横浜F・マリノスに加入し3年以上が経った。背番号6を背負って臨んだ昨季は、シーズン序盤に負傷で離脱したものの、終盤から先発を勝ち取り優勝に貢献。今季もここまでリーグ戦全試合で定位置を確保している。トリコロールの中盤は才能の宝庫だ。熾烈なポジション争いが繰り広げられる中での自身と、連覇を目指すチームについて話を聞いた。【取材日:4月10日/聞き手=小津那(GOAL編集部)/取材協力=アシックス】
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■まだ順位を気にする必要はない
――現在、横浜FMはリーグ戦5位です(取材時・第7節終了時)。昨季に比べるとスタートダッシュで苦戦していますが、この理由をどう捉えていらっしゃいますか?
今5位という位置にいますが、始まったばかりなのでまだ順位を気にする必要はないと思います。それよりも毎試合課題だったりできることだったりがあるので、そこを修正しながら最終的に1位という位置に行ければと思っています。今の時点では目の前の一試合一試合に集中してやっていくだけですね。
――昨季優勝チームということで、相手からも警戒されていると思います。
優勝したことで、どのチームもF・マリノスを倒したいという気持ちでやってくると思います。そういったところで苦しい試合も何試合かありました。でも、横浜FMはそういうどんな相手でも圧倒しなきゃいけないチームです。今は新たな形を試しているところでもあるので、そういった部分がこれから出てくれば、どこでも勝てる自信はあります。
――渡辺選手が東京ヴェルディから横浜FMに移籍して来られた2019年にも優勝を経験していらっしゃいます。その時と昨季でご自身の中で違いはありましたか?
2019年の夏に加入しました。その時は正直「入り切れていなかった」というか、ついていくことに必死でやっていて、その結果優勝しました。でも今は引っ張っていかなきゃいけないし、立場が変わったと思っています。そういったところをプレーで見せていきたい思いで今シーズンは入っています。ただやっぱり、まだまだなところが多いですし、自分自身がレベルアップしないと。チームがレベルアップするために、もっともっとチームに良い影響を与えられる選手にならなきゃいけないと思っています。
――渡辺選手はアンジェ・ポステコグルー監督、ケヴィン・マスカット監督、両者の指導を受けています。違いを感じますか?
大きな違いはありませんが、ポステコグルー監督は「相手関係なしにまずは自分たちのサッカー」という印象がありますね。マスカット監督は「相手を見てどういう立ち位置を取ったらいいか」といった相手の出方を見てやっていくイメージです。今は個人的にも、より相手の出方を見られるようになってきたと思いますね。
――シーズン前に、藤田譲瑠チマ選手とや山根陸選手にお話をうかがったのですが、「自分たちが主体的にやるだけじゃなくてハードワークもすごく意識している」とおっしゃっていました。
その部分が第一です。まずそこができてからの話なので。マリノスは特に大事にしています。どんな選手であろうと、ハードワークしないと勝てない。そこはチーム全員みんなが強く意識しているところです。
――警戒しているチームはありますか?
現時点では特にありません。ただ、個人的にセレッソ(大阪)と(コンサドーレ)札幌に負けているので、そこには後半戦絶対勝ちたいです。
――連覇に向けて意識していることは?
目の前の試合に集中することと、いかにいい準備ができるかということです。一試合一試合集中して確実に勝ち点3を積み上げていくことが、最終的に優勝に繋がるのだと思います。
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■「無理矢理行かされて」始めたサッカー
――あらためて中高生の頃を振り返っていただきたいのですが、サッカーとの出会いを教えてください。
出会いは、「無理矢理行かされた」です。それが最初です。留守番をしなきゃいけない時間にサッカースクールが被っていたので連れて行かれて。そこからもう勝手に好きになっていましたね。やっているうちにどんどんハマっていって一筋でやってきました。
――ジュニアから東京ヴェルディに加入します。東京Vアカデミー時代に影響を受けた指導者はいますか?
ヴェルディ時代の指導者はい過ぎて一人に絞れないですね。環境も本当によくて、スタッフ、コーチ陣、みんな元プロの選手とかで、そういったコーチたちが本気で僕たちを相手に戦ってくれました。コーチ対自分たちのような練習が毎週ありました。そういった部分でも本当にいい環境だと思いますし、たくさんのコーチの方々に教わったからこその今があるのだと思います。
――アカデミーとプロの世界との大きな違いをどこに感じますか?
まず、お金を払って試合を見に来てくれているサポーターがいます。お金を払って来ていただいているのに中途半端なプレーはできません。意識の面では、ピッチ以外のところでどれだけ努力しているか。ピッチの上だけじゃない。ピッチ以外が本当に一番大事だなと感じています。そこでどれだけ人と違うことをやれるか、人以上にやれるか。プロになって思いました。
――育成年代からプロとなった今までスパイクに対するこだわりはありますか?
こだわりはフィット感です。足にフィットするかどうか一番こだわっています。
――アシックスのスパイクを選んだ理由は?
まず履いた瞬間にフィットします。他のスパイクとかだと試合に使うまでに1~2週間慣らして試合に使っていたのですが、アシックスのスパイクは試合前日に履いても、次の日試合でいけちゃうんです。そのぐらい最初からフィットしてくれるスパイクです。
――新しいモデルDS LIGHT X-FLY 5を履いてみていかがですか?
一番重要視しているフィット感がいいです。あとは素材ですね。革って結構伸びてしまって数回しか履けなかったり、フィット感がなくなったりするイメージがあったのですが、アシックスのスパイクは伸びないし、ずっとフィットします。フィット感とそれが持続するところが本当に魅力だと思います。
――最後にファン・サポーターへのメッセージをお願いします。
チームとしては連覇、プラスで違うタイトルも狙っていけるように。個人としては一年間、チームの力になってやっていけたらいいなと思っています。まだまだシーズン長いですけど、一試合一試合連覇に向けて頑張るので、応援よろしくお願いします。
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Profile
■MF 6 渡辺 皓太(わたなべ・こうた)
1998年10月18日生まれ、24歳。165cm/66kg。神奈川県川崎市出身。F.F.VIGORE→東京ヴェルディジュニア→東京V.Jr.ユースY→東京Vユースを経て2017年トップチームに昇格。19年夏に横浜FMに完全移籍。J1通算85試合出場2得点。J2通算90試合出場4得点。(4/14時点)