Difference-makersGetty

メッシ、ヴィニシウス、プリシッチだけじゃない。コパ・アメリカ2024で違いを生みだせる選手たち

サッカー好きなら、この夏コパ・アメリカで見るべきスターのことは知っているだろう。リオネル・メッシはどんなプレーも最高に決まっている。ヴィニシウス・ジュニオールはバロンドール候補の筆頭だ。クリスチャン・プリシッチ、ダルウィン・ヌニェス、アルフォンソ・デイヴィスの最高レベルのプレーも、毎週末テレビで見てきた。

そうした選手たちは、コパ・アメリカで各国の夢をかなえるべく主力となるだろう。だが、彼らだけが違いを生みだせる選手ではない。縁の下の力持ちの選手もいるし、これからスターになろうという選手もいる。いずれにせよ、各国がコパ・アメリカで成功するか失敗するかの絶対的な鍵を握る、無名の選手たちは大勢いるのだ。

大会のエリートの影に隠れた怪物たちから、強豪ではない国のヒーローになりうる選手まで、コパ・アメリカの各チームで、最も違いを生みだせる選手を見ていこう。

  • Alexis Mac Allister ArgentinaGetty

    アルゼンチン:アレクシス・マクアリスター

    アルゼンチンの攻撃には注目が集まるし、それは当然だ。何しろメッシがいるのだから。いつだってみんなが彼に集中する。

    だが、マクアリスターは静かなスターであり、すべてを難なくまとめる中盤の楔である。エンソ・フェルナンデスという若きスターやロドリゴ・デ・パウルのような生きのいい荒くれ者の隣にいるマクアリスターは、気づかれない時すらある。だが、影のように動きながら、ほとんどいつも糸を引いているのは彼なのだ。

    マクアリスターが動き続ければ――大抵の場合そうなのだが――、アルゼンチンの中盤はほぼ誰とでも互角に戦える。アルゼンチンが優勝候補なのは主にメッシがいるからだが、マクアリスターのチームへの貢献を見逃してはならない。

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  • Viscarra BoliviaGetty

    ボリビア:ギジェルモ・ビスカラ

    ボリビアは自分たちの立ち位置をよくわかっている。これまでの歴史の大半において、ボリビアは南米サッカー界におけるサンドバックであったし、今回のコパ・アメリカでもそれは変わらない可能性が高い。

    今大会、中くらいの実力のチームとでさえ互角に戦えるような才能ある選手はほとんどおらず、GKの奇跡的なセーブでもなければ苦しい戦いとなるだろう。

    ビスカラはそれをやれるかもしれないGKだ。31歳で、代表の19試合に出場してきたビスカラは、ワールドカップ予選でずっと先発だった。簡単なことではないし、ボリビアの場合滅多にないことではあるが、ビスカラが1度か2度観客の目を奪うプレーが出来れば、ひょっとしたら番狂わせが起こるかもしれない。

  • Rodrygo, Espanha x Brasil 2024Getty Images

    ブラジル:ロドリゴ

    ヴィニシウスはスーパースター、エンドリッキは期待の新星。そしてロドリゴは、”無名のスター”である。

    ロドリゴは、常にクラブや代表で目立たない選手だった。10代の天才エンドリッキが成長し続ける今は、さらに目立たなくなった。しかし、ロドリゴはとてつもない選手で、前線のどこででもプレーができる器用さがあり、数多くのゴールを決める才能もある。

    ネイマールのいないブラジルの攻撃はプレッシャーにさらされており、伝説のウイングの代わりをひとりで務めるのは無理だろう。プレッシャーの大半はヴィニシウスにかかり、少しはエンドリッキにもかかる。ロドリゴがさらにうまくなれば、ブラジルの攻撃は止められなくなり、セレソンにとってそれは非常に重要なことだ。

  • Buchanan Canada 2021Getty

    カナダ:タジョン・ブキャナン

    カナダではアルフォンソ・デイヴィスとジョナサン・デイヴィッドばかりが注目されているが、ブキャナンも素晴らしい選手である。

    かつてアメリカのニューイングランド・レボリューションでスターだったブキャナンは、現在インテルに所属している。スクデット獲得チームにあって厳しい時間を過ごしているが、才能があることは間違いない。ボールを持ったブキャナンはおそろしく破壊的で、相手の守備をいとも簡単に突破できる選手だ。

    カナダ代表のジェシー・マーシュ監督がブキャナンを起用したがっているのは間違いなく、敵の注意がデイヴィスに集中するためブキャナンは1対1となることが多くなるだろう。ブキャナンが自陣を走りまわってチームを落ち着かせることができれば、カナダにとってすべてが開ける。そしてカナダにとってすべてが開かれれば、カナダは危険なチームになりえる。

