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ケイン、ルーニー、ベリンガムら…21世紀のイングランド代表選手トップ25

イングランド代表は国際サッカーで輝かしい成績を残しているわけではない。ウェンブリーの飾り棚にはトロフィーがたったひとつしかなく、今年7月に欧州選手権の決勝でもスペインに負けたため、優勝に飢えたファンはさらに2年、痛みに耐えるしかない。

特に過去25年を振り返ってみれば、本当はできたこと、おそらくは「すべき」だったことを思わずにはいられない。イングランド代表はガレス・サウスゲートのもとで2度もユーロの決勝で負け、2018年ワールドカップを準決勝で敗退した。故スヴェン・ゴラン・エリクソンが指揮を執った2001年から2006年までの間には、主要大会に3大会連続で準々決勝進出を果たしたが、そのうち2回、PK戦で負けている。

この間、ファンの期待が大幅に下がった閑散期があり、スティーブ・マクラーレン、ファビオ・カペッロ、ロイ・ホジソンはいずれも、サッカー界の「不可能な仕事」が求めるものを持っていないことが露見した。だが、これらの3時代はそれぞれ、イングランド代表が世界最高の選手の幾人かを招集できる時代でもあった。

正直に言えば、そうした選手のほとんどが、最も重要な試合のすべてで自身の力を最大限発揮できたとは言えない。精神的なタフさが足りないことが判明したり、戦術に問題があって彼らの成長が妨げられたりした時もあったが、だからといってすべてを悪く言うことはできない。今世紀これまでのイングランド代表のトップ選手たちは、イングランドを再び信じようという気にさせたことで評価に値する。そこでGOALはそうしたトップ選手25人をランキングすることにする。まずは誰よりも不滅に近づいた選手から…。

  • Milner-EnglandGetty

    25ジェイムズ・ミルナー(キャップ数61、1得点)

    2002年にリーズで大躍進したミルナーがイングランド代表に招集されるまでに7年かかったが、U21では最多キャップ数を更新した。オランダとの親善試合でフル代表デビューを果たしてからはチームに定着し、ワールドカップに2回、欧州選手権に1回出場して、常に全力を尽くした。

    ミルナーはスリー・ライオンズにとって有用な選手だが、代表では1得点しかしていない。それでも特にホジソン時代に、彼の多才さは代表にとって使い勝手のよい財産であった。現在のサッカー界でも彼以上に粘り強く頼りになる選手は少ない。38歳になっても相変わらず力強く、マンチェスター・シティとリヴァプールでスターだったミルナーは、イングランド代表に真の強さを与え、彼のプロ意識は常に輝かしい手本であった。

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  • Luke Shaw - EnglandGetty

    24ルーク・ショー(キャップ数34、3得点)

    相次ぐケガとの戦いがなければ、おそらくルーク・ショーは同世代で最高の左サイドバックとなっていただろう。頭のよいDFで、絶好調の時には前線へ上がって敵を粉砕する武器となった。そんなプレーはマンチェスター・ユナイテッドでは珍しかったが、彼の最高のプレーの多くはイングランド代表で発揮された。

    主要大会に15回出場したことは素晴らしい快挙であり、特にEURO2024で永く語り継がれるだろう活躍をした。イングランド代表が決勝に進出できたのは、彼の左サイドでの献身的で狡猾なプレーのおかげであり、見せ場となったイタリア戦での開始2分での素晴らしいボレーは、保守的ではない監督のもとでチームを栄光への道に導いたと言えるかもしれない。スリー・ライオンズにはここ6年、ショーに匹敵するような左サイドバックがおらず、直近の欧州選手権でも、先発で起用できるのは彼だけだということが再び証明された。彼がいない時のイングランド代表は完全にバラバラに見えたし、2026年のワールドカップには今度こそ彼のフィジカル・コンディションが最高であることをファンは祈っていることだろう。

  • Barry - EnglandGetty

    23ギャレス・バリー(キャップ数53、3得点)

