「規制が少し緩和された部分が大きいと思います」と坂元が語るように、この背景には、イングランド政府とイングランドサッカー協会(FA)によるビザ制度の改革が関係している。2020年1月のEU離脱にともない、FAは海外選手の就労ビザ取得に関するポイント制の新制度「GBE(Governing Body Endorsement)」を導入。代表歴や所属リーグの格付け、出場時間などが評価対象となるルールが適用されることとなった。さらに、2023年6月には「ESC(Elite Significant Contribution)」制度を導入。GBEの条件を満たさない若手選手であっても、FAが将来的な価値を判断すれば、特別枠で登録できる制度だ。これにより、国際経験の少ない若手にも移籍の道が開かれた。
――今のチャンピオンシップには坂元選手が加入された2年前よりも日本人選手が増えました。この状況をどう見ていらっしゃいますか。
素晴らしいことだと思います。特に若いうちにチャンピオンシップでプレーできることが本当に成長につながると思いますし、プレミアリーグに行くチャンスもあります。いろんなところから注目されているリーグですし、日本人選手が増えることは、日本のサッカー界にとっても素晴らしいことなんじゃないかなと思いますね。実際、リーグのレベルも高いと感じているので、僕自身、ここで経験できることがプレーヤーとしてすごくプラスになっています。
――坂元選手もその傾向、日本人の評価に影響を与えていると思います。
一つの理由として、規制が少し緩和された部分はあるんです。だから日本人選手が移籍しやすくなった。これが第一だと思います。実際僕も、いろんなクラブのスタッフが日本人選手に興味を持っているという話も聞きますし、スカウトからも聞かれます。リーグ全体で日本人選手に今まで以上に興味を持ってくれていると思います。もし僕がそこに少しでも貢献できていたとするなら、嬉しいですね。
――全世界から多くの選手が来ますが、そこで日本人選手が評価される理由はどこにあると思いますか?
僕だけで言えば、ハードワークできるところで、ここはすごく評価されている部分だと思います。ベルギーで1年半、こちらで2年近くやっていますが、感じるのは、僕はスペシャルな選手じゃないということ。周りには僕よりもはるかに強くて、速くて、アジリティがあってという選手が山ほどいます。
そういう選手を見て何度も自信をなくしかけたこともありましたが、連続したプレーを何度も継続できることで、(フィジカル面の差を)凌駕するというか。現にハードワークが自分の大きな武器になっていて、今ここまでやってこられています。テクニックには自信がありますが、そんなに速くもなく、強くもなく、スペシャルな選手じゃない自分は、そういう部分で補ってきました。一番の理由はそこかなと思います。
他の選手が同じかどうかはわからないのですが、ハードワークは日本人選手の得意な武器の一つでもあるので、そこが評価されているのではないでしょうか。