Getty/GOALこの夏、アーセナルは忙しくなる。ミケル・アルテタ監督とテクニカル・ディレクターのエドゥは来シーズン、プレミアリーグとチャンピオンズリーグの両方で戦えるチームを作らなければならないのだ。
移籍市場が開けば、ガナーズはデクラン・ライスとモイセス・カイセドに触手を伸ばし、再び大金を費やすことになるだろう。
だが、もうひとり、チェルシーのメイソン・マウントも北部ロンドンのチームが獲得を考えている選手だ。イングランド代表のマウントは契約の最終年となり、この夏、スタンフォード・ブリッジを去ることになりそうだ。
とはいえ、火曜日のエミレーツ・スタジアムでの試合に怪我のため出場できなかったマウントの獲得は、この夏のアーセナルにとって意味のあることなのだろうか。マウントは来シーズン、違いを見せつけられる選手なのか？ この契約に関する賛否両論を検討する。
Getty最近のアーセナルは、プレミアリーグ経験者と契約し、良い結果を出してきている。ライバルチームと比べて、アーセナルは他のプレミアリーグのクラブからより多くの選手と契約し、そのほとんどが加入して正解だったことを示しているのだ。
昨年の夏にマンチェスター・シティから加入したガブリエウ・ジェズスとオレクサンドル・ジンチェンコは違いを見せつけた。1月にブライトンから加入したレアンドロ・トロサールも同様だ。
移籍してくる選手たちがプレミアリーグで要求されることにすでに慣れているということは、大きな利点になり得る。マウントがアーセナルでの生活に馴染むのに、大きな問題がないことは明らかだろう。
引っ越しにも大した時間はかからないし、アーセナルにはすでに友人が複数いる。アーセナルに来さえすれば、スムーズに慣れていくに違いない。
つまり、アーセナルに加入してほどなくすれば、純粋にサッカーに集中できるということだ。マウントにとってもクラブにとっても大いに有益なことである。
Gettyこの夏、マウントがチェルシーを離れるとしたら、大いに失望したシーズンであったことを背負って、新しいクラブに加入することになるだろう。
今シーズン、スタンフォード・ブリッジで繰り広げられた悲惨な光景を見るに、ブルーズのどの選手も、その能力のベストを尽くしたとは言い難いまま終わってしまうだろうことは述べておかなければならない。
そんな中でも、チェルシーのファンはイングランド代表のマウントに、より強烈なプレーを期待する権利を十分に有している。マウントは今シーズン、たった5得点しかしていない。いつもの調子を大きく下回っているのだ。
こんな最悪のシーズンが終わったとき、マウントへの信頼度は下がるだろう。来シーズンは調子を取り戻すために、しばしの時間が必要になる可能性もある。
Getty絶好調のマウントなら、アーセナルのアルテタ監督のもとで大いに活躍できるに違いない。体力は十分あるし、プレスがうまい。テクニックもあるし、アルテタ監督が北部ロンドンのチームにもたらしたサッカーを体現する能力がある。
アーセナルの4-3-3システムの左サイドの背番号8的役割は、マウントに合っているように思われる。グラニト・ジャカはもう30歳で、アルテタ監督にはスイス代表のジャカに代わって長くプレーできる選手が必要であり、マウントはそのポジションに適応することもできる。
24歳のマウントは、今のアーセナルのチームに年齢的にも才能的にも合っている。マルチな選手でもあり、アルテタ監督が探している別のキーとなる選手にもなり得る。
マウントはチャンピオンズリーグの経験もあり、来シーズン、このヨーロッパ最高の舞台に臨むガナーズにはありがたい存在だ。
アーセナルがマウントと契約したら、生え抜きのエミール・スミス＝ロウはどうなるのかという問題が起こるのは明らかだ。
アーセナルの若き司令塔は今シーズン、チーム内での序列を下げていった。1月に怪我から復帰した後、きわめて限られた機会しか与えられなかった。
そうでなくともスミス＝ロウの将来については、夏に向けてすでに疑問視されている。移籍市場が開いて新しい契約がなされる前に何かありそうなのだ。
アーセナルが正式にマウントに興味を示せば、似た役割を担ってきたスミス＝ロウはどうなるのだろうか。彼への影響は避けることができないだろう。
Gettyデクラン・ライスとマウントが親しい友人であることはよく知られている。
もちろん、ある選手との契約を、別の選手の加入の説得に利用するというのはありえない。だが、アーセナルがライスを欲しがっていることは周知のこと。その親友が加入するというのは、ウェストハムのスキッパーの激しい獲得競争において悪い影響をもたらすことはないだろう。
ライスはこの夏の移籍市場において最も引っ張りだこの選手の一人となるだろう。ガナーズにとって、競争に勝つためにどんなアドバンテージも利用したいはずだ。
マウントは、ブカヨ・サカやアーロン・ラムズデールといった、現在いるアーセナルのイングランド代表選手たちともかなり親しく、チームに馴染むのにまったく問題ないはずだ。
Gettyアーセナルは来シーズンのチャンピオンズリーグ出場を手中に収めているため、この夏の移籍市場でかなりの資金を使うことも想定される。ライスかマウントのような選手と契約するには、大きな資金が必要となるはずだ。
マウントが安くないことは間違いない。チェルシーとの契約状況を考えれば、移籍金が高すぎるということはないだろうし、収支バランスを整えるべく多額の金が必要なブルーズが、選手たちを売りに出すことは予想されている。
それでも、マウントは高額な報酬を欲するだろうし、強い立場にいる。いくつもの大型クラブがこの夏、マウント獲得にかなり熱心であるのは間違いないからだ。
したがって、欧州での栄誉を取り戻すために選手たちの報酬を上げることになるだろうアーセナルが今このとき、このイングランド代表と契約するには大きな財政的責任を負うことになるはずだ。
Gettyアーセナルは、来シーズンのプレミアリーグおよびチャンピオンズリーグの両方での戦いに挑むため、チームをひとつ上のレベルに上げようという狙いをもってこの夏の移籍市場に挑むだろう。
マウントの加入は確かにその役に立つ。とてもクレバーな選手で、いくつものポジションでプレーすることができ、得点に関してもゲームメイクにおいても最高のレベルでチームに貢献できることをチェルシーで示してきた。多くの引き出しがあり、アーセナルのシステムにも適切かつスムーズに対応可能と思われる。
一方で、先発メンバーを劇的に改善するのに十分な存在かどうかは疑問がある。それでも、左サイドの背番号8の役割をジャカに代わって担えば、攻撃面において多くのことを改善することはできるだろう。
したがって、理論上はアーセナルにとって有益なピースとなると思われる。たとえチェルシーから選手を獲得することに慎重なファンがいるとしても。
ダヴィド・ルイスやウィリアン、ジョルジーニョのような選手たちと違い、マウントはまだ成長できる。実際、24歳のマウントは選手としてのピークに近づいてさえいない。
以上のことを鑑みて、実現すれば多方面からみて意味のある契約になると言えそうだ。
