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「日本代表への思いは強い」。恵まれた練習環境、トップでの経験。ボルシアMGで成長する福田師王に聞く【インタビュー後編】

高校選手権を沸かせたストライカーが選んだ進路は、日本ではなく、ドイツ・ブンデスリーガのクラブであるボルシアMG。2023年のことだった。

ドイツに渡って2年が経ち生活にも慣れた。サッカー面では当初U-19で経験を積み、ほどなくレギオナルリーガ・ヴェスト(ドイツ4部)を戦うセカンドチーム、そしてトップチームへと着実に歩みを進めている。この2年でレギオナルリーガ36試合出場11得点6アシスト、ブンデスリーガは4試合1得点。ベンチやセカンドチームでの出場など、まだ定位置確保には至っていないが、トップでドイツ代表とともに同じ練習を行っており、環境面含めて現地での経験は確実に自身の成長につながっている。

インタビュー後編では、恵まれた練習環境面、同一クラブ内に存在する各カテゴリでの経験、そして自身が目指す日本代表について話を聞いた。【聞き手:林遼平 構成:吉村美千代/GOAL編集部】▶前編:高校からドイツを選択した理由はこちら

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    環境を見て「ここで絶対プレーする」と誓った

    ——ドイツに来て日本とどんな違いを感じましたか?

    グラウンド環境がとてもいいですね。僕は高校から直接来たので、クラブハウスがちゃんとあることもすごいなと思いましたし、施設にはびっくりしました。(スタジアム横の)寮に住んでいる時は、スタジアムを見て「ここで絶対プレーするんだ」と思っていました。

    最初はU-19のチームだったので、プレーレベルはあまり変わらなかったと思います。ただ、難しさもありました。こちらに一人で来てプレーするとなった時に、言葉も通じず、プレースタイルをチームのスタイルに合わせることができなかった。そこはキツかったです。

    ——そんな時、チームからは何を言われていましたか?

    チームからは「ゴールを決めろ」ということだけ言われていました。

    ——欧州では、得点を取るとチームメイトの信頼感が変わると聞きます。

    僕もそうでした。みんな変わっていきましたね。パスも出てくるようになるし、めちゃくちゃ話しかけてくるようになったので嬉しかったです。

    ——U-19からセカンドチームにプレーの場を移しますが、ボルシアMGⅡはドイツ4部を戦っています。レベルは違いましたか?

    違います。フィジカルが一段と上がって、体つきもデカい選手がたくさんいてびっくりしました。リーグ戦を戦っているので、90分出ることが大事だと思っていますし、サポーターもスタジアムに来るので、そういう中で試合に出られることは良い経験になっています。

    ——試合を見るとだいぶ自分勝手な選手が多い印象です。その中で結果を出すためにどう取り組んでいましたか?

    (自分勝手な選手は)多いですね(笑)。結果を出すためにはやはり自分で打開してシュートまで持っていくこと。そして、決め切ること。それを常に考えています。セカンドチームでいろいろなことにトライできたと思います。例えばウイングバックをやったり、ボランチをやったり。「どこでもできるようになっとけ」と言われていました。

    ——レギオナルリーガを戦っての課題は?

    フィジカル、ボールを扱う技術。そのあたりをもっと上げていけたらと思っています。フィジカルは、自分のフィジカルを鍛えるのもそうですけど、頭を使って体を当てるタイミングなどを考えるようにしています。

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    もっと早くトップに上がって試合に出たかった

    ——そして、トップ昇格を果たします。現在の環境をどう感じていますか?

    サッカーのレベルが高い。練習から本当に質が高くて、成長できていると思います。試合会場もトレーニングするところも良くて。U-19チームの時に寮からトップチームの練習を見ていて「すごい」と思っていたのが、実際に今はそこでプレーしているわけで、不思議な感覚だなと思います。

    ——1年経ったタイミングで昇格し、2年目のシーズンにブンデスリーガでゴールを奪うところまで来ました。ここまでの歩みを自分の中でどう捉えていますか?