  • Eduardo Vargas ChileGetty Images

    チリ:エドゥアルド・バルガス

    エドゥアルド・バルガスとコパ・アメリカ。これぞサッカー遺産。

    バルガスはチリ代表として2度この大会を優勝しており、いずれも大会の得点王となっている。コパ・アメリカの歴史ではもっと有名な選手もいるが、正直言って、このチリの職人以上に華やかな経歴の持ち主はいない。所属したクラブはイタリア、スペイン、イングランド、ドイツ、メキシコ、ブラジルと世界を股にかけている。

    シェフィールド・ユナイテッドのスター、ベン・ブレアトン・ディアスなどの新世代の台頭を受け、バルガスやアレクシス・サンチェスなどのチリのベテラン陣は徐々に姿を消していっている。バルガスはもう一花咲かせることができるだろうか。

  • Rafael Santos Borre (C) of ColombiaGetty Images

    コロンビア:ラファエル・サントス・ボレ

    ルイス・ディアスがワイドに出て、ハメス・ロドリゲスが後ろに控える布陣でスター選手となったラファエル・サントス・ボレは、コロンビアに必要なゴールを決めることができるだろうか。

    これまでのところ、代表では32試合で5得点しかしていない。そのうちの2点はこの秋のワールドカップ予選で決めたもので、南米サッカー連盟主催の大会では2得点のみである。リーベル・プレートではスターだったし、ヨーロッパリーグで優勝したこともあるが、経験だけでは点は取れない。ゴールを決めることができれば、大会でスターになれるし、コロンビアのためにもなるだろう。

  • Kevin Chamorro Costa RicaGetty

    コスタリカ:ケビン・チャモロ

    ケビンに幸運あれ、彼にはそれが必要だ。

    コスタリカのレジェンド、ケイラー・ナバスに取って代わりたいと思ってはいないだろうが、引退に向かうナバスの後を継ぐであろう彼に求められているのは、まさにそれである。ナバスは、もう何年もコスタリカのサッカー史上最高の選手であり、コスタリカ代表の顔であった。北中米カリブ海サッカー連盟が生んだ最高の選手のひとりと言ってもいいかもしれない。

    ナバスがいても、コスタリカは常に苦しんでいた。2014年のワールドカップで世界に衝撃を与えた黄金世代は昔のこととなり、新しい選手たちはそのレベルにほど遠い。

    24歳のチャモロは代表で5試合プレーしているが、彼の最高の瞬間はこの夏に訪れるだろう。

  • Moises Caicedo Ecuador.Getty

    エクアドル:モイセス・カイセド

    カイセドを選ぶのは安易な感じもするが、このチェルシーのスター選手こそ、エクアドルの最も重要な問題の中心となるものである。カイセドは良い選手なのか、あるいは、スーパースターなのか?

    カイセドがただの良い選手なら、エクアドルはこの夏、大した成績をあげれないだろう(または今後数年間)。だが彼がスーパースターなら、エクアドルは最高の国々を倒して勝ち進むチャンスがあると自信を持てるだろう。

    若い選手にありがちなことだが、カイセドは今シーズン、チェルシーで苦しんでいた。カイセドはまだ、まだ若いが、エクアドルが勝ち進んでいきたいなら、この夏カイセドが大化けすることが必要だろう。

  • Gray Jamaica 2023Getty

    ジャマイカ:デマレイ・グレイ

    ジャマイカはすでに、連盟との対立でコパ・アメリカに出られそうもないレオン・ベイリーというスーパースターを欠いている。それでも才能ある攻撃的選手は他にもいる。

    ミカイル・アントニオは相変わらずジャマイカの注目ポイントだが、ベイリー不在の穴を埋めるプレッシャーが最も大きくかかるのは、ワイドでプレーするグレイである。ジャマイカ代表としての最初の11試合で5得点を挙げたグレイは、この夏、レゲエボーイズを牽引する能力以上のものを持っていそうだ。

  • Gimenez Mexico Gold Cup final 2023Getty

    メキシコ:サンティアゴ・ヒメネス

    ついに彼が国際舞台で輝く時が来たのか。エールディヴィジでは英雄であるヒメネスも、メキシコ代表ではきちんと活躍したことがない。この夏には変わらなければならないだろう。

    メキシコはチームを再構築中で、ヒメネスは再建の鍵となる選手であると思われる。メキシコ代表としてのキャリアは浅くともヒメネスには才能があり、得点は彼にかかっているだろう。ヒメネスは新世代のストライカーであり、この世代は、コパ・アメリカでその到来を告げることができるはずだ。

  • Carasquilla Panama 2023Getty

    パナマ:ココ・カラスキージャ

    パナマは純粋に才能のある選手がいるかどうかに関して言えば後れをとっているが、北中米カリブ海のサッカーを見ている者なら誰しも、このチームを倒すのがどれほど難しいか知っている。カラスキージャのように、試合を変えられる選手がいるのだ。

