5月1日に行われた試合で、リヴァプールはトッテナムに4対3で勝利。チャンピオンズリーグ出場が厳しい状況になっている2チームの対戦だったが、非常にエキサイティングな幕切れとなった。
リヴァプールはアンフィールドで過去にもドラマティックな試合を展開してきた。今回は、アンフィールドでの劇的な試合を振り返る。
Getty/GOAL5月1日に行われた試合で、リヴァプールはトッテナムに4対3で勝利。チャンピオンズリーグ出場が厳しい状況になっている2チームの対戦だったが、非常にエキサイティングな幕切れとなった。
リヴァプールはアンフィールドで過去にもドラマティックな試合を展開してきた。今回は、アンフィールドでの劇的な試合を振り返る。
Gettyこのリストにおいて、スティーブン・ジェラードのゴールを外すことはできないだろう。
2003年春、レッズは上位4チーム入りを目指して苦しんでおり、ホームで順位表の中位にいたチャールトンにリードされていた試合を、86分にサミ・ヒーピアのゴールで同点に追いついていた。
そしてジェラードが試合をひっくり返した。左サイドでボールを受けると、2人のディフェンダーの間を突破し、ペナルティーエリアに進入。低いシュートを放って、相手ゴールキーパーのディーン・カイリーをもだえさせたのだ。
熱狂が沸き起こり、貴重な勝ち点3がもたらされた。その後ジェラードはさらに多くの得点をもたらすことになり、レッズファンは、その後の数年間にわたり、ジェラードの活躍を祝福するようになる。
Gettyこちらもスパーズ相手の試合で、試合終了ぎりぎりでの勝利だった。この試合の光景には酔いしれなければならない。
当時ジョゼ・モウリーニョ監督に率いられていたトッテナムは、順位表のトップに立っていた。2020年のクリスマス直前、アンフィールドにやってきたが、93分、ロベルト・フィルミーノにヘディングシュートを決められ、勝ち点を積み重ねることができず、レッズに首位の座を明け渡した。
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このシーズンは最もフラストレーションがたまるシーズンだったが、それでもリヴァプールは最もドラマチックで最もスペクタクルな勝利のいくつかを手にすることができた。
そのひとつが8月のニューカッスル戦で、ファビオ・カルヴァーリョが98分にゴールネットを揺らし、当時エディ・ハウ監督が率いていたニューカッスルを下したのである。前半はアレクサンデル・イサクのゴールでニューカッスルがリードしていたが、その後のたび重なる時間稼ぎにアンフィールドは爆発寸前だった。
その報いとしてニューカッスルは、コーナーキックからのカルヴァーリョのゴールを食らったのである。
Getty1994-95シーズンのプレミアリーグの最終日、ブラックバーン・ローヴァーズはプレミアリーグ優勝を果たした。
当時、ケニー・ダルグリッシュ監督に率いられたブラックバーンには、優勝を確実にするためにアンフィールドでの勝利が必要だった。前半、アラン・シアラーのゴールでリードしたブラックバーンにとって、優勝を争っていたマンチェスター・ユナイテッドがウェストハムにリードを許していたこともあり、すべてがバラ色だった。
ところが、まもなく事態は変化する。ロンドンではマンチェスター・Uが同点に追いつき、マージーサイドでもジョン・バーンズが同点弾を決めたのだ。その後、アディショナルタイムで、ジェイミー・ レドナップが放った見事な30ヤード(約27メートル)のフリーキックが、ゴールキーパーのティム・フラワーズの脇をすり抜け、ゴールネットを揺らした。
ほんの一瞬、ブラックバーンは最悪の恐怖に襲われた。だがその後、ウェストハムからマンチェスター・Uが引き分けたという知らせがもたらされ、ローヴァーズの優勝が決まり、アンフィールドにいたすべての人間が幸せになったのだった。
Getty2018-19シーズンは、リヴァプール・ファンにとって、記憶に残る試合の宝庫だった。だが、当時マウリシオ・ポチェッティーノ監督が率いていたスパーズに対する勝利をうるさく言うファンは多くないだろう。
リヴァプールはマンチェスター・シティと、「一瞬もまばたきできない」タイトルレースを繰り広げており、どんな些細なミスも命取りになることがわかっていた。だから、ロベルト・フィルミーノの先制点によるリードが、後半の終盤、スパーズから見れば日曜の悪魔であるルーカス・モウラによってなくなったとき、ユルゲン・クロップ監督率いるリヴァプールには道が閉ざされたように思われた。
