2023-24シーズン、リヴァプール全選手パワーランキング：ソボスライがサラーに挑戦中

サッカーの才能を最も与えられながら最も脆弱なミッドフィルダーのひとりには、いつものように悲しい物語がついてまわっている。チアゴは、腰の手術を受けなければならなくなった4月からプレーができない状態となり、復帰の見通しは立っていない。

アシスタント・コーチのペピン・リンダースが最近言ったとおり、このスペイン代表選手の不在は非常に残念だ。だが、来年契約外になるこの32歳に長期間コンディションを維持できることにチームが頼れないことは、以前から明らかなことであった。

前回このランキングを更新した時、バイチェティッチは2023-24シーズンの試合にたった2試合しか出ていなかった。心配なことに、同郷のチアゴと同じポジションのバイチェティッチのこの状態は今も続いており、2人の復帰がいつになるか、依然として不明である。

実際、ヨーロッパリーグのトゥールーズ戦では2人のうちどちらかを起用できるのかと尋ねられたクロップ監督はこう言った。「いや、チーム練習にも出ていない」

プレシーズンで調子を落としているように見えたカメルーン代表マティップは、ファン・ダイクやコナテに変わって驚くほど効果的な仕事をしていたが、9月末に北部ロンドンでまさかのオウンゴールを献上し、トッテナムに不当な勝利を与えてしまった。

それまで見事なプレーで後衛の中心を担ってきたマティップにとって絶望的な屈辱だったが、これが原因で、ここ数週間、コナテに先発の座を奪われていることは否定できない。

残念なことに、オランダ代表ガクポは何かの形のようなものを見つけ始めたちょうどその時、トッテナム戦で得点しながらケガを悪化させてしまった。ガクポのシーズンはスロースタートだったが、北部ロンドンでの得点はそれまで4試合に出場しての3得点目だった。

ガクポの回復は速そうだという良いニュースがある一方、ジョタとヌニェスが2人ともガクポ不在の間に活躍しているというのは、ガクポにとって悪いニュースである。

予想どおり、今シーズンのリヴァプールの守護神はアイルランド代表ケレハーであり、ヨーロッパリーグのユニオンSG戦に出場しなかったのも単にケガのためであった。しかしながら、この24歳が来シーズンもアンフィールドにいるとしたら驚きであろう。母国の代表でもプレミアリーグの名門クラブでも先発できるだけの実力があることは明らかである。

シーズン当初、ジョー・ゴメスはリヴァプールでの将来について多くの憶測を生みながらベンチに座っていたが、ケガや出場停止の選手が続出した一方、彼自身は好調だったため4試合連続でプレミアリーグの試合に先発した。

しかしながら、右サイドバックでアレクサンダー＝アーノルドの代わりにきちんとした仕事をしたにも関わらず、ゴメスはまたベンチに戻ってしまった。クロップ監督は相変わらず、このイングランド代表選手をディフェンスの中心で先発させるほど信頼していないようだ。

リーグカップのレスター・シティで1分間プレーした後、19歳のルーク・チェンバースは、ヨーロッパリーグのトゥールーズ戦で、アンフィールドで初めて先発するという夢をかなえた。プレーぶりもよく、左サイドバックで自信をもってプレーし、同じくアカデミー出身のアレクサンダー＝アーノルドから称賛された。

ロバートソンがまだ試合に出られないため、プレストン生まれのチェンバースは今後数カ月、大陸の大会でより多くの時間プレーすることになるかもしれない。

ギリシャ代表のツィミカスはシーズン当初ロバートソンの代役として、いつものポジションでプレーし、カップ戦の試合に出場していた。しかしながら、スコットランド代表ロバートソンの肩のケガで、たちまちプレミアリーグの試合に多くプレーするように。華々しさはないにしても、サッカー界最高のサイドバックのひとりの代役として堅実な仕事をしている。

プレシーズンで活躍し、開幕週のチェルシー戦で途中出場したベン・ドークは、技術のあるウイングとして9月のLASK戦とレスター・シティ戦では先発した。残念ながら、クロップ監督によると「ちょっとした筋肉のアレ」のせいで、それ以降はプレーしていない。

