Neymar Hazard Coutinho GFXGetty/GOAL

アザール、ポグバ、コウチーニョ…サッカー史上最も高額な移籍失敗ランキング

サッカー界には金が飛び交っているが、大金をかけたからといって、必ずしも成功が約束されているわけではない。現代では、以前よりも、何が何でも優勝するために、進んで大枚をはたくクラブが増えている。それでも、時には、才能ある選手たちが高額な移籍金に見合う成果をあげられないことがある。

以下に、歴代最高額での移籍が恐ろしい失敗であった例を見てみよう。

  • James Rodriguez Real MadridGetty Images

    15ハメス・ロドリゲス:モナコ→レアル・マドリー(2014年)

    サッカー界ではよくあることだが、レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は、2014年のワールドカップで準々決勝に進出したコロンビアの童顔で流れるようにプレーするハメス・ロドリゲスを大いに気に入った。眼光鋭くスペクタクルなゴールを決める攻撃的ミッドフィルダーのほうもサンティアゴ・ベルナベウのピッチに立つことは長年の夢であり、当然ながら移籍して、ハメスはペレス会長時代の銀河系軍団の最後のひとりとなった。

    スペインでの最初のシーズンでは、時にひとりでプレーしているようなところがあり、2014-15シーズンは全公式戦で17得点で終わった。しかしながら、2016年にジネディーヌ・ジダンが監督に就任すると、レアル・マドリーの現代史における重要な転換期となり、ハメスのエル・ブランコでのキャリアは事実上終了した。ジダン監督に起用されることはほとんどなく、ジダン監督は、ハメスが「アトレティック・クルブ戦の試合に出さないでくれ」と頼んできたと言ったことがあった。

    結局、何年かバイエルン・ミュンヘンにレンタル移籍された後、悲惨な最後のシーズンではわずか8試合しか出場できず、8,000万ユーロ(約120億円)の契約は無に帰した。ブラジルで得点王になって以来、どのように株が下がりつづけたかを見事に例証したのであった。

  • 広告
  • Pep Guardiola Zlatan Ibrahimovic BarcelonaGetty Images

    14ズラタン・イブラヒモヴィッチ:インテル→バルセロナ(2009年)

    誰よりもズラタン・イブラヒモヴィッチ自身がまず言うとおり、彼はサッカー界の絶対的レジェンドである。しかしながら、彼のバルセロナへの移籍は、歴代の移籍の中で最悪のもののひとつである。振り返れば、ブラウグラナはイブラヒモヴィッチのためにインテルに6,950万ユーロ(約104億円)しか払わず、金銭の代わりに2009年のチャンピオンズリーグのヒーロー、サミュエル・エトーを譲ったのだった。エトーはその後、インテルがチャンピオンズリーグの準決勝でバルサを倒し、三冠を達成するのに貢献した。

    その間、イブラヒモヴィッチとバルサのペップ・グアルディオラ監督の関係は完璧に崩壊し、イブラヒモヴィッチは、古巣のジョゼ・モウリーニョ監督の前で、グアルディオラ監督を「タマがない」「く*たれ」とののしった。当時イブラヒモヴィッチの代理人をしていた故ミーノ・ライオラもグアルディオラ監督を「臆病者」と呼び、2012年チャンピオンズリーグの決勝の目前にも監督を批判していた。

    イブラヒモヴィッチが全公式戦で21得点したことは記憶に値するが、サッカー史上最大の性格の不一致であったことは間違いない。

  • Neymar PSG 2022-23Getty

    13ネイマール:バルセロナ→PSG(2017年)

    ネイマールは時々、パリ・サンジェルマンでセンセーショナルな素晴らしいプレーをし、その素晴らしい技とフットワークで見るものすべてを魅了する。だが、パルク・デ・プランスでのネイマールを、失敗ではないと言うことは難しい。

    ネイマールは、PSGを初のチャンピオンズリーグ優勝へ導くことで、自力でスーパースターとなり、リオネル・メッシの影から抜け出す必要があった。しかしながら、サッカー史上最高額の選手でありながら、早々にキリアン・エンバペに追い越され、さらにその後メッシが加入したことで、チーム内の序列がさらに下がることとなった。

    PSGは2022年にネイマールを売りに出そうとしたことすらあった。今夏にはもう一度そうするだろうが、規律を乱し、ケガがちで、今や30代選手の悪い見本となってしまったストライカーに買い手が見つかる望みはほとんどない。

  • Kepa Chelsea Liverpool Getty

    12ケパ・アリサバラガ:アトレティック・クルブ→チェルシー(2018年)

