このページにはアフィリエイト リンクが含まれています。提供されたリンクを通じて購入すると、手数料が発生する場合があります。
Messi Argentina GFXGetty/GOAL

リオネル・メッシのワールドカップ2連破への道…アルゼンチンのカリスマは2026年にもまだ現役なのか?

リオネル・スカローニ監督率いるアルゼンチン代表は現在、これまでのどのワールドカップ(W杯)でも経験したことのないほとんど不可能な課題に取り組んでいる。すなわち、どうやって2連覇を果たすか、ということだ。これまで他のほとんどの国が失敗してきた課題である。

どんな監督にとっても、次のW杯までの4年間でどの新しい選手を代表に入れるべきか、どのベテラン勢にまだ充分に実力が残っているか、すべてを見極めることは難しいことだ。

ディディエ・デシャン監督とフランス代表は、W杯優勝を果たした4年後も決勝に進出し、できる限りの力を尽くしたが、これはむしろ例外的なことである。そこまでたどり着けないほうが普通で、2連覇を目指す戦いは、監督にとってしばしば伝説的な選手をいつ切り捨てるか悩まなければならない、災難のようなものである。

このことは、スカローニ監督率いるアルゼンチン代表にとってさらに厳しいものだろう。関係者全員が、サッカー史上最高ともいえる選手の未来がどうなるのか、思案しているのである。

先週の木曜の夜、アルゼンチン代表は2026年大会の予選の初戦を戦った。だが現状、偉大なるリオネル・メッシが次のW杯に出場するかどうかは不透明なままだ。

メッシはエクアドルとボリビアと対戦するアルゼンチン代表に選ばれており、9月の活動ではアルゼンチン代表としてプレーしている。コパ・アメリカも近づいており、メッシは2連覇を果たす決意を固めているようだ。

確かにメッシにはその能力もやる気もあるが、それでもいずれどこかの時点で、この2つのうちのひとつは衰えていくことになるだろう。そうなると大きな疑問が生じてくる。アルゼンチン代表は、いつまで伝説のスターに頼ることができ、いつまで伝説を続けていくことができるのだろうか。

  • Lionel Messi World Cup FinalGetty

    レジェンドのパフォーマンス

    我々みんなが見てきた。深く考える必要はない。メッシがカタールでやってのけたことは歴史に刻まれるだろう。誰に尋ねるかによって違うかもしれないが、サッカー界最高の選手であるという彼の立場は強化された。

    何年も失望の年月を重ねた後、メッシはアルゼンチン代表を悲願のW杯優勝に導いたが、それも英雄としてやり遂げたのである。大会の得点王にも輝き、決勝トーナメントの全試合でゴールを決めた初めての選手となった。フランスとのあの名だたる決勝では2得点をあげ、PK戦でも失敗することなく、母国の36年ぶりのW杯制覇に貢献したのである。

    それから数カ月、メッシは大会後の祝賀行事でもアルゼンチン代表であり続けている。3月には世界チャンピオンとして久しぶりにアルゼンチンに帰国し、アルゼンチンの偉業を称えるために行われた2つの親善試合で、代表通算100得点の偉業を達成した。

    この2試合が終わると、話題は2026年W杯に向かうようになり、予選が始まったが、メッシのパフォーマンスはいささかも衰えていない。

  • 広告
  • messi inter miami goal(C)Getty Images

    新しいリーグでも絶好調

    メッシのインテル・マイアミへの移籍は物議をか醸し、世界中から注目されたが、メッシがMLSを自身の遊び場としていく姿を世界中が見守りつづけている。

    全公式戦11試合のうち、メッシはすでに11ゴールを挙げ、トロフィーも獲得した。歴史の浅いインテル・マイアミで初めての栄冠だった。メッシはもうひとつの大会の優勝にも向かっているところで、U.S.オープンカップの決勝を戦うことが決まっている。リーグ戦の残りについても、望みはかなり薄いが、以前は最下位だったインテル・マイアミを奇跡のプレーオフ進出に導くのではないかと信じるファンもいる。

    もちろん、注意しなければならないことがあるのは明らかだ。MLSをリーグ・アンやラ・リーガと比べてはいけない。リーグカップはチャンピオンズリーグではない。少なくとも、相手チームのディフェンスがヨーロッパのチーム並ではないことは言っておくべきだろう。

    それでも、メッシが歴代のW杯で最も格別なプレーを見せた選手の一人となってから、まだ一年と経っていない。唯一無二とは言わないまでも、依然として世界最高の選手の一人であり、現在の調子を見るに、アルゼンチンにとって最も重要な選手であり続けていることは間違いない。

