またしてもチャンピオンズリーグで屈辱の敗退を喫したパリ・サンジェルマンに、気まずい質問が投げかけられたのは当然のことだった。PSGの計画の当事者たちにとって、これ以上気分を害することはなかった。
トータル2対0でボルシア・ドルトムントに敗戦を喫し、チャンピオンズリーグ敗退が決まった後、エンバペは、レアル・マドリーとバイエルン・ミュンヘンのどちらが決勝に進出すると思うかと尋ねられた。レアル・マドリー行きが決まっているフォワードは目を丸くして歩き去ったが、おそらく自分以外の誰かが、最も不適切なタイミングであえてレアル・マドリーの話を持ちだしたことに腹を立てたのだろう。
一方、ルイス・エンリケ監督をクビにする可能性を問われたPSGのナーセル・アル=ケライフィ会長はエンバペよりもはるかにイライラしていた。
「本気でそんなことを訊くのか?」と、PSG会長は息巻いた。
「まったく、君はサッカーがどういうものかちゃんと理解しているのかね」。
それはまさに、アル=ヘライフィー会長が自分自身、または取り巻きたちに問いかけたかった質問だったのかもしれない。
2011年、カタール・スポーツ・インベストメント(QSI)がパルク・デ・プランスで実権を握って以来、PSGはおよそ19億ユーロ(約3,185億円)という大金を費やしてきた。にもかかわらず、未だにチャンピオンズリーグのタイトルを獲得できずにいる。
スーパースターたちを集めてもダメだった。エンバペ中心のチームを作ってもダメだった。では次にどうする。過剰投資やヨーロッパでは勝てないというジンクスから逃れられなくなった「内紛中の」クラブには、現実的な危機が迫っているのではないのか。