    遅いと感じています。もっと早くトップチームに上がって試合に出たかった。U-19の時から1年でトップに上がって、その1年後にゴールを決めましたが、ゴールを決めるまでに2年かかってしまったという思いが強いです。まだまだやれたなと感じています。

    ——今季のシーズン序盤はなかなか試合に出られませんでした。日々、どんなことを考えていましたか?

    チャンスを絶対に掴むと。落ち込むことはそんなになかったですし、それこそ滉くんに「お前はチャンスが来るからずっとやり続けろ」と言われていました。それが励みにもなっていましたし、身近にいい見本となる選手がいるので、滉くんと一緒にプレーできるように頑張るというのが今の目標です。

    ——試合に出られなくて苦しむことはなかったんですか?

    自分は考えないタイプなんです。サッカーをする時はサッカーですけど、それが終わったらラフな感じでサッカーのことは一切考えないので。他の試合もハイライトは見ますが、90分見るとかはそんなにないです。チャンピオンズリーグは(最後まで)見たりすることもありますが…って感じです。

    実際、今季は去年よりはやれていると思います。1ゴールを決められたことは、まずは嬉しいですし、(得点したヴォルフスブルク戦は)ゴールを決める気しかなかったです。

    ——いろいろなことができますが、一番の強みはなんだと思いますか?

    シュートです。それと背後に抜ける動き出しは得意だと思います。(初ゴールも)自分自身の良さが出ました。パスが来てGKと1対1になって「決められるな」と思ったら決められた。(股の下は)狙い通りです。「パス来い」と思っていたらパスがきて、「デカっ」と思って。「ありがとうございます」みたいな感じでした。(あのゴールは)自信になっています。

    ——ただ、あの後なかなか出場機会を得られていません。

    チャンスが来るまでもう一回頑張ろうと思っています。結局、ゴールを決めるまでにデビューしてから1年かかりました。出た試合で決めるために日頃の練習からチャンスを逃さないように頑張っています。

    ——自分の中で成長したところと課題を教えてください。

    いろいろなバリエーションでシュートを打てるようになりました。チップキックやボレーシュート、そのバリエーションは増えたと思います。フィジカルも強くなっていると思います。でも、課題はやはりフィジカルになりますね。フィジカルだったり、身長が欲しいなと思ったり。(チームメイトが)みんなデカいじゃないですか。このチームだと小さいほうになるのでズルいなと思っています。

    ——チームメイトのティム・クラインディーンストがドイツ代表です。ああいうストライカーと一緒にトレーニングできる意味はどう感じていますか?

    幸せです。練習から一緒にできるので、いいところをたくさん盗んで、超えられるように頑張らないといけない。(二人で個別トレーニングもやっているが)上手いですよね。デカいし、デカいだけでなく足元もある。そしてシュートも上手い。すごいと感じます。

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    W杯はサッカー選手なら誰もが目指す場所

    ————今後は代表も目標の一つだと思います。日本代表への思いを聞かせてください。

    そこに対する思いは強いです。W杯はサッカーをしている人なら誰しもが目指す場所だと思っています。絶対に出て、日本のために戦いたいなと思います。

    ——近いところで言えば、来年に北中米W杯があります。

    もちろん、そこも目指しています。そこにいくには自チームで試合に出て、点を決めて活躍することが一番なので、本当に自チームで頑張りたいです。

    ——これまでも世代別代表に入っていましたが、日本を背負うというのは他とは違いがありますか?

    違いますね。本当に母国のために戦うことは、自分の中では素晴らしいことだと思っています。それができるように日々頑張っていきたいです。

    ——今後の目標を教えてください。

    もちろん、W杯に出て、行くだけでなく点を決めてチームを勝たせたいです。クラブならチャンピオンズリーグですね。(チェイス・)アンリも出ているので負けられないですし、チャンピオンズリーグに出て点を決めてチームを勝たせたいです。

    ▶前編:高校からドイツを選択した理由はこちら

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    【前編】神村学園からドイツへ

    【後編】ドイツでの毎日と目標