だが、トレント・アレクサンダー=アーノルドのクロスをモハメド・サラーがヘッドでゴール方向にそらし、トッテナムのゴールキーパー、ウーゴ・ロリスが処理しそこなうと、ボールは幸運にも同じチームのトビー・アルデルヴェイレルトに当たってゴールに転がりこんだのであった。
Gettyこれが起こったのはまだ10月のことだったが、2019-20シーズンのプレミアリーグ優勝に向けたリヴァプールの歩みの中で、地震に襲われたように思われた瞬間だった。
当時ブレンダン・ロジャーズ監督率いるレスターは、そのシーズンのレッズにとって最も近い挑戦者だった。先制点はサディオ・マネだったが、ジェームズ・マディソンのゴールで追いつかれ、レスターは勝ち点1とともにアンフィールドを去るところであった。
だが、アディショナルタイムにマーク・オルブライトンがマネを倒し、ジェイムズ・ミルナーが冷静にPKを決めて、リヴァプールに勝利をもたらしたのであった。
翌日、マンチェスター・シティがホームでウルブスに負け、リヴァプールは他を圧倒したリーグ戦の優勝に向けて邁進していくことになる。

元祖アンフィールド・クラシックから11カ月後、リヴァプールは再びニューカッスルと対戦した。
レッズはこのシーズンもプレミアリーグのタイトルを目指して進んでおり、スティーブ・マクマナマン、パトリック・ベルガー、ロビー・ファウラーの得点で、前半だけで3対0と、文句のないリードを誇っていた。
ところが、レッズのスターだったダルグリッシュに率いられていたカササギことニューカッスルは、残り20分から反撃を開始し、キース・ギレスピー、ファウスティーノ・アスプリージャ、ウォーレン・バートンの得点で信じられないことに、同点に追いついたのである。
だが、決勝点はリヴァプールだった。ファウラーのヘディングが、混乱し発狂したサポーターの前で決まったのである。レッズが3点リードを追いつかれた試合を勝ったのはこれが初めてで、5月1日の試合が2回目であった。

リヴァプールでのゴールは6得点だけだったが、ニール・メラーは忘れられない記憶を残した。
ジェラードがアンフィールドの歴史に名前を刻んだ夜、メラーはオリンピアコス相手に素晴らしいゴールを決めた。覚えているだろうが、その数週間前、メラーはほかにも魔法の瞬間を謳歌していた。リヴァプールのファンの前で、自身最後の30ヤード(約27メートル)のシュートを決め、インビンシブルズ(無敵のチーム)と呼ばれたアーセナルを沈めていたのだ。
メラーがレッズのためにリーグ戦で決めたゴールはこの他には1点だけだった。それどころか、この後10試合しか出場していない。それでも、メラーはアンフィールドの歴史において、誰もが認める素晴らしい地位を占めている。
Getty Imagesこの試合は多くの人々にとって、プレミアリーグの象徴的な試合であり、アンフィールドのエンディングを象徴する試合である。
1995-96シーズンの終了まで6週間、ニューカッスルがアンフィールドのピッチに立った時、リヴァプールとニューカッスルはともにタイトル争いのさなかにいた。
繰り広げられたのは真にクラシックな試合であり、両チームは90分間、目の離せないシーソーゲームを展開した。
そしてアディショナルタイムに最後の攻撃が起こった。バーンズからスタン・コリモアにパスが渡り、誰にも止められない左利きのストライカーは、ニアポストにシュートを叩きこんだのだ。
「ニューカッスルのケビン・キーガンはうなだれた。意気消沈していた」と、解説者のマーティン・タイラーはリヴァプールを祝福して叫んだ。承知のとおりこの両チームは結局リーグ優勝を果たせなかったが、4月の夜にさわやかなショーを繰り広げたのであった。
Getty「ユルゲン・クロップ監督があんなところにいる!」と、Sky Sportsのジェイミー・キャラガーは叫んだ。彼の周りは大混乱になっていた。
クロップ監督はアンフィールドのピッチの真ん中にいて、ゴールキーパーのアリソン・ベッカーに抱きついていた。他のリヴァプールの選手たちはサポーター側のサイドで、予想もしなかったヒーロー、ディヴォック・オリギをもみくちゃにしていた。オリギは96分に、ヘディングで得点を決めたばかりで、歴史上、最もドラマチックなマージーサイド・ダービーの勝利をもたらしたのであった。
オリギはその年の夏、チームから戦力外を言い渡されそうになっており、18カ月以上、レッズで得点を決められていなかった。だが、エヴァートンのゴールキーパー、ジョーダン・ピックフォードの信じられないミスにより得点し、評価を逆転させたのであった。トフィーズことエヴァートンのファンが苦労して稼いだ勝ち点1を祝福しようとした、まさにその時だった。まさに忘れがたいエンディングである。