    バリーは、2000年に初めて代表入りしてからキャップ数9に到達するまでに7年かかったが、イングランド代表のイライラが募る過渡期に、マクラーレンとカペッロの両監督のもとで主力選手になっていった。バリーは破壊的なプレーの達人で、ジェラードやランパードをフリーにするための汚れ仕事をやりつつ、守備と攻撃の重要なつなぎ役を果たしてきた。

    2007年から2012年の間、バリーはイングランド代表で最も安定していた選手で、おそらくもっと評価されるべき選手である。マンチェスター・シティとアストン・ヴィラでスターだったバリーは完璧なMFで、申し分のないパスレンジと激しい競争心を誇っていた。バリーは再びスリー・ライオンズを高らかに吠えさせることはできなかったが、それは努力が足りなかったからではなく、ホジソンが事実上バリーを早々と代表から外してしまった後、彼の存在は惜しまれてきた。

  • Harry-Maguire-EnglandGetty

    22ハリー・マグワイア(キャップ数64、7得点)

    マンチェスター・ユナイテッドのほとんどのファンは、2019年にレスター・シティからオールド・トラッフォードに移籍してきたマグワイアについて、8,000万ポンド(約154億円)に見合う活躍をしていないと思っていたことだろう。だが、イングランド代表としては、194cmのDFに悪いところはほとんどない。2018年のワールドカップでスリー・ライオンズが準決勝に進出した際、マグワイアは大活躍し、ジョン・ストーンズとの強力なコンビは時が経っても色あせない記憶だ。

    ストーンズは常にマグワイアよりも優れたテクニックを見せているが、マグワイアは厳然たるスタイルと空中戦の強さで完璧にストーンズを補完している。マンチェスター・Uのスターのパスも、もっと評価されるべきであり、最も重要な試合において、イングランド代表のバックラインに本物の冷静さをもたらしている。だからこそ、主要大会に17回も出場するという素晴らしい記録を誇っているのだ。

  • Jude Bellingham England Euro 2024 celebrationGetty

    21ジュード・ベリンガム(キャップ数36、5得点)

    ベリンガムがまだ21歳というのは、まったく信じられないことだ。バーミンガム・シティの将来有望なアカデミー出身選手だったベリンガムは、たった4年でレアル・マドリーの1億300万ポンド(約200億円)選手となり、すでに未来のイングランド代表キャプテンと噂されている。

    ベリンガムは力強いドリブルを誇る頭の良いボックス・トゥ・ボックスのMFで、守備と同じく効果的な攻撃参加ができる。絶好調でなくとも、常に違いを生みだせる選手なのだ。そのことは、EURO2024のベスト16でスロバキアと対戦した試合の劇的な試合終了直前の同点弾でも証明された。2年後の次のワールドカップでも、イングランド代表が頼りにする選手となることだろう。

    技術的な面ではもう少し成長が必要だが、ベリンガムはすでに止めることのできない不可抗力となれる道を進んでいる。イングランド代表には次世代のスター候補が大勢おり、ベリンガムは、今後数年間で、そうした選手たちを偉大な選手へと導くことができるだろう。

  • Crouch - EnglandGetty

    20ピーター・クラウチ(キャップ数42、22得点)

    201cmの細身でやる気のなさそうに動くクラウチは、しばしば過小評価されてしまう非正統派のストライカーだった。そんな特徴を強みにしてポーツマス、リヴァプール、トッテナム、ストーク・シティと渡り歩き、プレミアリーグで崇拝されるヒーローとなったが、特にイングランド代表の白いユニフォームを着ていた時は常に、期待を上回る活躍した。

    クラウチは、イングランド代表に選ばれた5年間で必ずしも先発イレブンに選ばれない時もあったが、平均すると2試合に1得点の割合でゴールを決め続け、ボックス内で敵の脅威となっていた。空中戦ではほとんど負けたことがなく、足元でのボールさばきも驚くほど機敏で、クラウチは過小評価されがちだが優秀なサッカー脳を持つ天性のストライカーだった。ゴールを決めた後の「ロボット」のパフォーマンスも有名で、それだけでもサポーターはいつまでも彼を懐かしく思い出すだろう。

  • Declan Rice EnglandGetty

    19デクラン・ライス(キャップ数60、4得点)