    世界で最も高額なゴールキーパーだが、世界で最も優秀だとは聞かない。7,200万ポンド(約125億円)の契約で加入したからには、いずれはエドゥアール・メンディから先発の座を奪うはずだったのだが、2022-23シーズン終了後、チェルシーがこのスペイン代表選手を売りに出そうとしても驚きはないだろう。

    しかも、引き取り手は多くないかもしれないのだ。ケパは明らかにトップレベルのゴールキーパーではない。実際、おそらくケパには永久にカラバオ・カップの記憶がついて回ることだろう。第一に、2019年の決勝では不名誉にも控えに回ることを拒否し、第二に、2022年の決勝では、リヴァプール相手にPK戦までもつれこんだが、相手シュートを1本も止めることができなかった上に、お互い11人ずつ蹴ったシュートをたったひとり失敗したのであった。

  • Ousmane Dembele Barcelona CadizGetty

    11ウスマン・デンベレ:ボルシア・ドルトムント→バルセロナ(2017年)

    2017年の夏、ネイマールがパリ・サンジェルマンに移籍したショックは、バルセロナを追い詰めた。確かにネイマールを売ったおかげで世界記録となる大金を受け取ったのだが、世界中のどのクラブも、PSGには金がうなるほどあり、何としても代わりを見つけようとしていることを知っていた。

    実際、ドルトムントは、バルサが近づいていることを知り、ウスマン・デンベレに本気でバルサが折れると、たった1シーズン、ブンデスリーガで活躍した選手を、当初1億500万ユーロ(約157億円)で譲る究極のパニック・バイを行わせたのであった。

    フランスの世界的選手であるデンベレの才能に疑問の余地はない。だが、高額な値札がある。デンベレは値札に見合う活躍をすることができず、カンプ・ノウにいたほとんどの時をケガにたたられ、安定性を欠き、規律に反することが多かった。

  • Romelu Lukaku Manchester United 2017Getty Images

    10ロメル・ルカク:エヴァートン→マンチェスター・ユナイテッド(2017年)

    このリストに2度載ることになる唯一の選手、それがロメル・ルカクだ。すでにウェスト・ブロムウィッチとエヴァートンという2チームで、プレミアリーグで頭角を現していたのにもかかわらず、驚いたことに、まずマンチェスター・ユナイテッドでつまずいた。

    ベルギー代表のルカクはオールド・トラッフォードでも全力を尽くし、最初の9試合で10ゴールをあげて、伝説のボビー・チャールトンが築いた往年の記録を更新した。しかしながら、2シーズン目で苦労しはじめ、最終的にジョゼ・モウリーニョ監督の下では12試合しか出場できず、後任のオーレ・グンナー・スールシャール監督の下では、さらに少ない時間しかプレーできなかった。

    ルカクはこのノルウェー人監督に冷遇されていると感じていたが、ガリー・ネヴィルを含む多くのマンチェスター・Uファンは、ルカクのことを、赤い悪魔の攻撃を率いるには向いておらず、才能もないと思っていた。誰もが同意できることに、7,500万ポンド(約130億円)という金額はビジネスの非情な一面を示したのだった。

  • Alvaro Morata ChelseaGetty Images

    9アルバロ・モラタ:レアル・マドリー→チェルシー(2017年)

    多くの専門家が、アルバロ・モラタの代理人を業界一の代理人だと思っている。他の誰が、常に得点力不足に悩むストライカーを巨額の金でヨーロッパのエリートクラブに移籍させられるだろうか。

    モラタは2016-17シーズンにラ・リーガで15得点をあげ、レアル・マドリーから6,000万ポンド(約104億円)で加入させることをチェルシーに決心させた。しかし、それは彼の空前絶後の最高の引き抜きでありつづけている。実際、スペイン代表のモラタはスタンフォード・ブリッジに18カ月いる間に、みじめにもプレミアリーグでたった16得点しか奪えず、2019年1月、契約を切り上げてアトレティコ・マドリーにレンタル移籍されることとなり、その後完全移籍した。

    モラタはイングランドにいたときの自分をマスコミが早々に批判しすぎたと感じているが、かかった金額の巨大さに比べて、彼の得点力が失望させるものではなかったということは不可能だ。

  • Antoine Griezmann, Barcelona 2021-22Getty

    8アントワーヌ・グリーズマン:アトレティコ・マドリー→バルセロナ(2019年)

