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久保建英がいるからこそ、最大限の夢を見る――ソシエダ地元記者がPSG戦で願う「最高のタケ・クボ」の姿

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直近の公式戦9試合でわずか1勝、ラ・リーガでは7位まで順位を落とし、コパ・デル・レイではPK戦の末に準決勝敗退……非常に厳しい時期を過ごすレアル・ソシエダ。そんな中で5日、チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦で、パリ・サンジェルマン(PSG)と激突する。敵地でのファーストレグを0-2で落としたため、ソシエダには最低2ゴールが求められる状況だ。攻撃力に不安を抱えるソシエダにとって、欧州最高峰の選手を並べるPSG相手のこのミッションは非常に難しいものとなるだろう。

それでも、バスクの人々は夢を見る。その夢を叶えられる存在は、久保建英だと信じている。バスク出身ジャーナリストのナシャリ・アルトゥナ氏は、そんな日本代表MFへの思いを綴ってくれた。

文=ナシャリ・アルトゥナ(Naxari Altuna)/バスク出身ジャーナリスト

翻訳=江間慎一郎

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    久保建英とイ・ガンイン

    約1カ月前、アジア王者を決する戦いは日本と韓国によって争われると思われていた。が、両国とも決勝までは到達できず。そして今、この欧州の地で久保建英、イ・ガンインという元チームメートであり、日韓のスター2選手が激突しようとしている。

    久保とイ・ガンイン。2001年に生まれの二人は、2021-22シーズンに揃ってマジョルカでプレー。20歳だった彼らは、ハビエル・アギーレ率いるチームのラ・リーガ1部残留に貢献している……久保は今季、皮肉にも彼らにコパ・デル・レイ決勝進出を阻まれてしまったが。

    それから2年が経ち、久保とイ・ガンインのフットボール界における地位も変化した。久保はラ・レアルにとってかけがえのない存在となり、片やイ・ガンインもPSGのスター選手と考えられている。彼ら東アジアの煌めく2選手は、チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦、アノエタを舞台とした2ndレグで、再び顔を合わせるのだ。欧州最高峰の大会における注目の2選手として。

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    正反対のクラブ

    久保がアジアカップに参加している間、ラ・レアルは苦しみ続けた。ファンの頭に何度、彼の可愛らしい顔が浮かんだか……。イマノル・アルグアシル率いるチームは負傷者が続出し、無傷の主力選手たちも疲労を溜めに溜めている。得点力不足は深刻で、守備にも問題を抱え続けた。

    CLグループステージが懐かしい。ラ・レアルはインテル、ベンフィカ、ザルツブルクを相手に、久保を中心として素晴らしいパフォーマンスを見せ、3勝3分けと無敗でベスト16に進出。失点数はわずか「2」と、32チームの中でも断トツに少なかった……だが、もちろんラ・レアルのように選手層が決して厚いとはいえないチームがCLに参加すれば消耗は激しく、今になってそのツケを払わされている。今季終盤に入り、私たちは明るいニュースを失いつつある。コパではPK戦の末にマジョルカに敗れ去り、PSGとの1stレグも0-2で落とした。

    それでも、希望は消えない。ラ・レアルのサポーターは本拠地アノエタで、歴史的な逆転勝利を果たすことを夢見ている。たとえ相手がカタールから送られてくる金に満たされた、欧州を代表する強豪の一つであろうとも。

    ラ・レアルはトップチームの60%以上が一貫したプレースタイルを教え込む下部組織の選手たちで構成され、外部から獲得する選手たちも家族のように扱う。いわば、PSGとはベクトルが逆の存在である。人口19万人ながら世界屈指の美食の町としても知られるサン・セバスティアンのクラブが、町同様の職人気質と工夫でもって、欧州最大級の都市パリのクラブに立ち向かうことには大きな意義があるはずだ。

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    “私たちの一人”

    もちろん、この一戦で最も注目を集めるのは現・世界最高の選手キリアン・エンバペであり、準々決勝進出の本命は彼が引っ張るPSGだ。それでもラ・レアルのサポーターは巨人のようなチームとの対戦で、世界中にサプライズを与えることを期待している。自チームがCLグループステージの頃のような輝きを取り戻すことに。

    そして、その期待の中心にいる選手こそが、久保なのだ。

    日本でこの試合を放送する映像会社は、とにかく久保の存在をプッシュするプロモーションを行なっていることだろう。程度やニュアンスの差こそあれど、それはスペインやバスクでも同じだ。例えば、イマノルが久保を温存したラ・リーガ第27節セビージャ戦でも、ベンチに座る日本人MFの様子をテレビカメラが何度も捉え、実況や解説も「最たる違いを生み出す選手」として何度もその名に言及していた。それはラ・レアル、ひいてはリーガにとって久保がいかに重要な選手であるかを物語っている。

    そう、イマノルはわざわざ日本でも見やすい時間帯に開催されたセビージャ戦で、久保を最後まで出場させず、さらにミケル・オヤルサバル、ミケル・メリーノもベンチスタートとして後半途中から起用した。もちろんPSGとの決戦に向けて、フレッシュな彼らを必要としているからだ。

    ラ・レアルの攻撃がPSGの守備を穿てるかどうかは、何よりも久保の閃きにかかっている。この背番号14がリュカ・エルナンデスを相手に何ができるか、に。アノエタに住まう人々はすでに分かっている。日本人MFが大一番でこそ勝負強さを発揮することに。

    サポーターが心に深く刻んでいる久保のプレーは、アノエタのバスクダービーで決めた昨季と今季のゴールだ。とりわけ昨季、まだ前半だったにもかかわらず衝動的にユニフォームを脱いでゴールを喜んでいた姿は、彼がすでに“私たちの一人”であることを強く感じさせた。今回のPSG戦で、久保が私たちの心にさらに食い込むプレーと振る舞いを見せてくれるならば、これほどうれしいことははない。

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    久保が見せる夢

    このPSG戦、ラ・レアルの前線は右から久保、オヤルサバル、負傷明けのアンデル・バレネチェアが並ぶとみられている。オヤルサバルが“偽9番”の役割を務めてスペースメイクしつつ、右サイドに張る久保が相手DFとどれだけ優位な状況で勝負を仕掛けられるかが鍵となるだろう。そして、もし久保が徹底マークに遭うならば、今度はバレネチェアの活路が開くことになる。両サイドからどれだけPSGを揺さぶれるかが肝要であり、そして前日会見に出席した久保が「僕たちはアタッキングサードでのプレーを的中させる必要があります。それがラ・レアルがうまくいっているときと何かが足りないときの違いです」と語っていた通り、最後の詰めで精度の高いプレーが求められる。

    PSGを打ち破るためには最高のスビメンディ、最高のミケル・メリーノ、最高のブライス・メンデス、最高のオヤルサバル、最高のバレネチェア、そして大一番仕様の「最高のタケ・クボ」が必要となる。

    夢を見るのは自由だ。ラ・レアルとそのサポーターは夢を見る。久保がいるからこそ、最大限の夢を見る。たとえ、外部の人間が「まだ早いだろ」と嘲笑していたとしても、バスクダービーで前半からユニフォームを脱いだ彼の強い気持ちを信じているのだ。

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