アーセナル、エンバペ…チャンピオンズリーグ準々決勝組み合わせ抽選の勝者と敗者

マンチェスター・Cはタフな山の方に入った。それは確かに間違いない。だが、昨シーズンもそうだった。タフな山を勝ち続け、初めての栄冠を獲得したのである。だから、ディフェンディング・チャンピオンは少しもたじろぐことなく、ウェンブリーへの道を進んでいくことだろう。とりわけ準々決勝で当たるのがレアル・マドリーとなれば。

マンチェスター・Cはロス・ブランコスをほんの1年前に破ったばかりである。それ以降、ジュード・ベリンガムはサンティアゴ・ベルナベウを席巻してきたが、カルロ・アンチェロッティ監督のチームがベスト8に残ったのは幸運だった。ベスト16で対戦したRBライプツィヒとの試合は、2試合とも不調だったのだ。

シティにとって、準決勝で当たる可能性の高いアーセナルは決して理想的な相手ではない。両者はプレミアリーグのタイトル争いでリヴァプールと三つ巴の争いを繰り広げている最中だが、ガナーズもバイエルンも昨シーズンに下してきた相手であり、優勝候補筆頭のシティが恐れるべき相手ではない。

バイエルンはDFLスーパーカップでRBライプツィヒに敗れており、DFBポカールではFCザールブリュッケンに負け、ブンデスリーガでは首位のレヴァークーゼンに勝ち点差10の差をつけられている。2012年以来の悲願の優勝を果たすには難しい相手を避けたいところだったろうが、そうはいかなかった。正直言って、バイエルンにとっては最悪の抽選だったかもしれない。まずアーセナルを倒さなければならず、さらにウェンブリーにたどりつくにはマンチェスター・シティかレアル・マドリーと戦わなければならないのだ。

実のところ、ベスト16でラツィオを倒すのに苦労していたチームにとって簡単な相手ではない。少なくともハリー・ケインは絶好調で、旧敵アーセナルを倒せるチャンスを得て喜んでいるだろうが、最終的に優勝の栄冠を手にしたいという悲願は間違いなく難しくなっている。

実際、トーマス・トゥヘル監督のアリアンツ・アレーナでの波乱万丈な在任期間は、さらなる挫折で終わると考えないわけにはいかないところだ。

キリアン・エンバペはパリ・サンジェルマンでのキャリアを、故郷のクラブが狂おしいほどに待ち受けていたチャンピオンズリーグの栄冠をもたらすことで終われるだろうか。それは確かに可能性の域を出ていなかった――金曜の抽選の前までは。

対戦相手のバルセロナはPSGにとって厄介な相手である。輝かしい経歴のあるバルセロナだが、好不調の波が激しく、ケガ人続出の中、ここまで勝ちあがってきたのは幸運だった。この夏の退任の意思を表明して以来、チャビ監督にはプレッシャーがのしかかっているだろうが、ラ・マシア出身のスターたちがこのところ明るく輝いている。

しかしながら、エンバペとPSGにチャンスは間違いなく訪れている。すでにリーグ・アン優勝はほぼ確定しており、ルイス・エンリケ監督は好きな時に主要な選手たちを休ませることができる。しかもこのスペイン出身監督はバルサのことを内も外もよく知っている。

エンバペと言えば、彼にはブラウグラナの守備陣を切り裂いた楽しい思い出がたくさんあるし、念願のベルナベウへの移籍を前に、レアル・マドリーにいいところを見せられるチャンスを楽しんでいる可能性もある。PSGがトーナメントの「楽な」側に入ったことで、エンバペは究極のタイトルを虎視眈々と狙っていることだろう。エンバペとその仲間たちにとって、2度目のチャンピオンズリーグ決勝進出の可能性を高めたと言っていい。

1年以上もチーム内の争いに終始しているバイエルン・ミュンヘンのようなチームを、アーセナルが恐れるだろうか。絶対にそんなことはない。ガナーズは、元スパーズのFWハリー・ケインをさらなる悲劇に落とすことを見据えている。

だが、バイエルンは過小評価すべき相手ではない。ケインは毎週得点記録を更新しているし、彼ひとりですべてをやっているわけではない。ケインの周りには、レロイ・サネやジャマル・ムシアラのような、恐ろしいほど相手の脅威となるドリブラーがいる。バイエルンにはすべてを見通して実行する、才能豊かな司令塔が何人もいるし、セカンドレグがアリアンツ・アレーナで行われるというのもアーセナルには問題だろう。今シーズンのチャンピオンズリーグのアーセナルはホーム以外の試合の成績が悪く、セビージャに戦ったときの1勝しかしていない。

さらに、たとえバイエルンを下したとしても、アーセナルは準決勝でマンチェスター・Cと対戦する可能性が高い。このチャンピオン・チームを2試合合計で上回るのは簡単ではない。プレミアリーグのタイトル争いに必死になっているだろう頃の対戦は、おそらくアーセナルに大きな負担となるはずだ。

ガナーズはそんな挑戦をきっと楽しむだろうが、アーセナルに対するブックメーカーのオッズが上がっているというのもまた、事実である。

サッカーは本当に面白いゲームである。CLベスト16のインテル戦セカンドレグで、アトレティコ・マドリーは87分にゴールを決めた。今や、彼らは3度目の決勝進出を狙っている。

アトレティコの選手、監督、ファンは一丸となって好調のインテルを倒した。アトレティコはやっとのことでペナルティ合戦に勝ったと言えるかもしれない。だが、メトロポリターノでの彼らのパフォーマンスは素晴らしく、ウェンブリーにたどり着ける力を十分にもっていることを証明した。

その思いは、準々決勝でボルシア・ドルトムントと対戦することが決まったことでさらに強まった。セカンドレグがジグナル・イドゥナ・パルクで行われることはありがたいことではないが、今シーズンのチャンピオンズリーグのBVBは、PSGやミランとも戦ったにもかかわらず、ホームで負けたことがない。

しかしながら、決勝への道は復活したアトレティコ・マドリーの方に開かれている。今シーズンのホームでのプレーにムラがあることは明らかだが、インテル戦で発揮した激しさを今後も維持し続けることができれば、ディエゴ・シメオネ監督のチームに3度目の幸運が訪れるかもしれない。

レアル・マドリーはRBライプツィヒ戦で勝つ方法を見つけた。もちろん、いつものことだ。だが、ベスト16を戦っていた時のカルロ・アンチェロッティ監督のチームは、チャンピオンズリーグ制覇の可能性を感じさせなかった。もちろん、今までの彼らはそれでも勝ってきた。最近の歴史を見れば、理屈では考えられないような勝利をしてきたチームであり、ラ・リーガでは優勝できなくとも欧州制覇を成し遂げてきたチームである。

しかしながら、マンチェスター・シティを倒すチャンスを得たいと思うなら、ヴィニシウス・ジュニオールやジュード・ベリンガムから、本当に特別な何かを引き出さなければならないだろう。仮に、マンチェスター・Cが昨シーズンほど美しいプレーをしておらず、ほとんどすべての試合で失点しているにしても、昨シーズンはエティハドでレアル・マドリーを完封。ラ・リーガの首位を走るレアル・マドリーに対して優位性を保つであろう数少ないチームだ。