    アントワーヌ・グリーズマンは2018年、1億ユーロ(約149億円)で、あからさまに面白半分でカンプ・ノウにやってきてバルセロナに恥をかかせた後、DFジェラール・ピケが作ったドキュメンタリー動画の最後で、公然とチームを拒絶し、ファンは激怒した。アトレティコ・マドリーではエースだったグリーズマンにこれ以上何も望まなくなったのだ。

    しかし、オーナーのジョゼップ・マリア・バルトメウは不可解にも、翌年グリーズマンをチームに戻し、言い訳を力説するかのように、彼との契約にあった1億2,000万ユーロ(約179億円)のバイアウト条項を支払うことに同意した。

    グリーズマンは多才なストライカーであり、カンプ・ノウでも活躍はしたが、それは決して多くなく、2021年にレンタル移籍でアトレティコ・マドリーに再加入し、さらに完全移籍となった。

  • Nicolas Pepe Arsenal 2019-20Getty Images

    7ニコラ・ペペ:リール→アーセナル(2019年)

    ニコラ・ペペがアーセナルにふさわしいと思われた時はあった。2020-21シーズンの終盤、リールでリーグ・アンのシーズンを貫徹すると思われていた絶好調のペペがアーセナルに加入したのだ。ところが、このコートジボワール代表選手は、エミレーツ・スタジアムでの最後のシーズンのプレミアリーグで1得点しかあげられず、より若く、うまい選手たちに先発メンバーの座を長く奪われると、2022年の夏、やむを得ずアーセナルを去った。

    アーセナルはペペをニースにレンタル移籍させたが、2019年に獲得するために支払った7,900万ポンド(約137億円)という大金を取り戻すチャンスは今のところ訪れていない。このウィングとの契約が満了するのは2024年である。

  • Joao FelixGetty Images

    6ジョアン・フェリックス:ベンフィカ→アトレティコ・マドリー(2019年)

    2019年の夏、ジョアン・フェリックスは自分にたくさんのオファーが来ると信じていたが、結局、自分のキャリアはアトレティコ・マドリーへの移籍で最高によくなると感じたのだった。より悪くなることはありえなかったはずだったが、1億2,600万ユーロ(約188億円)という移籍金を正当化することに、みじめにも失敗した。

    当時フェリックスは、時々、自分はただサッカーを「楽しみ」たいと言っており、ディエゴ・シメオネ監督の下で選ばれてプレーする理由を示すのに苦労していた。監督はチームのストライカーたちに、ミッドフィルダーやディフェンダーと同じようにハードワークすることを求めたのだった。当初は正しかったこの契約は良かったと思えなくなっていき、結局、アトレティコはフェリックスをチェルシーにレンタル移籍させることに同意した。ラ・リーガでは96試合に出場し、わずか25得点であった。

    その間、フェリックスはアトレティコとの契約を延長したが、それは、記録的な契約金のうちのいくらかでも、スタンフォード・ブリッジで成功すると期待された期間の最後に取り戻そうとするためだけのものであった。フェリックスはイングランドでコンスタントに結果を出すことができず、アトレティコは今や、ニューカッスルがこの23歳の選手に再び関心を示してくれることを祈っていると報道されている。

  • Romelu-Lukaku(C)Getty Images

    5ロメル・ルカク:インテル→チェルシー(2021年)

    ルカクはチェルシーに戻ったのは「未完のビジネス」のためだと言っていた。以前スタンフォード・ブリッジにいた間、得点できなかったからだ。しかしながら、2021-22シーズンをクラブの得点王で終えたものの、2度目の在籍期間は以前に比べてはるかに悪かった。事実、44試合で15得点というのは、9,750万ポンド(約170億円)というクラブの記録的な投資に対するリターンとしてはみすぼらしかった。

    ルカクには自業自得のところもあり、シーズン半ばに無許可で受けた『Sky Sport Italia』のインタビューでは、古巣のインテルへの永遠の愛を公言し、さらに信じられないことに、当時のトーマス・トゥヘル監督の戦術を批判していた。監督やサポーターからの信頼を失い、それを取り戻すことがまったくできなかったため、当然ながらサン・シーロにレンタルで戻されることとなった。

  • Paul Pogba Manchester United Norwich Premier League 2021-22Getty

    4ポール・ポグバ:ユヴェントス→マンチェスター・ユナイテッド(2016年)

    2012年、マンチェスター・ユナイテッドはポール・ポグバをただで失った。10年後、同じことがまた起こった。間違いなく、ほとんどのファンは、ずいぶん前から、疑う余地もなくワールドクラスの才能をコンスタントに発揮することをあきらめている選手が出ていくのを喜んでいた。事実、2022年4月、プレミアリーグのノリッジ戦の最中、ストレットフォード・エンドでいらだったサポーターたちの中には、フランス代表のミッドフィルダーにブーイングをするだけでなく、「く*たれ、ポグバ!」とも叫んでいた。