    ライスはもともとアイルランド代表だったが、2019年にイングランド代表に代わり、ほどなくウェストハムでの活躍によりサウスゲートの目にとまることとなる。闘争心にあふれたMFで、徐々に代表に欠かせない選手となっていき、EURO2020のイングランド代表で活躍したひとりとなった。カルバン・フィリップスとのダブル・ボランチのコンビネーションは力強かった。

    ライスが入ったスリー・ライオンズは新たなレベルに達し、破壊的なプレーでボールを前線に運ぶようになった。ライスはパスで試合のリズムを作れる選手で、2023年に高額移籍でアーセナルに加入して以降、イングランド代表は、攻撃面を改善しようとする彼の献身的なプレーの恩恵を繰り返し受けている。

    ライスが中盤をリードするイングランド代表の未来は明るい。25歳のライスは派手に活躍する選手たちほど高い評価を受けていないが、チームの調和を図るうえでこの上なく重要な選手であり、全盛期に向けてますます成長していくに違いない。

  • John Stones EnglandGetty

    18ジョン・ストーンズ(キャップ数81、3得点)

    ストーンズは、イングランド代表が栄光をつかみかけた直近の4つの主要大会すべてでサウスゲートのラインナップに常に存在していた。マンチェスター・シティのエースはポジショニングのうまさと視野の広さを誇る素晴らしい司令塔であり、常に敵よりも一歩先んじることができる。

    イングランド代表も、ストーンズの相手守備陣を突破したり敵をひきつけたり、ライン間にスペースを生みだしたりする能力を頼りにしている。彼がいなければ、スリー・ライオンズは過去8年間に到達できた高み、とりわけEURO2024での好成績にたどり着くことはできなかっただろう。

    ドイツでは多くの主力選手が期待はずれに終わったが、ストーンズの活躍は素晴らしく、決勝のスペイン戦でも彼のプレーは決して敗者のプレーではなかった。イングランド代表にとって幸運なことに、ストーンズは30歳を過ぎても衰えの兆しを見せず、最終的な誰がサウスゲートの後任に選ばれたとしても、招集すべき選手として真っ先に名前があがることは間違いない。

  • Kyle Walker England Euro 2020Getty

    17カイル・ウォーカー(キャップ数90、1得点)

    ここ数年、イングランド代表は右サイドバックの選手起用に苦労しており、トレント・アレクサンダー=アーノルド、リース・ジェイムズ、ベン・ホワイト、キーラン・トリッピアーが代わる代わるレギュラーを務めているが、このポジティブでのナンバー・ワン選手と言えば彼しかいない。ウォーカーはその力強さであらゆる戦いに勝ち、マンチェスター・Cでのセンセーショナルな活躍を国際舞台でも引き続き披露して、ユーロの代表に2度選ばれた。

    ウォーカーほど、イングランド代表の久方ぶりのトロフィー獲得を果たそうと努力した選手はいない。常人離れしたスピードやスタミナで試合開始から終了までピッチのあらゆるエリアをカバーすることができ、1対1のデュエルにおいて負けることはほとんどない。何より2022年ワールドカップでキリアン・エンバペを抑えこんだことは有名である。

    EURO2024決勝のことは忘れたいだろうが、あのせいでイングランド代表のために献身的に戦ってきたことが色あせることは決してない。次のワールドカップが開催されるときは36歳になっているが、時計の針を巻き戻してあの金色に輝くトロフィーを掲げる最後のチャンスに挑んでくることだろう。

  • Campbell - EnglandGetty

    16ソル・キャンベル(キャップ数73、1得点)

    キャンベルは世紀の変わり目の頃からすでにイングランド代表の主力だった。結果的にケビン・キーガンの解任につながった残念なEURO2000のグルーブステージ3試合すべてに出場し、翌年エリクソンが監督に就任した時も代表に招集されている。

    イングランド代表のいわゆる「黄金世代」は2002年のワールドカップ前から始まっていたが、実際のイングランドはその大会で決してトップギアに入ることはなく、最終的に準々決勝のブラジル戦で敗退した。だが、それはキャンベルには何の関係もなく、イングランド代表の新たなスーパースターたちの中で唯一、FIFAワールドカップ・オールスター・チームに選出された。