しかしながら、ベストコンディションで復帰すれば、この10代が昨シーズンの全公式戦で5試合出場という記録をあっという間に更新することは間違いない。

悪運はなくとも、カーティス・ジョーンズには幸運もない。シーズン早々にケガをした後、このミッドフィルダーはいくらかリズムを取り戻しはじめレギュラーとして試合に出ていたが、トッテナム戦で一発レッドという試練に見舞われた。その結果、リヴァプールの直近のプレミアリーグ3試合に出られなかった。

それでもジョーンズは、試合に出れば優れたボール保持力により、今シーズン重要な役割を果たせると思わせるようなパフォーマンスを見せている。

エリオットは相変わらず不思議な状態にある。まだ20歳だが、インパクトのある控え選手という以外、彼に最適な役割が何なのか、まだはっきりしない。定期的に出場機会を得ており、エネルギッシュな努力家で、ピッチの高い位置でボールを奪える能力もある。多くの人を魅了しているが、今シーズンのプレミアリーグでの先発は1試合しかないのだ。その唯一のチャンスであったブライトン戦でもハーフタイムで交代している。

アンフィールドに来て最初の2試合でリヴァプールが10人で戦うのを見ることになったのは、この日本代表にとっていささか厳しい洗礼だったろう。スピードにやや懸念があるが、遠藤は自分の責任を十分に果たしており、特に5対1で勝ったトゥールーズ戦では最高のプレーを見せ、レッズでの初得点を決めた。

それでも、中盤のポジション争いの激しさを思えば、遠藤が先発メンバーに固定できるかどうかはまだわからない。

フランス代表コナテは、ついにファン・ダイクの隣でレギュラーの先発メンバーを完全に勝ちとったように思われた。だが、再びケガに見舞われ、選手間の序列でまたしてもマティップに先を越されることとなった。

しかしながら、コナテはマージーサイド・ダービーのエヴァートン戦では先発し、2対0で勝ったこの試合で運よく2枚目のイエローカードを免れ、再び先発のファーストチョイスの座に戻ったようである。

リヴァプールに守備の中央の深いところでプレーできる選手がいないことの恩恵を最大限に受けているクアンサーは、まだ20歳だ。これまでトップチームでは1分もプレーしていなかった選手だったが、シーズン当初に期待されていたよりはるかに長く試合に出場している。

クアンサーはカラバオ・カップでのレスター・シティ戦の勝利にも貢献しており、今後数週間にわたるヨーロッパリーグのグループステージでは、さらに長くトップチームでプレーすべき選手である。

地元出身のヒーローだが、イングランドでの評判は恐ろしく悪い。ポジショニングの悪さが主な理由だが、それも仕方がないとも言える。ニューカッスル戦で最悪の状態だった後は極めて堅実な守備を見せ、数多くのインターセプトやクリアをして、多くのチャレンジを成功させている。

実際、アレクサンダー＝アーノルドは2アシストも記録していて、今シーズンこれまでアンフィールドでのポゼッションの成功率は第3位（61回）である。

チームキャプテンとなったフィルジル・ファン・ダイクが、リーグ開幕当初、ひどい有様だったことは否定できない。ニューカッスル戦では最悪なチャレンジをして退場となり、さらに暴言を吐いたとして追加の処分を受けた。32歳のファン・ダイクは再び昔の威圧的な選手に戻ったように思われていた。

以前はあった無敵の雰囲気が永遠になくなってしまったのではないかという不安は依然としてあるが、チーム最高のディフェンダーなしではリヴァプールが立ちいかなくなるのは明らか。ファン・ダイクは、レッズの他のどの選手よりも、今シーズン多くのインターセプトやクリアを決めている上に、いくつかのアシストも積みあげてきている。

今一番の大切なことは、両親が誘拐被害にあったディアスの家族のことだ。ディアスの母親は救出されたが、父親は依然として行方不明だ。クラブの関係者はみな、この絶望的に悲しい物語がハッピーエンドを迎えることを祈っている。ディアスは日曜のノッティンガム・フォレストに出場しなかったが、できるだけ早くピッチに戻り、全力を尽くしてくれるだろう。

