『プレーオフ1』進出を狙うシント・トロイデン。日本人選手たちが中核を成す可能性も…【サムライたちの現在地】

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いよいよ開幕を迎える欧州各国リーグ。今シーズンも、日本人選手が世界最高峰の選手たちとしのぎを削る事になる。ロシア・ワールドカップが終わった今、日本のサムライたちはどのような成長を遂げ、どのような戦いを見せてくれるのだろうか。今回『Goal』は、そんなサムライ達を特集する。

■遠藤航がデビュー。冨安は2戦連続フル出場

シント・トロイデンの遠藤航が鮮烈なデビューを果たした。

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ともにリンブルフ州に本拠を置くヘンクとシント・トロイデンとのダービーマッチでベンチ入りした遠藤は、後半の69分に交代出場してから2分後に同点ゴールをマークし、アウェー戦で貴重な勝ち点1を得る立役者となった。

7月31日に正式登録された遠藤はベルギー・ジュピラー・プロ・リーグ第2節のヘンク戦がシント・トロイデンでの自身デビュー戦となった。シント・トロイデンのマーク・ブライス監督は後半のスコアレスが続く状況でウォーミングアップ中の彼を呼んでライン際で仔細な指示を与えていたが、その最中にウクライナ代表MFルスラン・マリノフスキーに直接FKを決められてヘンクにリードを許してしまった。

遠藤はチームの司令塔にして攻撃のスターターでもあるロマン・ベズスとの交代を予定していたため、チームとしてはスコアレスのまま試合を推移させる戦略に切り替える節があった。いわばプランが崩れたわけだが、それでもブライス監督は遠藤をピッチへ送り出してチームの引き締めを図った。

ヨーロッパクラブでの初ゲームにも関わらず、遠藤の所作は実に落ち着いていた。ピッチに立つとすぐさま味方選手に自らのポジションを伝え、システムの徹底を促す。そして、すぐさま味方からパスを受けるとワンタッチを駆使して中盤を活性化させていく。後半のシント・トロイデンはヘンクにゲームの主導権を握られて守勢に回っていたが、遠藤の登場によって流れは確実に変わった。

そして71分、遠藤はFWヨアン・ボリにボールを預けて相手ゴール前まで進出し、ボリからの折返しを右足インサイドで捉えてゴール左下へ蹴り込んで試合を振り出しに戻した。推進力のある前への挙動、ワンタッチで蹴り込んだシュート精度が光ったが、中でも一連の流れのファーストタッチでノールック気味に前線へワンタッチパスを繰り出した判断が秀逸だった。これは『ボランチで勝負したい』と語ってベルギーへ向かった遠藤が中盤の局地戦で広角な視野を保ち、冷静なプレー判断できることの証でもある。

■冨安、遠藤は定位置獲得へ

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また昨季途中にチームへ加入した冨安健洋は2戦連続でスタメンフル出場を飾り、守備陣の一角として奮闘している。188センチ、78キロの体格は相手に見劣りせず、局面での1対1では機敏なステップとハードチャージで優位性を保つ。ヘンク戦ではオールコートマンマークを用いたチーム戦術の中で相手FWレアンドロ・トロサールを監視し続けてエリアを封鎖し、その存在を誇示した。ボール奪取からの攻め上がりで逡巡するシーンも見られるなど攻撃面では課題があるものの、冨安はその潜在能力でチームの信頼を勝ち取りつつある。

ブライス監督は開幕節のセルクル・ブルージュ戦で4-1-4-1を採用したが、ヘンク戦では相手対策を施して3-4-1-2へとシステムを変更した。そのなかで冨安は、4バックではジョルジュ・テイシェイラとセンターバックでコンビを組み、ヘンク戦で採用した3バックでは右のストッパーを任されるなど、ディフェンスラインのファーストチョイスとして扱われている

一方、遠藤の場合は様々な起用法が考えられる。ヘンク戦のように攻撃的な選手と入れ替わる形での出場では中盤での支配力を高め、敵陣でのファーストディフェンス強度を増せるだろう。ただ、おそらく遠藤は今後レギュラーに抜擢されるはずだ。

