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行動の時…FIFA会長はファンが人種差別をしたチームの試合を没収すべき

1月20日(土)、コヴェントリー・シティのMFケイシー・パルマーは、対戦相手のシェフィールド・ウェンズデイのサポーターから人種差別を受けた。イングランド生まれでジャマイカ代表のパルマーは、人種差別的なチャントにショックと衝撃を受けたが、強い決意を示しながらも諦めの気持ちもあるという。

「私は黒人であることに誇りを持っている。3人も子どもたちもまったく同じように育てている」と、パルマーはヒルズボロ・スタジアムで行われた試合の後、SNSに投稿した。「だが、正直言ってどんなに頑張っても変わらないのではないかという気持ちもある」

そして彼の言う通りだった。シェフィールドでの恥ずべき光景からわずか数時間後、ACミランのGKマイク・メニャンが、ウディネーゼのファンから同じく嘆かわしい扱いを受けたのだ。人種差別問題は依然として適切に対応されておらず、この問題は今後も続くだろうという事実を痛感する。

  • 真の抑止力にはならず

    確かに人種差別はサッカーだけの問題ではない。世界のあらゆるところにはびこる、根の深い社会問題である。

    とはいえ、サッカー界はその役割を果たしていない。数多くのサインやスローガンを発してはいるが、意味のある活動になっていないのだ。スタジアムを無観客にすることはあるが、部分的だったり短期間すぎたりする。裁定が下っても猶予されることが多く、罰金が科せられてもまったく無意味だ。その結果、人種差別に対する真の抑止力にはなっていない。

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  • Maignan Udinese MilanGetty Images

    「やり返せない」

    メニャンはミランTVでこう語った。「こんなことはサッカー界にあってはならないことだ。それなのに、ずっと同じことが繰り返されている。みんなで行動すべきだ。やり返せないのなら何かしなければならない」

    許されないほど長い間、有色人種の選手たちは信じられないほどに、ただ慣れることが求められてきた。犠牲者にとって一番良いのは、自ら歩みよって話をすることであるという、見当違いの考えが言われてきたのだ。

    だが、アーセナルのレジェンド、イアン・ライトが指摘した通り、「それでもプレーする」のでは何の解決にもならなかった。

  • 「意味のあることをしよう」

    思い起こせば、モイーズ・キーンとロメル・ルカクは無言の反抗を貫かなかったと中傷されたことがある。キーンはかつて、チームメイトのレオナルド・ボヌッチから、カリアリのファンを煽って人種差別的なことをさせていると非難されたことがあるし、ルカクに至っては文字どおり抵抗したとして、2枚目のイエローカードを出されたことがあるのだ。

    「誰か、意味のあることをできる人はいないのか?」と、トリノでルカクがレッドカードを出された後、Common GOALは投稿した。「サッカー界における人種差別への真の罰を求める声はずいぶん昔からあったが、その間、ずっと無視されてきた」

    「サッカー界が人種差別と十分に戦ってこなかったことは明らかだ。今年も世界中でニュースになっている。ヴィニシウス・ジュニオールの件は、サッカー界にまだやらなければならないことがあることを示している」

    「クラブも連盟もファンも、サッカー界全体でサッカーにおける人種差別を真剣に考える必要がある。人種差別を止めようとする負担が、人種差別を受けている人たちだけに課せられるべきではない」

  • Maignan Udinese Milan Serie AGetty

    沈黙するファンは「共犯」

    しばしば、ごく少数の人々の行為によって大勢のサポーターを罰するのはよくないと言われる(ファンによる人種差別行為への対処にみじめにも失敗したクラブの会長やチェアマンがそう言うことが多い)。

    しかし、メニャンはウディネーゼ戦の翌日、これについて反論した。「スタンドにいる観客はすべてを見ている。すべてを聞いている。それなのに沈黙するのは共犯だ」

  • 「問題を解決するのは選手の責任ではない」

    確かに、立ち上がることは決して簡単なことではない。特に通常、無知であると同時に威圧的である人々に対しては。だが、Kick It Outは正しいことを言っている。「問題を解決するのは選手の責任ではない。ないに越したことはないことだが、彼らはすでに極度の苦痛や精神的トラウマのもとでも勇気を示している」

    もちろん本当に責任を果たすべきは当局だが、ファンにも選手に対する人種差別的発言を耳にした場合は声をあげる責任があることは否定できない。サポーターの自主規制を促す最良の方法は、単に試合を中止することではない。犠牲者や犠牲者が所属するチームに直ちに勝利を与えることだ。

  • Gianni Infantino 2023Getty

    今こそインファンティーノ会長が動く時

    心強いことに、ついにFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長がこの結論に到達した。「ウディネーゼとシェフィールドで起こった事件は、まったく嘆かわしいことで、完全に受け入れられない」と会長は言った。「3段階のプロセス(試合の中断、再中断、放棄)に加えて、人種差別をして試合を放棄させたファンがいるチームには、自動的に没収試合を適用し、全世界的にスタジアムへの入場禁止と刑事告発の手続きを取らなければならない」

    しかし、インファンティーノ会長はこれを実行しなければ意味がない。「いい加減にしろ」と、フランス代表でメニャンとチームメイトのキリアン・エンバペは言った。御託を並べる時は過ぎた。今必要なのは行動だ。さもなければ事態は何も変わらない。