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Evan Ferguson Chelsea GFX 2023-24Getty

ストライカー受難の場所…エヴァン・ファーガソン、チェルシー移籍ならキャリア成功への危険な賭けに

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チェルシーに背番号9はいない。どういう意味においても。先発メンバーを見ても、現在のチームにはただの1人も「呪われた」ユニフォームを着ようとすらしなかった。「誰も触れたくないんだ」と、ブルーズの元監督トーマス・トゥヘルは言った。

もちろん、驚くべきことではない。一般的にサッカー選手は迷信深いものだ(トゥヘルは自分もそうだと認めている)し、ゴールを量産していたストライカーが、スタンフォード・ブリッジに来てからは次々と得点不足に陥っている現実がある。クリス・サットン、マテヤ・ケジュマン、フェルナンド・トーレス、ラダメル・ファルカオ、アルバロ・モラタ、ゴンサロ・イグアイン、ロメル・ルカク……みな、チェルシーの背番号9の呪いに負けている。

もちろん、今問題になっているのは誰もそのユニフォームを着たがらないということではない。問題なのは、現在のチームに背番号9の役割を果たすべき選手がいないということだ。

  • Victor-Osimhen(C)Getty Images

    絶望的なストライカー探し

    2022年5月にクラブを手に入れて以降、10億ポンド(約1880億円)以上を使ったのにもかかわらず、トッド・ベーリーとその仲間たちは、ただの1人も偉大な価値のあるセンターフォワードを獲得できていない。

    クリストファー・エンクンクとコール・パーマーはどちらも得点力のある多才な攻撃的選手だが、正統派のストライカーということはできない。ニコラス・ジャクソンは生まれもった素晴らしい才能はあるが、試合を決める本能に欠けている。

    そのため、1月の移籍市場が始まったとたん、チェルシーがこれぞ背番号9という選手を求めたことは当然のことだった。賭博規則違反の出場停止処分が明けたばかりのイヴァン・トニーは、以前からブルーズの得点力不足を解消できる選手と言われてきたし、ヴィクター・オシムヘンとの契約はチェルシーの悲願である。

  • 広告
  • Evan Ferguson BrightonGetty

    ファーガソンに1億ポンド?

    ところが13日、ロンドンのイブニング・スタンダードが、エヴァン・ファーガソンもチェルシーが獲得を狙っている選手だと報じた。まったくもって、もっともらしい話だ。チェルシーのオーナーたちの目的は、23歳以下の将来有望な選手全員と長期契約を交わし、持続可能な成功の基礎を築くことである。少なくとも、スタンフォード・ブリッジで繰り広げられてきた狂気の沙汰の裏にはそういう考え方があると思われる。

    ブライトンには、チェルシーとの取引に前向きである可能性も十分にある。ブルーズとそのビジネスにおける眼識については何と言われようと、彼らは信じられないほど気前がよく、常に選手の価値以上の金額をその所属クラブに払う用意があるのだ(ブライトンの場合は、監督についてもそうだった)。

    チャンスを作りだし、それをすべて決めることのできる選手が実際に必要であるだろうという、チェルシーの明確な現実を考えると、チェルシーのオーナーたちがブライトンの選手のために9桁の金額を認めることはあり得る。

  • Evan Ferguson Roberto de Zerbi Brighton 2023-24Getty

    ブライトンを去ってチェルシーに入る理由はあるか

    だが、ファーガソンがチェルシー移籍というアイディアを面白がる可能性は、とりわけ今の段階では低い。確かに、このアイルランド出身選手は自分の才能に自信をもっているし、挑戦することを恐れることもない。わずか14歳で、ダブリンでプロデビューを飾った選手である――そして、その後のステップアップも順調に続いている。

    彼が将来のことを真剣に考えていることも確かだ。2021年1月にボヘミアンFCを去る時、リヴァプールと契約することもできたのにブライトンと2シーズンの契約を交わした。若い選手を育てるのに長けたクラブだという輝かしい評判のためである。さらに重要なことに、トップチームへの昇格が他のチームよりも明確だった。

    つまり、ファーガソンとその関係者は何が彼と彼のキャリアにとって最高であるかをはっきりわかっているのだ。だとしたら、プレミアリーグで好調のクラブから苦しむクラブへ移るというリスクを冒す理由があるだろうか?