シント・トロイデンの中盤は変則的なシステムを用いていて、4-1-4-1の際にはアンカーにベテランのスティーブン・デ・ペッターが入り、アレクシス・デ・サールがフリーロールのように様々なエリアでプレーする。そしてトップ下に背番号10のベズスが入るが、遠藤はいずれのポジションでもプレーできる素養がある。ただ、中でもチームのウィークポイントと目されるのがアンカーで、当面はデ・ペッターとポジション争いをするのではないか。ちなみに3-4-1-2で戦ったヘンク戦ではデ・ペッターが左ストッパーで先発し、アンカーは昨季から出場機会が限られていたサミュエル・アサモアが務めていた。

試合登録が済んでわずか5日後のダービーマッチでベンチへ入れ、重要な局面で遠藤を起用したブライス監督は「日本から来たエンドウが入って、ゴールを生んだ。夢のデビューだ」と語り、彼に最大限の賛辞を送った。たった1試合で、早くも遠藤はチームの中軸として認識された感がある。

■攻撃の一翼を担う関根も当然レギュラー候補

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そして、シント・トロイデンに所属するもうひとりの日本人選手である関根貴大の動向についても記したい。7月10日にドイツ・ブンデスリーガ2部のインゴルシュタットからレンタルで加入した関根は加入後初の練習試合で4アシストして早くも実力の片鱗を示したが、続く2試合目の練習試合で相手選手と接触して右膝を打撲し、離脱を余儀なくされた。その後約3週間のリハビリを得た彼は8月第2週に入ってようやくチームメディカルからゴーサインが出されて全体練習へ復帰し、現在は虎視眈々とシント・トロイデンでのデビューを狙っている。

浦和レッズに所属していた時代の関根は左右のサイドアタッカーで実績を積み上げたが、今後ベルギーリーグで出場を果たした際には、これまでの印象とは異なるプレーが見られるかもしれない。本来ならば右MFのアレクサンドル・デ・ブリュン、左MFのクリスティアン・セバージョスらとのポジション争いになるが、昨季在籍したインゴルシュタットではサイドMF以外にサイドバック、シャドー、ボランチで試されたことがあり、4アシストした先述の練習試合では2トップの一角でプレーしている。

浦和ユース時代の関根はトップ下、もしくはシャドーでプレーし、プロ昇格直後の浦和のキャンプでは練習試合でハットトリックしたように、元々フィニッシャーとしての能力を備えている。ブライス監督が彼をどう評価するのかは分からないが、2節を終えた時点でチームの総得点が遠藤の1ゴールのみという状況を鑑みれば、関根にはチームの得点源としての働きが求められる可能性が高い。

ベルギー・ジュピラー・プロ・リーグは30試合を戦う年間リーグの上位6チームが、そのシーズンの半分の勝ち点(奇数の場合は繰り上げ)を持って10試合の『プレーオフ1』を戦う。また7位から15位のチームと2部の1位から3位は『プレーオフ2』へ進んで6チームずつ2組に分かれ、同じくホーム&アウェーで10試合を行う。昨季年間リーグ10位で『プレーオフ2』に進み、ロケレンに続いてグループ2位に入ったシント・トロイデンの今季目標は『プレーオフ1』への出場だ。『プレーオフ1』で優勝すれば来季のUEFAチャンピオンズリーグ本選への出場、2位でもCL予選3回戦からの出場を得られるなど、ジュピラー・プロ・リーグはヨーロッパの舞台へと道筋がつながっている。2017年11月15日に日本企業の『DMMグループ』が経営権を獲得したクラブは、その足がかりを築くべく今季に臨み、それと並行して日本人選手のヨーロッパ進出をも後押しする。冨安、遠藤、関根がその期待に応えられれば、日本サッカー界にも様々な影響を与えられるだろう。

文=島崎英純(スポーツライター)/Hidezumi Shimazaki

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