手が高いお金を出してくれる外国に行ってしまいました。戻ってきてからも、同じ戦術で戦うことはありませんでした。調整に2~3日しかなかったのです。そのせいで、チームとしては弱くなってしまいました。現在は、選手のほとんどがロシアでプレーしています。だから、今度のワールドカップがどうなるか、とても楽しみです。ユーロでも、ロシアはとてもいいプレーをしました。フース・ヒディンク監督のときは、準決勝まで進出しました(編集部注:2008年)。当時、指導部は本気で最高の選手を集めようとしましたし、選手の多くが、ゼニトという同じチームでプレーしていました。ただ、その後はクラブのほうがより優先されるようになっていますね。

――あなたはロシア代表でしたが、ウクライナの出身で、今はウクライナに住んでいます。どちらをより愛していますか?

私は両方の国とつながりがあります。私はサンクトペテルブルグで育ちました。家族も友達も、ロシア全土にいます。両国には争いがありますが、それは考え方の違いによるもので、大きな行き違いがあるのは確かですが、それは誰も望まないもの。合理的な結果がもたらされることを期待しています。私自身は、ロシアへもよく行きますし、子どもたちに会って、話をしたり、ソ連のOBチームで試合をしたりしています。今起きていることは、すべて政治的な策略によるもので、そんなことは好まない人も大勢いるのです。

インタビュー・文=ナイーム・ベネドラ/Naim Beneddra

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