  • Cole PalmerGetty

    成功したのは34分の1

    つまるところ、チェルシーへの移籍でファーガソンに何らかの恩恵があると考えるのは、非常に根拠が乏しい。チェルシーは偉大なストライカーの墓場だと言われて久しいし、今やすべてのポジションの選手が危険にさらされている。

    チェルシーは2022年の夏以降、34件の契約を交わし、今のところ無条件に成功だと言えるのは1件だけ(パーマー)と言える。さらに、マウリシオ・ポチェッティーノ監督はサウサンプトンとトッテナムでも監督をした名将であるが、無理もないこととはいえ、2年間ずっと混乱が続いているクラブに秩序をもたらすことに苦闘している。

    ポチェッティーノ監督がシーズン終了まで指揮を執るかどうかも、チェルシーがプレミアリーグ9位という現状では怪しいところだ。

    ケガや組織の不安定さという苦しい言い訳に終始しているポチェッティーノ監督は、スパーズのアンジ・ポステコグルー監督やアストン・ヴィラのウナイ・エメリ監督と比較されている。思い起こせば、ミドルズブラ戦でのチェルシーの先発メンバーは総額4億ポンド(約751億円)の選手たちだったにもかかわらず、疲労困憊のチャンピオンシップ所属のチームに1対0で敗れたのである。

  • Levi Colwill Chelsea vs Middlesbrough 2023-24Getty Images

    リーヴァイ・コルウィルの場合

    昨年の夏、ブライトンからチェルシーに移籍するというモイセス・カイセドの悲惨な決断が、あの恥ずべき敗北によってさらに苦しくなったのは明らかだが、リバーサイドでリーヴァイ・コルウィルが苦しんだ過酷な時間も、ファーガソンやチェルシーがターゲットとする他の若手たちへの警告となるべきである。

    昨シーズン、コルウィルはセンターバックとして、ブライトンでの1年にわたるレンタル期間中に活躍した。素晴らしいロベルト・デ・ゼルビ監督のもとで大いに活躍し、初めてイングランド代表にも選ばれた。ところが、現在のコルウィルは左サイドでもがいており、何度も敵の標的とされ、ユーロ2024の代表には選ばれなくなる可能性が濃厚になっている。

    アンフィールドでは守備的な中盤の穴を埋めることが急務であることを考えると、カイセドは明らかにチェルシーよりもリヴァプールに加入すべきだったし、コルウィルのキャリアはアメックス・スタジアムにとどまったほうがずっと良かったように現時点では見える。ファーガソンも同じである。

    19歳のファーガソンはコルウィルよりも1歳若い。エリート・クラブと思われるチームに急いで加入しなければならないわけではない。とりわけ、混乱の極みにあり、フォワード不足で泣き叫んでいるチームに。同じく10代の時にセンセーショナルなストライカーであったラスムス・ホイルンドが、マンチェスター・ユナイテッドでどれほど苦しんでいるか、見るがいい。マンチェスター・Uは、無駄遣いと不祥事に関して、プレミアリーグで唯一チェルシーに匹敵するクラブである。

  • Evan Ferguson Brighton 2023-24Getty

    プレッシャーではなく忍耐が必要

    ホイルンドは、アタランタで素晴らしく成長した後、昨年の夏、マンチェスターに移籍した後のアーリング・ハーランドへのオールド・トラッフォードの答えとしてキャストされた。数百万ポンドの契約を交わした場合、ファーガソンはチェルシーでの非現実的な期待の重さに押しつぶされるかもしれない。ジャクソンはすでに、絶えずさらされる批判に苛立っているし、2023年1月のダヴィド・ダトロ・フォファナとの契約は、レンタル移籍で見失われていくという重大な危険にある。

    もちろん、ファーガソンはいずれ真にトップのクラブで自分を試すことになるだろう。今シーズン早々にニューカッスル戦でハットトリックを決めたのを見ても、彼がワールドクラスの才能を持っていることは間違いない。「彼はヨーロッパの得点王になれる」と、9月にデ・ゼルビ監督は熱狂していた。

    だが、ファーガソンにはまだやるべきことがたくさんある。現時点で彼に必要なのはプレッシャーではなく忍耐であり、批判の目にさらされることではなく、サポートである。デ・ゼルビ監督はそのことをよくわかっている。だからこそ、すべての試合でファーガソンを先発させるようなことはしていない。

    チェルシーが是が非でもセンターフォワードが必要だという事実から逃れることは絶対にできない。そして、ファーガソンはうってつけの選手だ。だが、背番号9の呪いが純然たる迷信であるにせよ、スタンフォード・ブリッジでの不確実性と不安定性は紛れもない現実だ。

    歴史から何かを学べるとしたら、チェルシーはストライカーにとって安全な場所ではないということだ。