確かにパスは、硬く機械的な動きをする選手ではない。彼の動きにはバレエのような優雅さがあり、とりわけジネディーヌ・ジダンのようなピルエットをセリエAでよく披露している。
長身で細身の身体で相手選手を軽やかに抜き去り、ピンポイントのパスで敵の守備を崩壊させる様子は、カカを彷彿とさせる。また、その左足はマルティン・ウーデゴールと比較されることも多い。
だがパスは、自身が史上最高の選手と考えるメッシのプレーをできるだけ多く学ぶために、メッシの試合の映像を何時間も見てきたし、今でも見続けていると言う。
そのため当然ながら、昨年10月に初めてアルゼンチン代表に招集されたとき、パスは自身のアイドルにほとんど一言も話しかけられなかった。
「メッシを見ると緊張してしまう」と、パスは『DAZN』で言った。「だって、とても恥ずかしかったから、ほとんど話せなかったんだ!」
とは言え、メッシと話はできなかったとしても、メッシへのパス出しは完璧だった。アルゼンチンのサッカーの聖地であるエスタディオ・モヌメンタルで代表デビューを果たしたボリビア戦、6-0で圧勝した試合で、新戦力となったパスは、ハットトリックを達成した背番号10の3点目をアシストしたのである。
「プロになって最高の瞬間だった」と、パスはコモの公式サイトで語った。「史上最高の選手にアシストを決められて、それもデビュー戦で、夢のようだった。レオの年齢を考えれば、彼とプレーする機会が巡ってくるとは思っていなかった。だけどそれが現実となって、人生で起こりうる最高の出来事のひとつになった」。さらに、偉大な選手本人から特別に称賛されたことは、おそらくパスにとって最高の瞬間に勝るとも劣らない喜びだったろう。
「ニコは素晴らしい才能を持っている」と、その時メッシは語った。「彼は頭が良く、試合の流れを完璧に理解している。このまま成長を続けてほしい。彼はプレーを楽しみ、ボールを持つことを好む選手だから、このチームを居心地良く感じられるだろう」。そしてメッシは、メッシがバルサのトップチームでデビューした時、パスは生後わずか1カ月だったと指摘され、「知ってたよ!」と、笑いながら答えたのだった。
さて、今や焦点となるのは、17歳の年齢差にもかかわらず、来夏のワールドカップでパスとメッシのコンビが見られるかどうかである。皮肉なことに、唯一の懸念はメッシがスカローニ監督の代表に入ることを決断するかどうかなのだ――なぜならパスは選出がほぼ確実だから。