    だが、これほど価値のある財産をただで失うことは痛ましいことだった。結局のところ、マンチェスター・Uは2016年にユヴェントスからポグバを再契約するのに、8,950万ポンド(約155億円)という世界記録的な金額を支払ったのだ。ところが6シーズン後、ヨーロッパ・リーグ制覇1回、カラバオ・カップ優勝1回で、哀れなパフォーマンスの連続と、ライバルクラブへの恥ずべき「助けに来て」コールの末、ポグバは古巣へ戻ったのだった。

    またしても、ほとんどのファンがホッとしたことだろう。

  • Harry Maguire Manchester United Everton Premier League 2021-22Getty

    3ハリー・マグワイア:レスター・シティ→マンチェスター・ユナイテッド(2019年)

    ハリー・マグワイアはプレミアリーグの良きディフェンダーでありうる選手だ。レスターではそれを証明した。振り返れば、2019年にはペップ・グアルディオラすら彼と契約したがっていた。マグワイアは自分でマンチェスター・Uを選んだというが、真相はマンチェスター・シティと金額面で折り合わなかったからだ。マンチェスター・Cは、単に、彼がディフェンダーとしては世界記録的な金額に見合う選手ではないと感じただけで、実際それが正しかったことが証明された。

    過去3年間にわたりマンチェスター・ユナイテッドのファンから受けてきた批判のいくつかは、このセンターバックが言うとおり、「一線」を超えたものである。しかし、オールド・トラッフォードでの彼が苦々しく失望させる選手であったことは否定できないし、彼をチームのキャプテンにするという決定は、ずっと前から、衝撃的なプレーと忘れてはならないミスの連続のせいで、完全に愚かなことだと思われている。

    忘れてはならないのは、マンチェスター・Uが彼に8,000万ポンド(約138億円)を支払ったことだ。この夏やむを得ず彼を放出するとしても、その額の半分も取り戻せないだろう。ラファエル・ファン・デル・ファールトが忌まわしくも言ったとおり、「く*たれ」ではないにせよ、このイングランド代表が巨額の無駄遣いとしてランク入りするのは間違いない。

  • Eden Hazard Injured

    2エデン・アザール:チェルシー→レアル・マドリー(2019年)

    10年越しの念願の移籍でエデン・アザールがレアル・マドリーに加入したことは、このウィングがシーズン前の練習で体重過多が判明した時から不運に見舞われていたようだった。ベルギー代表のアザールに公平を期して言うならば、ケガのためにどうしようもなかったのだ。チェルシー時代はずっと健康に関してはほとんど申し分なかったのに。しかしながら、アザールがスペインで何とか得点しようとしていた時ですら、7年間プレミアリーグで輝いていた選手にしては安っぽい偽物にしか見えなかった。

    アザールはチャンピオンズリーグを含め、いくつかの重要なトロフィーを手にしたが、2021-22シーズンのレアル・マドリーの優勝の際には、ガレス・ベイルと同じくベンチ入りのみで終わった。今や、伝統の一戦であるバルセロナとのクラシコを1分もプレーすることなくサンティアゴ・ベルナベウを去ることになるだろう。レアル・マドリー史上最悪の契約について知るべきことは、それがすべてである。

  • Philippe Coutinho Barcelona 2021-22Getty

    1フィリペ・コウチーニョ:リヴァプール→バルセロナ(2018年)

    リヴァプール史上最も重要な移籍のひとつは、バルセロナにとっては最悪なものである。ブラウ・グラナは単純に言って必要でない選手のために、4,000万ユーロ(約59億円)のボーナスが支払われる可能性をつけた、1億2,000万ユーロ(約178億円)を払うことに同意したのだ。

    彼はストライカーなのか、ミッドフィルダーなのか、それとも、その中間なのか? オーナーのジョゼップ・マリア・バルトメウに何の考えもなかったのは明らかだが、それでもかまわず、わざわざコウチーニョと契約したのである。バルサ在籍中の4年間の最大の貢献は、2020年にバイエルン・ミュンヘンへのレンタル移籍中に、バルセロナ戦で2得点をあげたことである。

    コウチーニョを追いだすのに何年も費やしたバルセロナは、2022年、たった2,000万ユーロ(約29億円)でアストンヴィラに移籍させ、バルトメウの下でほとんど破産しかかった後、カンプ・ノウにいくらか財政的秩序を復活させようと必死に努力している。