    それでも、それがいつまで続くかという疑問はある。

  • Scaloni Messi Argentina 2022Getty

    身を引く準備は……

    メッシはすでに一度、アルゼンチン代表から身を引いたことがある。コパ・アメリカの100周年を祝うコパ・アメリカ・センテナリオで負けた後、メッシは代表引退を発表した。アルゼンチンの全国民が感謝したことに、この発表は落胆のあまりのことで、あくまで一時的なものだった。当然ながらメッシは復帰し、アルゼンチン代表を栄光に導いた。

    それでもいつか必ず引退の時は来る。メッシもそれはわかっている。

    「年齢的に2026年は難しいだろう」と7月、メッシはアルゼンチンの全国日刊紙『オーレ』で語った。「サッカーが好きだし、体調が良ければプレーするのは楽しい。この状態をキープしていくつもりだ。次のワールドカップはまだ先のことのように思われるけど、ワールドカップに出られるかどうかは、自分のキャリアがどうなっていくかによる」

    同じ7月、メッシは代表引退を考え始めていると、アルゼンチンの公共放送で言っている。

    「正直言っていつまでかはわからない。起こるべき時に起こるだろうと思う。最近すべてのことをやり遂げて、今はただ楽しむだけになった。その時がいつ来るかは神様が教えてくれるだろう」

    「論理的に言って、年齢からしてその時が近いことはわかっている。だけど、それがいつか正確なことはわからない。一日一日のことを考えて、美しいものすべてを楽しんでいる。代表ではとても厳しい時を経験しなければならなかった。ワールドカップとコパ・アメリカでチャンピオンになれて、幸運だった。今は楽しむときだ」

    どうやらメッシは、2026年W杯のアルゼンチンの連覇にかかわれるとは思っていないようだ。来年の夏、アルゼンチンをコパ・アメリカ連覇に導く準備はしているようだが、それが主要な国際大会としては最後の大会になる可能性が高い。

    「ノーだと思う」と、メッシは『タイタン・スポーツ』紙で言った。

    「(カタールが)最後のワールドカップになる。今後どうなるかはわからないが、今のところ、答えはノーだ。次のワールドカップには出ないだろう」

  • Lionel Messi Argentina 2022-23Getty Images

    また違う未来

    もちろんメッシの現役生活がいつどこで終わるのか、最終的に決めるのはメッシ自身だ。だが、アルゼンチンで責任ある立場の人々は、メッシなしの人生をまだ想像できないでいる。

    アルゼンチンサッカー協会のクラウディオ・タピア会長はメッシに、最後にもう一度奇跡を起こしてもらいたいと言っている。この伝説のストライカーが、もう一度W杯までの4年間を締めくくるまで、代表に確実にいてほしいと望んでいる。

    スポーツ・サミット・リーダーでのスピーチで、タピア会長はこう言った。「彼は常に、次を追い求める。決して我々を置き去りにしない。常に我々を驚かせ、次に向かう。誰もが想像できる。私だって想像できる。彼にはあの場所にいてほしい。今の状態なら、彼はやすやすと2026年ワールドカップでプレーできるだろう」

    「(ルカ・)モドリッチはクロアチア代表でそうしている。(アンドレス・)イニエスタもバルセロナでそうだった。彼次第、彼の気持ち次第だ。私は彼がワールドカップでプレーするのを、彼の好きなポジションでプレーするのを見てきた。実際のところ、彼ならできる。彼がそうしたいかどうか次第だ。私はそれを夢見ている」

    その可能性を高めるのは、次のW杯開催国がアメリカ合衆国であることだ。MLSに行くことを選んだメッシは望むと望まざるとにかかわらず、アメリカ・サッカーのニューフェイスとしての地位を確立した。今後数年間、メッシはアメリカにおけるサッカーを代表する選手であり続けるだろう。MLSは、メッシがリーグをまったく新しいフェーズに導いてくれることを期待している。

    メッシのインテル・マイアミとの契約は2025年までだ。つまり、メッシは次のW杯が始まる前にMLSを去る可能性が高い。しかしながら、大会が始まるまでメッシがMLSに居続けるなら、そしてこれまでメッシが築いてきたレベルでプレーをし続けられるなら、最後にもう一度、連覇という歴史的偉業に挑む母国に確実に貢献できるかもしれない。

  • Messi-Almada-ArgentinaGetty

    若手選手たちとの融合

    代表監督の仕事は選手層を常にリフレッシュなものにすることであり、スカローニ監督は確実にそれを始めている。

    「過去は過去。過去がどんなに美しくても、我々は前進し続けなければならない」と、スカローニ監督は言った。「アルゼンチン代表のDNAとは、常に戦い、勝つことだ。これからもっと厳しくなるだろうが、このユニフォームを着て、このエンブレムをつけている限り、選手には成長し続けることが求められる」

    「可能な限り最高のチームを作るために選手を選んでいる」と、スカローニ監督は続けた。「ワールドカップ優勝経験者がいることは素晴らしいことだが、そうでなくとも、チーム内に居場所を勝ちとりたいと思う選手たちがいる。我々は、持てる限りの最高の選手たちで戦う」

