遠藤はブレーキ、ホールド、ステアリングを同時に行う選手であり、彼がピッチに立っていれば予測不可能な事態は存在しない。この背番号3はリヴァプールにバランスをもたらす者なのだ。遠藤はピッチという銀河を駆け回って、バランスを崩壊させ得る問題を解決し続ける。ハイプレスを生命線とするリヴァプールにとっては、まさに必要不可欠だ。
1-4-3-3のアンカーを務める遠藤は、「前に出てプレスを仕掛ける」、「サイドのカバーリングをする」、「チームメートのサポートに回る」という行動を几帳面かつ継続的に行なう。その戦術理解力とデュエルの強さは特筆もので、それらがチームの危機的状況を事前に防ぐことを可能としている。
リヴァプールは守備から攻撃、攻撃から守備へのトランジションを要としているチームだが、几帳面かつ狡猾で、「攻撃→攻撃」から「攻撃→守備」、「守備→攻撃」、「守備→守備」の4局面を支配できる遠藤は要となる存在だ。彼こそ、まさに模範的な守備的MFであり、そのポジショニングと各アクションでの読みの鋭さによって、ピッチ上で権威を振るっている。
では、遠藤の具体的なプレーはどういったものなのだろうか? 前からのプレスにおいてはインサイドハーフ2枚とともにスペースを消しながら、チーム全体のアグレシッブさも利用しながらボール奪取を試みる。自分が対応すべき相手に対しては前を向くことを許さず、パスを受ける前に先んじて“潰す”ことを狙う。もし相手がこの最初のプレスを突破すると、遠藤の主要な動きは中央のスペースを閉じることになるが、サイドの守備のサポートに回る意識も決して忘れない。
遠藤は常に視野を確保して、あらゆる場所に駆けつけられるようスペースを管理している。中央に絞り過ぎることもサイドに開き過ぎることもない状態で、各場面で適切な決断を下している。加えて、彼はペナルティーエリア内に送られるクロスの守備者としても有能だ。例えばニューカッスル戦(第20節:4-2)、カーティス・ジョーンズのゴールで2-1となる前には、これまでにイブラヒマ・コナテやサイドバックの選手たちを助けてきたように、フィルジル・ファン・ダイクの面目も保っている。
遠藤が従事している仕事は華々しいというよりも、まさにチームのために行う内々のもので、広く称賛される選手ではないかもしれない。が、その運動量やプレーリズム、戦術理解力は、対戦するチームの監督が畏怖の念を抱くレベルだ。指導者にとっては、遠藤のような選手こそがスターなのである。