    キャンベルは6大会連続で主要大会に出場した最初のイングランド代表となった。アーセナルの元スター選手であり、全盛期には誰に対しても果敢に立ち向かう優れたセンターバックだった。代表としてもっと成果をあげられなかったのは不運としか言いようがない。

  • Jordan Pickford EnglandGetty

    15ジョーダン・ピックフォード(キャップ数70)

    ピックフォードはこのところのイングランド代表の成功の主軸であり、もともとは2018年に背番号1のGKにユニフォームを着ていた。スリー・ライオンズのGK史上最も多く主要大会での無失点試合を記録しており、連続無失点時間の代表記録をもっている(725分)。これは、彼の前に強力なディフェンスがあったからだけではない。

    エヴァ―トンの元スターは電光石火の反射力を持っており、そのおかげでイングランド代表は数えきれないほど何度もピンチから救われてきた。PK戦で5人を止めたこともあり、1990年から2012年にかけて代表となった他のGKの2倍以上である。エヴァ―トンでの試合ではミスを犯すこともたびたびあるが、国際試合では完璧な成績を収めており、彼の激しい闘争心がチームを盛り立てている。

    スリー・ライオンズはピックフォードの素晴らしい配給力も信頼している。どんな時にもプレッシャーに負けることなく冷静で、イングランド代表のビルドアップを発動させる選手である。そのロングパスによりチームは一瞬にして守備から攻撃に移ることができ、スローイングの能力も人並外れている。最終的にグローブを外す時が来ても、彼の代わりを見つけることはほとんど不可能であろう。

  • Neville-EnglandGetty

    14ガリー・ネヴィル(キャップ数85)

    ネヴィルよりもイングランド代表のキャップ数が多い選手は14人しかおらず、ネヴィルのキャップ数のうち51は、彼の絶頂期に当たる2000年から2007年にかけてのものである。ネヴィルはサッカーIQの高い、粘り強い右サイドバックで、力を抜くような日はほとんどなかった。それは常に手本を示してリードするという彼の決意の現れだった。

    マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドでありながら足の骨折で2002年ワールドカップに出場できず、4年後のドイツ大会では、ふくらはぎの故障に苦しんで2試合しかプレーできなかったが、2004年の欧州選手権では活躍し、グルーブステージでスイスに3-0で勝った試合ではアシストを記録した。

    ネヴィルは何よりも守備の素晴らしさで有名だが、チャンスがある時は前線へ突進していくことを恐れず、しばしばその運動量に見合った成果をもたらしている。イングランド代表の「ミスター・ディペンダブル(信頼できる男)」は更衣室でも声を出して、チームを取り巻く熱狂が最高潮の時に、しばしば若い選手たちのよき手本としての役割を自ら引き受けていた。

  • Saka-EnglandGetty

    13ブカヨ・サカ(キャップ数42、12得点)

    サカは10代でアーセナルでブレイクした後、2020年10月に初めてイングランド代表に選ばれ、それ以来ずっと選ばれ続けている。年齢に見合わない成熟さを示すサカは、スリー・ライオンズの右サイドの攻撃の役割を担い続けており、ダイレクトで爆発的なプレースタイルで代表に新しい次元を付け加えている。

    EURO2020では限られた役割の中で輝き、2年後のワールドカップでは4試合で3得点をあげてイングランド代表で最も危険な選手となった。特に接戦となった準々決勝のフランス戦で活躍し、テオ・エルナンデスを翻弄して何度もチャンスを作ったが、得点には至らなかった。

    直近のユーロはサカにとってつらい経験となったが、その原因は主にサウスゲートの戦術に問題があったからだった。まだ23歳のアーセナルのウィングはワールドクラスの選手になりうる片鱗を示しており、今後数年間に、最も大きな舞台で、ついにイングランド代表に一線を超えさせるような選手になるかもしれない。

  • Joe Cole - EnglandGetty

    12ジョー・コール(キャップ数56、10得点)

