2018_8_22_Jairo(C)Getty Images

「サイレントボス」酒井高徳とマテウスが称賛した伊藤達哉…昇格がノルマのハンブルガーSVで両雄にかかる期待 【サムライたちの現在地】

◆酒井高徳

●立ち位置
右サイドバックのレギュラー
●個人目標
年間を通してフル稼働
●ポジション争いのライバル
トビアス・クノスト、ヨシュア・ファグノマン

◆伊藤達哉

●立ち位置
左ウイングのレギュラー候補
●個人目標
レギュラーとして昇格に貢献、得点力の向上
●ポジション争いのライバル
ハイロ・サンペリオ

■マテウスをも魅了したハンブルクの希望

2018_8_22_tatsuya_ito(C)Getty Images ハンブルク3年目だった昨シーズンの酒井高徳は、低迷するチームの中でベストを尽くすべく複数のポジションで奮闘した。自身を主将に指名したマルクス・ギスドル監督の下では、主に左サイドバックとセントラルMFでプレー。第20節のRBライプツィヒ戦から指揮を執ったベルント・ホラーバッハのチームでは、3人で構成するセンターバックの右や5バックの右サイドバックを務めた。ただ、歯車がかみ合わないチームと足並みを揃えるように、自身のパフォーマンスも安定しない。それでも主将として声を嗄らし、最後まで諦めない姿勢で奮戦。ラスト8試合を率いたクリスティアン・ティッツ現監督の下でもレギュラーの座を譲らなかった。

この先達のピッチ内外でのサポートを得ながら、ハンブルク・ファンの希望になったのが伊藤達哉だ。4部リーグの第8節までに5アシストを記録するなど、セカンドチームで目覚ましい働きを見せ、9月24日のレバークーゼン戦でブンデスリーガ・デビューを果たす。自慢の高速ドリブルは1部でも十分に通用し、個で局面を打開できるウイングとして異彩を放った。守備に重きを置いたホラーバッハの下で不遇をかこったが、セカンドチームで師事したティッツ政権が発足すると、不動の左ウイングとして幾度となくビッグチャンスを演出。シーズン後にブンデスリーガ公式の「ルーキー・オブ・ザ・シーズン」の候補にノミネートされ、元ドイツ代表のローター・マテウスに「彼のプレーを見るのが大好きだ」と言わしめるほどの充実ぶりを見せた。

■伊藤の前に出現した手強いライバル

2018_8_22_Jairo(C)Getty Images 選手たちの奮闘も虚しく、クラブ史上初となる2部降格の憂き目に遭ったハンブルクに、酒井も伊藤も残留する決断を下した。フィリップ・コスティッチやニコライ・ミュラー(ともに現フランクフルト)、ボビー・ウッド、ワラシ(ともに現ハノーファー)、アルビン・エクダル(現サンプドリア)ら数多くの選手たちが去る中で、1シーズンでの1部返り咲きが目標となるチームを離れなかったのだ。ちなみに、酒井はJリーグ時代を含め、キャリアを通じて初めてセカンドディビジョンでプレーすることになる。

両雄の残留はハンブルクにとって確実にプラスだ。特に右サイドバックはデニス・ディークマイアーの退団に伴い、頼れる人材が酒井しかいない。2~3番手はユース上がりの18歳であるトビアス・クノストと17歳のヨシュア・ファグノマンで、どちらもトップチームで通用するかは未知数。自らの意向でキャプテンの座を降り、ピッチでのプレーにより集中できる立場になった酒井には、年間を通してのフル稼働が期待される。

一方の伊藤には手強いライバルが出現している。かつてマインツで武藤嘉紀と同僚だったスペイン人ウインガー、ハイロ・サンペリオだ。ラス・パルマスから新加入したドリブラーは実際、開幕戦で先発出場した伊藤を押しのけて、第2節のザントハウゼン戦で左ウイングのスタメンに名を連ねた。ここ2年は精彩を欠いているものの、ハイロは2015―16シーズンにブンデスリーガで7得点・8アシストを記録した実力者。当時のマインツよりポゼッション、攻撃意識の強いハンブルクで輝きを取り戻す可能性はある。

■主将ではなくなるも、指揮官は「サイレントボス」と称賛

2018_8_22_sakai(C)Getty Images そのハイロとの競争に勝つには、得点力を高める必要があるだろう。本人も昨シーズン、ドリブル後のプレー精度のアップを課題に挙げていた。ティッツ監督から「一対一の強さはロッベン、リベリ級」と称される伊藤がコンスタントにゴールまで奪えるようになれば、それこそ鬼に金棒だ。昨季の2部デュッセルドルフで8ゴールをマークした宇佐美貴史ほどの成績は残せなくても、一昨季の2部シュツットガルトで4得点を決めた浅野拓磨と同等以上のパフォーマンスを示せた暁には、日本代表への初招集も視野に入るはずだ。

ロシア・ワールドカップ後にサムライブルーからの引退を発表した酒井は、2部の舞台で格の違いを見せたいところだ。キャプテンではなくなったとはいえ、責任から逃れようとしているわけでもない。ティッツ監督からは「サイレントボス」と称され、本人は地元紙ハンブルガーモルゲンポストに「ピッチ上に11人のキャプテンがいれば、僕たちは成功できる」と語るなど、チーム全体の成長を促そうと意識している。

日本代表入りを目指す伊藤と、日本代表から退いた酒井。二人の日本人がいかなるパフォーマンスで、昇格を目指すチームに貢献していくのか。2部リーグとはいえ、そのプレーから目が離せない。

文=遠藤孝輔(サッカージャーナリスト)

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