ドク以外にもグアルディオラ監督の下で適応期間を必要とした選手はいる。ジャック・グリーリッシュ、ヨシュコ・グヴァルディオル、ニコ・ゴンサレスも、初めてのシーズンの大半をかけて監督のスタイルを習得した。ドクにはどうしても2シーズンが必要だったわけだが、今では監督が求める役割を完璧にこなしているように見える。そしてグリーリッシュと異なり、彼のスター性は損なわれていない。
2人の違いは、ドクが自らのスキルを最大限に活かす方法を見出だしたことにある。グアルディオラ監督は、ドクのパフォーマンスが向上したのは彼自身のおかげだと強調し、こう言った。「私は自分を良い監督だと思っているが、私を過大評価しないでくれ。選手の成長は選手自身が成し遂げることだ。我々がしなければならないのは、良い環境を与え、良好な関係を築くことだ。私がドクにドリブルの仕方を教えたわけではない。あれは天性の才能だ」。
実際、幼少期のドクの映像を見れば、そのドリブルスタイルが一目でわかる。ドクは、故郷アントワープのコンクリートのピッチで、兄のジェファーソンや友人たちと延々と時間を過ごし、独特のドリブルの技術を磨いた。10歳でベルギーの強豪アンデルレヒトのアカデミーに入ったが、プロとしての教育を受けても、頭を下げてドリブルし、チームメイトよりも自分のためにプレーする傾向に変わりはなかった。
ティエリ・アンリは、ベルギー代表チームでロベルト・マルティネスが監督だった時、アシスタントコーチとしてドクを指導したが、レンヌの選手だった頃のドクのドリブルの才能を絶賛していた。しかし先週、アーセナルのレジェンドは、ドクにはサッカーにおける知性を磨く必要があると認めたのだった。
「彼には限界がないが、指導が必要だ」と、アンリは『CBS』で語った。「誰かに何かを説明しても、その背後にある思考プロセスが理解できなければ、その人は何をするべきかを理解できない。ドクのフィニッシュが素晴らしいことは誰もが知っているが、時にはスピードを落とし全体を見てから再加速する必要がある」。