    ヒューストン・ダイナモのスターであるカラスキージャは、2023年のゴールドカップでゴールデンボール賞を受賞し、2023年にダイナモがUSオープンカップで優勝した際は、絶対的な中心選手だった。25歳のカラスキージャは国の代表としても真のスターに成長しつつあり、中盤の真ん中で、アニバル・ゴドイやアルベルト・キンテロといったベテランに率いられた古豪のチームに貢献している。

  • Julio Enciso Brighton 2022-23Getty

    パラグアイ:フリオ・エンシソ

    このウィングは、今シーズン、ケガのため多くの試合に出場できなかったが、間違いなくエンシソはもうまもなくブレイクする。

    2022-23シーズンの初め、パラグアイのリベルタというチームからブライトンへ移籍したエンシソは、たちまちプレミアリーグに適応した。昨シーズンは4得点を挙げたが、2023-24シーズンはケガにたたられて得点することができなかった。

    そんなケガにも関わらず、20歳のウイングにはポテンシャルがある。コンディションが整い全力を発揮できれば、この大会は彼にとって大きな意味を持つだろう。

  • Paolo Guerrero PeruGetty

    ペルー:パオロ・ゲレーロ

    そう、彼はまだ現役だ。

    40歳のゲレーロは、まだペルーにとって、サッカー界のレジェンドとして力になるだろう。もはや先発は難しく、セリエAのベテラン選手ジャンルカ・ラパドゥーラにレギュラーの座は譲っているが、ペルーにとって欠かせない選手としてベンチ入りし続けている。

    代表117試合で39得点のゲレーロは、ペルーの歴代最多得点者であり、出場試合数も歴代最多に11と迫っている。2011年、2015年、2019年の3度、コパ・アメリカの得点王になっており、その度に大会ベストイレブンにも選ばれた。

    スター選手としての時代は終わったが、彼がチームにもたらすリーダーシップと経験は無視できない。さらに、もし彼が1点か2点決めることになれば、この大会の史上最高選手のひとりとしての地位をさらに高めることだろう。

  • Valverde uruguay(C)Getty Images

    ウルグアイ:フェデリコ・バルベルデ

    バルベルデは、レアル・マドリーという巨大なチームの一員として通常は目立たない。だが、ウルグアイ代表としては、かなり重要な選手である。

    どの基準から見ても世界最高のMFのひとりであり、世界で最も完成度の高い選手のひとりでもある。中央で先発してもワイドに出ても、常にクラブと代表の双方で活躍している。

    この夏はダルウィン・ヌニェスや、おそらくルイス・スアレスに注目が集まるだろうが、バルベルデはそんなことには慣れている。誰が見ていようと見ていまいと、バルベルデは中盤のポジションから試合を操り続けるだろう。

  • Gio Reyna USMNT 2024USA Today

    アメリカ:ジョバンニ・レイナ

    アメリカ代表は良いチームだが、レイナはその良いチームを素晴らしいチームに変えることのできる選手だ。

    グレッグ・バーホルター監督にとって、レイナは特別な選手である。絶好調ならば創造力を発揮できる選手なのだ。問題はこの攻撃的MFが、少なくともクラブでは、かなり長い間、調子を落としていることである。

    レイナが完全復活しなくても、アメリカはやっていけるだろう。だが、コパ・アメリカで世界最強国を倒すには、試合を変えられる選手が必要であり、レイナはまさにそういう選手だ。それでも、良いチームとエリートチームの間にはいくつかの違いがあり、レイナはこの夏、その違いを乗り越えさせてくれるタイプの選手である。そしてそれはワールドカップ2026へと続いていくだろう。

  • Jose Martínez(C)Getty Images

    ベネズエラ:ホセ・マルティネス

    MLSを見ているなら、エル・ブルホ(魔術師)と呼ばれるホセ・マルティネスをよく知っているだろう。フィラデルフィア・ユニオン所属のマルティネスは、他のチームのファンから憎まれているかもしれない。

    マルティネスはユニオンの絶対的脅威として知られており、メッシやゴンサロ・イグアインのようなレジェンドに仲間入りしてもおかしくない。このMFについて言いたいことがあれば言えばいいが、彼はゲームを操り、流れを作れる選手であり、魔術のようなプレーにおいて、危険を冒すことを恐れない選手である。

    そうしたことすべてを超えて、彼は大変な選手であり、ベテランのトマス・リンコンや、元ニューヨーク・シティFC所属で現在はジローナのレギュラーであるヤンヘル・エレーラもいるような、才能ある選手ぞろいのベネズエラの中盤で鍵となる選手である。

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