    世代交代は必然であり、その準備のためにスカローニ監督は直近のチームに33人の選手を招集し、そのうち9人が23歳以下であった。エンソ・フェルナンデス、フリアン・アルバレス、ティアゴ・アルマダといったW杯優勝経験者もいるが、ファクンド・ブオナノッテ、アレハンドロ・ガルナチョ、アラン・ベラスコといった新星も含まれている。ベラスコ、ブルーノ・ザペリ、ルーカス・エスキベル、ルーカス・ベルトランの4人は、代表初選出だ。

    アルマダとベラスコはつい最近、クラブでの試合でメッシと対戦した。メッシのインテル・マイアミと、アルマダのアトランタ・ユナイテッドがリーグスカップのグルーブステージで対戦したのである。若きミッドフィルダーはアルゼンチンで最も才能のある新星のひとりで、昨年の冬はカタールにいたアルゼンチン代表の最年少選手であった。

    決勝トーナメントでは、メッシとベラスコが両チーム合わせて8得点というスリリングな試合を戦い、PK戦の末にメッシのチームが勝った。メッシもベラスコもともに得点を挙げ、試合後にユニフォームを交換した。その日、ベラスコがメッシとスカローニ監督の印象に残ったことは明らかで、U-23の代表に入ってもおかしくないとの噂が立ち、スカローニ監督によってフル代表に呼ばれたのであった。

  • Di Maria Argentina World Cup 2022Getty Images

    去り行く選手たち

    メッシはアルゼンチン代表の中で最も有名なベテラン選手だが、W杯優勝経験者の中でそう長くは代表に居続けられないかもしれない選手は、彼以外にもいる。

    「眠っていられる選手は誰もいない。このユニフォームとエンブレムは絶え間ない成長を意味するものであり、優秀な選手で居続けられるチャンスはある。選手たちは良いプレーをしており、長くチームにいるための基礎はできている。我々は、チームを成長させることができ、浮いてチームに困難を与えられると信じられる選手をチームに加えている」

    カタールでスカローニ監督が率いた26人の選手の中で、10人が大会開幕前に30歳以上になっていた。その一人はもちろんメッシだが、エミリアーノ・マルティネス、フランコ・アルマーニ、ヘロニモ・ルジといったゴールキーパーは全員そうだった。フィールドプレーヤーのニコラス・オタメンディ、アンヘル・ディ・マリア、パプ・ゴメス、マルコス・アクーニャ、ニコラス・タグリアフィコもそうで、アルゼンチン代表のユニフォームを着ての最後の戦いに向かっているように思われる。

    W杯予選を戦う今回の33人の選手たちには、30歳以上が8人いる。W杯優勝経験者でないのはヘルマン・ペッセッラだけで、オタメンディやディ・マリアといった選手たちが、チームで最も経験ある選手としてメッシと並んでいる。

    オタメンディとディ・マリアは、最近クラブレベルでは後退しており、ディ・マリアはこの夏にようやくベンフィカへの加入が決まったばかりだ。コパ・アメリカが間近に迫っているが、来年の夏の大会では活躍できるとしても、スカローニ監督がアルゼンチン代表の連覇のために先発でピッチに送る若手選手を探していることは間違いない。

  • Lionel ScaloniGetty Images

    新世代が進むべき道

    今週のW杯予選は旅の始まりを告げるもので、南米の国々にとって長く険しい戦いとなる。

    今週始まったW杯予選でアルゼンチンはエクアドルとボリビアと対戦し、この戦いは10月25日まで続く。いつも通り、各チームは9チームとホーム&アウェイ方式で対戦し、合計18試合を戦うことになる。

    W杯出場国数が拡大されたおかげで、予選の道のりはやや易しいものとなっており、南米からは6チームが出場でき、さらにもう1チームがプレーオフに出場できる。だが、南米のサッカーについて少しでも知っているなら、W杯予選の試合が決して易しいものではないことはわかるだろう。

    さらに、このW杯予選の真っただ中にコパ・アメリカがある。アルゼンチン代表はW杯の王冠を守ることに全力を注ぐ前に、コパ・アメリカのタイトルも守らなければならない。この大会は来年の6月20日から7月14日に行われ、北中米カリブ海サッカー連盟と南米サッカー連盟から16チームが出場する。

    このことを考えると、アルゼンチン代表の新顔たちには実力を発揮するチャンスが数多くあることになる。ベテラン勢にとっても同じで、まだ代表の一員でいられることを証明するチャンスは数多くあるのだ。

    代表チームを作り上げることは正解のない学問であり、多くの監督たちがこの学問を身に着けようとして失敗してきた。スカローニ監督には今後数年間にわたってチャンスが与えられるわけだが、メッシが居ようと居まいとアルゼンチン代表は今、来るべき大会への準備を始めている。

0