    ウェストハムのアカデミー出身のコールがチェルシーで絶頂期を迎えていた時、ペレに「ブラジル人のようなスキルを持っている」と絶賛されたことは有名であり、その分析は正しかった。コールは両足使いで前線のどこででもプレーが出来、最高のDF相手に、豊富なトリックでしばしばからかうようなプレーを見せ、楽しそうに戦っていた。

    コールはイングランド代表のファンに魔法のような瞬間を数多く提供したが、特に2006年ワールドカップでは、準々決勝のポルトガル戦で痛い敗戦を喫するまで、すべての試合に先発した。2-2の引き分けだったスウェーデン戦での彼の得点は、おそらく主要大会でスリー・ライオンズの選手が記録した中で最も素晴らしい得点だったろう。

    ストライカーとしては小柄なコールが、大きくバウンドしたボールを胸トラップでコントロールし、32mの距離からボレーシュートを放つと、そのシュートはゴールマウスの右上隅に吸いこまれた。センセーショナルで完璧なプレーだった。最終的には度重なるケガのせいで実力を出し切れなかったが、勢いある彼のプレーは見ていて楽しく、最も大きな試合でイングランド代表に未知なる要素を加える存在であった。

  • John Terry - EnglandGetty

    11ジョン・テリー(キャップ数78、6得点)

    テリーはボール扱いのうまいセンターバックではなくスピードもなかったが、試合の流れを読む能力は誰よりも優れていて、チャレンジすることを決して怖がらず、セットプレーでは常に脅威となっていた。チェルシーに長く在籍し、空中戦に優れた天性のリーダーで、ボールを奪われることはほとんどなく、しばしば身体を張ってデュエルに勝った。

    テリーは2つの主要大会でイングランド代表のキャプテンを務め、そのうちの1つである2006年ワールドカップでは、イングランド代表から唯一、FIFAのオールスター・チームに選ばれた。ピッチ外での騒動のために現役の後半で2度キャプテン・マークを剥奪され、31歳という若さで代表から引退した。

    彼の引退でチームに大きな穴が開き、カペッロの後任監督となったホジソンは、その穴を埋めることができなかった。テリーはイングランド代表のためにその血、汗、涙を捧げた素晴らしいDFであり、残念な終わり方を除けば、イングランド代表としてのキャリアを堂々と振り返ることができるだろう。

  • Raheem Sterling EnglandGetty Images

    10ラヒーム・スターリング(キャップ数82、20得点)

    スターリングは過去10年間におけるイングランド代表の最高の選手に選ばれるだけの理由がある。惨憺たる2014年ワールドカップにおいてスリー・ライオンズで唯一輝いていた存在であり、サウスゲートにとって最も信頼できる隊長だった。

    リヴァプールやマンチェスター・Cでウイングとして活躍し、EURO2020で特に輝いた。7試合で3得点してイングランド代表の決勝進出の先鋒として活躍したのである。2022年ワールドカップ以降代表に呼ばれていないのは、チェルシーでの活躍にムラがあることとブカヨ・サカの台頭によるが、代表に多くを捧げてきたスターリングはもっと評価されてしかるべきである。

    スターリングがトップにいた時のイングランド代表は強かった。スターリングのプレスは厳しく、見事なワンツーやひとりで複数の敵を相手にすることで、あっという間に味方に好機をもたらした。スターリングは常にゴールを虎視眈々と狙っており、今シーズン、アーセナルへのレンタルで活躍できれば、再招集されるべき選手である。

  • Lampard-EnglandGetty

    9フランク・ランパード(キャップ数106、29得点)

    フランク・ランパードについては、しばしば、彼とスティーヴン・ジェラード、ポール・スコールズの中で最高のMFは誰かという結論の出ない論争が起こる。チェルシーのカリスマには、他の2人のような神に与えられた才能がないことは否定できないが、試合のすべての面で出来うる限り最高のプレーをすることで、それを補ってきた。