まだ先発メンバーとして確定したわけではないが、ジョタはクロップ監督の先発イレブンにコンスタントに選ばれるのに当然の働きをしている。多才で勤勉なこのポルトガル代表FWは、前線のどこに起用されてもゴールハンターとしての本能を披露し、全公式戦で6得点をあげている。これまでで唯一の汚点は、スパーズ戦での愚かな2枚目のイエローカードである。

バイエルン・ミュンヘンでの悪夢からようやく解放されたオランダ代表ライアン・フラーフェンベルフは、リヴァプールでのキャリアにおいて、非常に力強いスタートを切った。フラーフェンベルフが毎週必ずプレーできるかどうかはまだわからないが、その攻撃的才能は明らかである。マルチな才能を持つMFとして、すでに新しいクラブのため、4得点に直接関与する活躍をしている。

スコットランド代表のロバートソンは、絶好調に戻ってきたと見られていただけに、代表戦で肩に重傷を負ったことは非常に残念である。リヴァプールのリーダーのひとりとしてタックル成功やチャンス創出を重ねていた。また、3対1で勝ったウルブス戦では試合の最終盤に素晴らしいゴールを決め、チームに値千金の勝ち点3をもたらしていた。

ツィミカスがフルバックとして完璧とは言えないだけに、クロップ監督はロバートソンが出来るだけ早く戻ってきてくれることを望んでいる。

アルゼンチン代表マクアリスターにとって、守備的ミッドフィルダーはベストのポジションではないかもしれないが、この役割を果たす中で成長しつつある。ノッティンガム・フォレスト戦ではあらゆるプレーが素晴らしく、クロップ監督はこのワールドカップ優勝選手を褒めたたえていた。

他のチームメイトよりもパスの成功率が高く、タックルの成功率も高い。マクアリスターはデュエルでの勝利数でも1位で、ポゼッションでは2位である。

将来を期待されるようなパフォーマンスを見せていたにもかかわらず、シーズン当初は起用されたりされなかったりしていたヌニェスだったが、今やリヴァプールのセンターフォワードのファーストチョイスの選手になる日も近いと思わせるようになっている。

ワイルドで楽しそうに予想不可能なプレーをするこのウルグアイ代表は、サラー（14）に次いで2番目に多く直接得点にかかわっており（10）、全公式戦で直近の2試合で得点をあげている。

アリソンは世界最高のゴールキーパーだろうか。少なくとも、この素晴らしいブラジル代表はトップの座から遠のくことがない。足元でのボール扱いがうまいことはよく知られており、リヴァプールのプレースタイルに極めて重要な選手である。しかし、アリソンを本当に際立たせているのは、重大な瞬間に相手選手に近づく方法だ。

ニューカッスル戦で、近距離からのミゲル・アルミロンのボレーシュートを見事に止めたプレーは、リヴァプールの劇的勝利を導いた。自身の前にいる選手たちとようやくコンビネーションが合ってきたことで、アリソンは現在、無失点試合を積みあげはじめている。

今シーズンこれまでのリヴァプールの秘密兵器にして、この夏早々にプレミアリーグのチームと契約したソボスライは、1選手にしては破格の6,000万ポンド（約109億円）に見合うレベルのプレーが期待されていた。それでもクロップ監督でさえ、これほど早く、これほど素晴らしい活躍をするとは思っていなかっただろう。

すでに2ゴール2アシストに貢献しているが、本当に印象的なのは、このハンガリー代表選手のオールラウンドなプレーぶりである。パスレンジは素晴らしく広く、チャンスを作りだす回数はリヴァプールで最多（26）。他のチームメイトよりも多くのボール奪取数（81）を誇っていることも注目に値する。

移籍市場が閉まる直前にサウジアラビアから提示されていた正気の沙汰ではない額のオファーを受けていたなら、今ごろリヴァプールは順位表のこの位置にいただろうか。4位よりもずっと下になっていたことは間違いない。

サウジアラビアに行っていれば、サラーは偉大な選手たちに囲まれていたかもしれない。だが、彼はチームのカリスマでいつづけている。全公式戦ですでに二桁の得点（10）をあげており、4アシストも記録。サラーはリヴァプールのレジェンドであり今現在、同クラブのシーズンMVPを選ぶレースの先頭に立っている。