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久保建英が抱え続ける「継続性」という問題:ビッグクラブ移籍へ本人が負うべき“責任”を西紙副編集長が分析

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日本代表MF久保建英の活躍は、今季も大きな注目を集めている。それは彼が活躍するスペインでも同じであり、レアル・ソシエダの命運を握る23歳のプレーはもちろん、その言動など一挙手一投足は現地でも大きく報じられている。

しかし、今季の久保は公式戦33試合に出場して5ゴール3アシストを記録しているものの、ベンチスタートの機会が増加。ラ・リーガでは23試合中6試合がベンチスタート、ヨーロッパリーグでは2試合が途中出場、1試合が前半のみで交代、1試合は出場なしとなっている(先発4試合)。

そうした状況はなぜ生まれているのだろうか? 久保を長く追いかけるスペイン『アス』副編集長ハビ・シジェス氏は、そのプレーの効果性とポテンシャルを絶賛しつつも、「気がかりが一つある」として彼が抱える問題点を指摘する。夏以降のビッグクラブ移籍を期待しつつ、久保が真のスタープレイヤーになるための課題を紐解いていく。

文=ハビ・シジェス/スペイン紙『as』副編集長

翻訳=江間慎一郎

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    久保に欠けているもの

    久保建英は今季、ここから真価を発揮しなければならない。彼は「自分をキャリアの崖っぷちから救ってくれた」というラ・レアルで、まだやらなければいけないことがある。示さなければいけないことがある。

    今季のラ・レアルは、とりわけシーズン序盤に不安定さを見せたが、今現在は失望より希望に近い位置にいる。コパ・デル・レイでは準決勝に進出し(次の相手はレアル・マドリーだが…)、ヨーロッパリーグでは決勝トーナメントプレーオフでミッティランと対戦。そしてリーガでは間違いなく、欧州カップ出場権を争い続けるだろう。

    ラ・レアルの浮沈の鍵を握る存在は、もちろん久保だ。ただ、気がかりが一つある。それは、彼がこれまでずっと求められてきた継続性を、いまだ手にできていないことである。

    久保の輝きが断続的となってしまう理由は何か? もちろん、イマノルが頻繁にローテーションを行なっている影響もあるだろう。しかし言ってしまえば、その責任は久保本人にしか存在し得ないのだ。

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    報道の加熱

    この日本人選手を取り巻く状況については、しっかりと考えなければいけないことがある。日本では「彼にとってラ・レアルはあまりに小さいチームだ。だから活躍ができない」との指摘もあるそうだが、そういうことでは決してない。確かに今夏の市場で、久保はステップアップとなる移籍をした方がいいだろう。だが彼が収めている成果は、ラ・レアルというチームのスケールではなく、自分自身にのみ左右されることなのだ。

    また、久保に対して過剰な期待があるならば、それは彼にとって最大の敵になり得る。日本では現在、彼の去就に関してあまりに無責任な報道が繰り返されているという。久保を欧州のビッグクラブと関連付ける海外の記事が、さも真実のように紹介されているとのことだ。

    だが残念ながら、いくつかの無責任なメディアが紹介している記事には現在のところまったく価値がない。そうした記事は取材源が存在するときだけ価値を持つが、現時点では根拠のない“メディアもどき”の記事ばかり。そうしたクリックベイト目的の記事を無責任に事実のように紹介するという流れは、久保にとって何の役にも立たない。それは久保の現在と未来についての見方・認識を誤らせて、余計な重圧すら生み出してしまうものなのだから。

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    際立つ久保の能力

    さて、そうした忌まわしき雑音を取り除いたとしても、次の市場が久保にとってステップアップを果たす絶好の機会であることは間違いない。とはいえ、彼にはまだラ・レアルで証明しなくてはならないことがある。対戦相手はもちろん、ポジション争いをする未来のチームメートとも競い合える実力があること、世界最高峰の舞台でも輝けることを……。久保の才能と実力を考えれば、そうすることは十分に可能だろう。

    ここ最近に久保が見せているプレーには、大きな期待が持てる。シーズン序盤こそラ・レアル全体の低調なパフォーマンスに引きずられたものの、ここ数カ月で流れを変えて、チームにとってかけがえのない貢献をする選手に戻っている。

    久保はポジショナルな攻撃において大きな効力を発揮する。彼のようにフットボールというゲームを理解している選手は、ごくわずかだ。チームのビルドアップ時、中央とサイドのどちらでパスを受けるべきかを巧みに判断し、ボールをトラップすれば頭を上げて次の最適解となるプレーを選択。そのドリブル突破、ラストパスのクオリティーは凄まじく、それがラ・レアルにありとあらゆる可能性を与えている。

    久彼は圧倒的な緩急のドリブルから内に切れ込んでフィニッシュを狙い、また縦に抜ければゴールライン際からクロスを供給する。加えて、その足の速さから、カウンター時には自らドリブルを仕掛けても、ボールなしでゴール前に走り込んでも相手にとって脅威となる。

    久保は攻撃のほか、守備でも責任を背負える選手だ。彼はマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェに在籍した経験もあって、一連の守りの動きをしっかりこなせる。もし今夏、どこかのビッグクラブに移籍するならば、それは大きな利点となるだろう。

    久保は守備における献身性が際立つ。積極的にプレスを仕掛け、必要なときにはサイドバックのカバーも怠らない……一つだけ難癖をつけるとすれば、ラ・レアルが後方で守備ブロックをつくるとき、背後のケアが少し疎かになってしまうところか。とはいえ、賢明かつ成長のための努力を怠らない彼のことである。そうした欠点も、時間とともに解消されていくはずだ。

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    ビッグクラブへ行くために

    そして、久保が今夏飛躍を果たす上で、最も気がかりなのが前述の通り継続性である。彼は圧倒的パフォーマンスを見せる試合もあれば、プレーの精彩をひどく欠いてしまう試合、存在感がまったくない試合もある。本格的なブレイクを果たすために、よりコンスタントに活躍する必要があるのは明白だ。今は、浮き沈みが激し過ぎる。

    また久保が良いプレーを見せられないとき、イマノルやチームのせいにすべきではない。久保が低調ならば、それは彼自身の問題と扱うべきだ。ラ・レアルの攻撃陣の中で、彼のクオリティーは誰よりも優れている。いや、飛び抜けている。だからこそ、彼がチームを引っ張らなければいけないのだ。

    久保はここからシーズン最後の直線に立ち向かうことになる。コパ(これは難易度が高いが)、ヨーロッパリーグ、リーガの欧州カップ権争いのいずれかで、ラ・レアルが成功をつかむことができるか、ラ・レアルで有終の美を飾れるかは彼次第である。才能あふれるこの日本人の活躍を期待しているのは、フットボールを愛する私たち、ひいては、フットボールそのものにほかならないのだ。

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