    ランパードはEURO2004の4試合で3得点を決め、大会のベストイレブンに選ばれたが、その得点の中にはベスト8でポルトガル相手に、チームをPK戦に導いた、延長での劇的同点ゴールがある。他にも2004年と2005年にイングランド代表に選ばれており、2006年ワールドカップの予選ではチームの最多得点選手となった。スコールズが代表を引退した後はさらなる重責を担っている。

    ランパードもまた、年齢による衰えを感じさせない。30歳を過ぎてからもイングランド代表で15得点を挙げ、史上最多得点を誇っている(2010年ワールドカップのベスト16でのドイツ戦でのかの有名な得点が間違って取り消されなければ16得点となっていた)。ランパードは今日までイングランド代表歴代最多得点MFであり続けているが、同時に素晴らしい司令塔でもあり、これほど才能あふれる選手を長く招集してこれたイングランド代表は幸運であった。

  • Scholes-EnglandGetty

    8ポール・スコールズ(キャップ数66、14得点)

    「スコールズはイングランド代表の最高の選手だ。彼はすべてを持っている」と、エリクソンは2013年に出版された自伝に書いている。純粋にサッカーの美しさから言えば、エリクソンの言葉は間違っていない。スコールズはピッチのどこからでもゴールを決めることができ、長短を問わずほとんどパスをミスすることはなかった。

    マンチェスター・ユナイテッドで三冠を達成し、頭の後ろに目があるのではないかとも言われ、常に自分の周りのあらゆることを正確に把握していた。スコールズはどんなにプレッシャーがかかる場面でも自分のペースでプレーすることはでき、両足ともに素晴らしかった。

    スペクタクルな得点を決める傾向があるが、勇者のメンタルを誇ると同時に、後からボックスに入ってゴールを決める技もマスターしていた。不運にもイングランドでは本職ではないポジションでプレーすることが多かったが、特にエリクソンは同じシステムにスター選手たちをフィットさせるのに苦労していた。

    それが、スコールズがわずか29歳でイングランド代表から離れることを決めた主な要因のひとつであることは間違いないが、サポーターたちはスコールズがいればと悩まざるを得ない。マンチェスター・Uのジンジャー・ウィザードはスリー・ライオンズに名を残し、彼以降、同じようにユニークな技をもった選手は現れていない。

  • Ferdinand-EnglandGetty

    7リオ・ファーディナンド(キャップ数81、3得点)

    ファーディナンドはイングランド代表ではキャンベルやテリーと組んで、この2人を完璧に引き立てる、冷静きわまりない技術的に完璧なセンターバックであることを示してきた。リーズとマンチェスター・ユナイテッドでエースだったファーディナンドは欧州選手権に出場したことはないものの、2002年と2006年のワールドカップではスリー・ライオンズのかなめとなる存在であり、10試合に出場して無失点試合を7回記録している。

    どんなプレッシャーにも負けないように見え、守備から直接ボールを攻撃につなげることに優れ、経験豊かなMFとして自信をもってボールを展開していた。生まれついての優雅さを醸し出し、試合のペースを変えることに優れていて、必要な場合はスリーバックにおけるスイーパーとして活躍した。

    カペッロは一時期、2010年ワールドカップの前にファーディナンドをキャプテンに任命していたが、ケガで大会に出場できず、それ以降ベストの状態に戻ることはできなかった。それでも全盛期のファーディナンドがサッカー界で最も完璧なDFであったことはまちがいなく、イングランド代表は一時期、彼の才能ゆえに無敵であるように思われていた。

  • Owen-EnglandGetty

    6マイケル・オーウェン(キャップ数89、40得点)

    オーウェンは90年代末に向けてイングランド代表の次の大きな希望として現れ、2000年代初めに世界で最も恐るべきストライカーとしての地位を強固にしていった。スリー・ライオンズのファンなら誰もが、ワールドカップ予選でドイツを5-1で下したときの見事なハットトリックを、代表における彼の最高の瞬間にあげることだろう。これによりオーウェンは2001年のバロンドールを受賞した。

    現役時代のオーウェンは誰も止めることができなかった。電光石火のスピードを持ち、機敏で賢く動き、常に正確なポジション取りで相手に決定的なダメージを与えた。彼以上に素晴らしい点取り屋もイングランド代表にはいなかった。この元リヴァプールのストライカーについて、エリクソンは「ピッチにオーウェンがいるなら、最後の一秒まで必ず勝つチャンスがある」と言っていた。

