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セネガル代表。シセ監督の分析と選手の能力が複合した難敵【対戦相手分析】

ロシアW杯グループリーグ第1戦でコロンビアに勝利を収めた日本は、24日24時(日本時間)、エカテリンブルクでセネガルと対戦する。

筆者は21日に行われたフランスvsペルーを取材するため先入りしているが、昼まで15度、キックオフ時間の現地20時には12度前後まで気温が下がり、上着をはおっていても肌寒い。試合中の気温が25度を超えたサランスクとはかなり異なる環境での試合になりそうだ。

対戦相手のセネガルも第1戦で、欧州の強豪ポーランドを2-1で破り、波に乗っている。ベスト8に躍進した2002年日韓W杯のキャプテンだったアリウ・シセ監督は「今大会で唯一の黒人監督」と自らを語るが、熱いモチベーターであるだけでなく、非常に研究熱心で相手をスカウティングしてくる。

■マネは左、右?あるいはトップ下?

ポーランド戦では[4-4-2]でエースのサディオ・マネ(リヴァプール)を左サイドハーフに置いてきた。先制点はFWのエムバイェ・ニアン(トリノ)が左サイドのルーズボールを制し、その間に左から中に流れたマネが仕掛けて出したパスをボランチのイドリサ・ゲイ(エバートン)が放ったシュートが相手に当たり、オウンゴールになった。

マネはこれまで右サイドハーフを担当することが多かったが、3月の親善試合では[3-4-1-2]というフォーメーションのトップ下だった。そのためシセ監督が日本相手に、どういう形でどこのポジションにマネを起用してくるか分からない。日本としては、スタート時にポジションを見て即、対処法をチーム内で共有する必要がある。

マネについてはプレミアリーグをよく観る人はよく知っていると思うが、高速ドリブルでの突破力はもちろんのこと、正確なシュートに加えて意外性のあるラストパスもオプションに備えている。前線のどのポジションでも自在にプレーできるため、かなりつかみどころの難しい選手だ。

仮にポーランド戦と同じく左サイドに入ったとしても、そこからかなりフリーなポジションを取ってきて、時間帯によっては逆サイドにも回るので、右サイドバックの酒井宏樹、左の長友佑都はもちろん、センターバックとボランチも臨機応変にチェックしていく必要がある。

■マネだけ抑えればいいというものでもない

もしペナルティーエリア付近で前を向かせて1対1になってしまったら、まず決定的なシュートに持ち込まれるという覚悟で、できるだけそうさせない監視体制を持っておく必要がある。ただ、そのマネだけ抑えたらすべて解決するほどセネガルの攻撃は甘くはない。屈強な2トップを擁し、マネと逆のサイドに位置するアタッカーも新進気鋭のワールドクラス予備軍だ。

ポーランド戦では右サイドハーフに20歳のイスマイラ・サールが抜擢された。フランスのレンヌに所属するドリブラーで、直線的に突き破ろうとする仕掛けは、マネとはまた違った怖さがある。またポーランド戦では出番がなかったが、昨シーズンのセリエAで16得点を挙げた大型サイドアタッカーのケイタ・バルデ(モナコ)が起用される可能性もある。

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シセ監督はディフェンスリーダーのカリドゥ・クリバリ(ナポリ)、エースのマネを除けばレギュラーを固定せずに総力戦で上位進出を狙う構えを見せている。そのためポーランド相手で勝利を挙げた先発メンバーから半分ぐらい変更してきてもおかしくない。その試合では途中出場だったキャプテンのMFシェイク・クヤテ(ウェストハム)が満を持して日本戦に先発してくるかもしれない。

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▲プランAはポーランド戦で見せたイスマイラ・サールを右サイドに置いた形。

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▲プランBはキャプテンのシェイク・クヤテを1ボランチに。このほかプランCとして、エムバイェ・ニアン、マメ・ビラム・ディウフの2トップ、サディオ・マネをトップ下においた3-4-1-2の可能性もある。

■デュエル、セットプレー。身体能力の高さは半端ない

日本サイドもチームとしては、まず初戦のコロンビアに集中する姿勢を打ち出していた。個々には映像などを見て、自分のポジションとマッチアップする可能性のある選手をチェックしていたようだが、マネも含めて「試合の入り」で全体感を掴む必要がある。

セネガルはヴァイッド・ハリルホジッチ前監督も警戒していたように、デュエルの強さは大会屈指で局面の1対1はコロンビアより厳しい。そうした対1やセカンドボールで怯まないことも大事だが、できるだけ数的優位を作ってまともなデュエルの勝負に持ち込ませないようにはしたい。

またセットプレーではターゲットマンの平均身長が190cm近くなり、体の厚みもあるのでかなり厳しい。その中でも195cmでユベントスからもゴールを奪ったクリバリに吉田麻也、196cmのサリフ・サネ(ハノーファー)にもう1人のCBが付くような形になるはずだが、一発でのヘディングシュートを防げたとしても、こぼれ球を拾われたら失点の可能性が高くなる。日本がセカンドボールをどれだけ拾えるかもカギになってきそうだ。

セネガルの守備はボール奪取力に優れる中盤の背後にセリエA屈指のDFと定評のあるあるクリバリと、強靭なフィジカルを誇るサネというセンターバックのコンビが構える。シンプルに中央から突破してシュートに持ち込むことは不可能に近いが、日本としては、いい位置でボールを取れた時にショートカウンターを狙い、その中で香川真司と乾貴士のコンビネーションなどを駆使してゴールをこじ開けられたら理想的だ。

ただし、セネガルは絶対に勝ち点3を取らなければいけない相手ではない。日本の選手は多くが勝って突破を決めてしまいたいと語るし、西野朗監督もそのためのプランニングをして試合に入ると思われる。とはいえ、終盤で同点という状況になれば、賢く勝ち点1を取るプランに切り替える、そのための準備をしておくことも重要だろう。

文=河治良幸

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