    残念ながら、オーウェンは2006年ワールドカップで災難に襲われた。イングランド代表のグルーブステージ最後のスウェーデン戦で前十字靭帯を断絶し、帰国することになったのだ。彼自身も言うとおり、同じ目に遭った選手は誰もいない。だが、オーウェンは素晴らしい選手であり、ゲーリー・リネカーが持っていた国際試合での得点記録を更新した。代表最後のゴールは欧州選手権予選のロシア戦で挙げた2得点である。

  • Ashley Cole - EnglandGetty

    5アシュリー・コール(キャップ数107)

    コールはおそらく「黄金世代」で唯一、持っていた才能をすべて発揮した選手ではないだろうか。実際、2002年から2012年までずっとイングランド代表に居続けた選手は彼しかいない。その間、ワールドカップや欧州選手権を含め22試合に出場した。

    クリスティアーノ・ロナウドは2016年の『コーチ・マグ』のインタビューで、コールのことを今まで対戦してきた中で最もタフな相手と評し、「彼は息をする間も与えてくれない」と語った。アーセナルやチェルシーでフルバックとして活躍したコールは、実際、エリクソン監督時のイングランド代表が主要大会でポルトガルと戦った2試合いずれもでC・ロナウドを手玉に取っており、5度のバロンドール受賞者は何度もフラストレーションを爆発させていた。

    コールはどんなストライカーに対しても、その底知れないエネルギーと鋭い予測力で同じような成果をあげていた。しかも、守備だけでなく攻撃でもイングランド代表にとって彼は偉大な財産であり、前線への突破でチームに新たな突破口を与え、逆転勝ちに貢献した。代表で得点を決めることはなかったとしても、コールのスピードとクロスの技術は常に敵の脅威となっていた。

  • Gerrard-EnglandGetty

    4スティーヴン・ジェラード(キャップ数114、21得点)

    2000年代初めから半ばにかけて監督だったエリクソンが厳格な4-4-2のシステムにこだわりすぎたことが、イングランド代表を破滅に導いた。ジェラードとランパードが固定されていなかったことも主な原因であり、そのうちのひとりは、ピッチの中央でスリー・ライオンズが決して追い越されないよう、常に野生の本能を調整していなければならなかった。

    それでも、ジェラードがしばしばしていたように輝けたことは奇跡のようなものだった。攻撃にも守備にも優れていて、信じられないほどタフなメンタルを発揮しながら、チームのためにグランドを走りまわっていた。ほとんどの場合、ジェラードは、エリクソンの現実主義的な戦術の犠牲になることをきっぱりと拒否した。

    2001年にイングランド代表がドイツを倒した時に大喝采を浴びたのはオーウェンだったが、その試合に得点したのはジェラードで、20m以上離れたところからボレーシュートをゴールの下隅に沈め、代表初ゴールを決めたのだった。その後のイングランド代表での20得点の大部分が、彼のテクニックの完璧さを示すものであった。サッカーのピッチでジェラードにできないことはなく、たとえ彼の周りの全選手がうつむいているような時であっても、彼の熱意は常に輝いていた。

  • Harry Kane England 2024Getty

    3ハリー・ケイン(キャップ数100、68得点)

    ケインはイングランド代表の最多得点記録保持者である。このバイエルン・ミュンヘンのスターがアルバニアやサンマリノのようなサッカー弱小国相手にハットトリックを決めて「得点数を稼いでいる」が本当だとしても、15得点は主要大会で挙げたものである。

    ケインはワールドカップと欧州選手権の両方でゴールデン・ブーツ賞を受賞した3人しかいないうちのひとりで、EUROでの受賞はこの夏、明らかに体調不良であったにもかかわらず獲得したものである。ここ10年近く、ケインはイングランド代表の主な得点源であり、6年間キャプテンを務め、31歳になってもまだ強くなっていっている。これほど長期にわたって重責を担ってきたというのは、特別な選手の証である。

    トッテナムのヒーローだったケインは、点を取る専門家というだけではない。そのパスは格別で、フル回転しているときのケインは究極のつなぎ役である。だが、彼にも懐かしく振り返られない瞬間がある。2018年ワールドカップ準決勝のクロアチア戦でスターリングにボールを出さなかったことと、2年前のカタールでのフランス戦でPKをミスしたことである。しかし、ケインは長い間ずっとイングランド代表のレジェンドであり続けている。常に体調を最高の状態に保つ努力を続けているケインは、引退まで少なくとももう2回は出場するであろう主要大会でスリー・ライオンズを牽引していけるに違いない。

  • Beckham-EnglandGetty

    2デビッド・ベッカム(キャップ数115、17得点)

    イングランド代表のユニフォームを着たベッカムを思いだす時、たちまち「カリスマ」という言葉が思い浮かぶだろう。ベッカムは髪型をモヒカン、ドレッド、ポニーテール、または完全な坊主頭にしても、常にカリスマだったし、そんな派手な姿を支えるだけのサッカーの才能があった。2000年にイングランド代表キャプテンとなったベッカムは、ピッチに立つたびに、そのことが彼自身にとってどれだけ大事なことなのかを感じさせた。

    それが結果につながったのは2002年ワールドカップだけだった。ベッカムは最終予選のギリシャ戦で試合終了直前に長距離の見事なFKを決め、引き分けに持ち込むことができたのだった。日韓共催の本大会でも、グルーブステージのアルゼンチン戦でベッカムがPKを決めて勝たなければ、イングランド代表は敗退していた。奇しくもその4年前のワールドカップでレッドカード退場となったのと同じアルゼンチン戦で、ベッカムは悪夢を払拭したのである。ベッカムは2006年のワールドカップのエクアドル戦でも崇高なFKを決め、イングランド代表を準々決勝へ導いた。

    イングランド代表が救世主を必要としている時、常にベッカムが窮地を救った。その右足はまさに魔法のつえだった。イングランド代表にはもっとマルチな選手がいたが、ベッカムのチームへの献身は他の誰よりまさっていた。キャリアの晩年に代表からの引退を公式に発表することを拒否したことにも、それは現れていた。

  • Wayne Rooney | EnglandGetty Images

    1ウェイン・ルーニー(キャップ数120、53得点)

    ルーニーをこのリストのトップとすることは、難しい決断ではなかった。彼はイングランド代表の最年少得点記録保持者であり、フィールドプレーヤーの中では最多のキャップ数を誇る。総計15年を代表として過ごしてきた選手なのだ。

    ルーニーはわずか18歳でEURO2004に出場し、そのパフォーマンスで世界の観客を驚かせた。恐れ知らずで攻撃的で、スピードがあり、完璧なスキルの持ち主で、3試合で4得点を挙げてイングランド代表をベスト8に導いたが、その間、クロアチア戦では見事な2得点を記録した。残念ながら足を負傷して準々決勝のポルトガル戦では早々に退場せざるを得なかった。そのままプレーしていたなら、おそらくスリー・ライオンズはその試合に勝ち、優勝していたに違いない。

    その後、ルーニーはイングランド代表を同じ高みに導こうと奮闘し、2006年ワールドカップのポルトガル戦では退場処分を受けて(C・ロナウドのアシストつき)再びつらい敗北を喫し、一時的に悪役になってしまった。その後のイングランド代表は急激な下落の一途をたどり、しばしばルーニーは理不尽なスケープゴートにされてしまったが、彼はそんな批判に決して屈しなかった。

    イングランド代表がEURO2012と2014年ワールドカップに出場できたのは、ひとえにルーニーのおかげだった。彼は非常に凡庸なチームを引き上げ、運命に見放されたホジソンの任期終盤では、キャプテンとして重い荷を背負うことにもなった。絶頂期のルーニーは誰にも止めることができず、晩年になってもゆるぎなかった。残念ながらルーニーのイングランド代表でのキャリアに対する一般の認識はゆがめられてしまっているが、実際はこの上なく傑出したものだった。