今年もまた欧州サッカー界の厳しい戦いが終わろうとしている。チームを成功に導いてきた監督たちはようやく一息ついて、その仕事ぶりが称賛されようとしているが、もちろん優勝杯の獲得にはまだ数週間を要し、必死で戦っている監督たちもいる。
ヨーロッパ中に多くの物語が生まれ、クラブの伝説や歴史に名を刻んだ監督たちがいる。では、2022-23シーズンに、特別な賛辞を与えるにふさわしい、素晴らしい監督とは誰なのか。
ヨーロッパで最高の仕事を成し遂げた21人の監督をランキングしてみよう。
GOAL今年もまた欧州サッカー界の厳しい戦いが終わろうとしている。チームを成功に導いてきた監督たちはようやく一息ついて、その仕事ぶりが称賛されようとしているが、もちろん優勝杯の獲得にはまだ数週間を要し、必死で戦っている監督たちもいる。
ヨーロッパ中に多くの物語が生まれ、クラブの伝説や歴史に名を刻んだ監督たちがいる。では、2022-23シーズンに、特別な賛辞を与えるにふさわしい、素晴らしい監督とは誰なのか。
ヨーロッパで最高の仕事を成し遂げた21人の監督をランキングしてみよう。
Getty Images今シーズンはマルコ・ローゼとRBライプツィヒにとって、決して簡単なシーズンではなかったが、ローゼは安定した舵取りでレッドブルズを最終的にリーグ3位に導いた。去年9月、ブンデスリーガの11位にいた生まれ故郷のクラブの指揮を任されて以来、DFBポカール優勝に導き、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントにたどり着いたのである。
Getty Imagesラファエレ・パッラディーノは去年9月にユースの監督から昇格したばかりだが、セリエAに今シーズン初昇格したモンツァでひときわ輝いている。まだ39歳ながら、チームをセリエAの順位表の中位まで引き上げ、その間、ユヴェントスやインテル、優勝したナポリからも勝利をあげた。引き分けを含む長い連勝を2度成し遂げ、チームに巨大な推進力を与えた。
その成功はオーナーのシルヴィオ・ベルルスコーニが財政面を後押しし、推進させたものである。
Gettyボーンマスは今シーズン当初、ほとんどすべての専門家やファンから、プレミアリーグの降格候補とされており、クラブがたった4試合で監督のスコット・パーカーを解任し、未経験のガリー・オニールを暫定監督にした際には、眉をひそめる人も多かった。オニールはチームを躍進させ、正式な監督に就任したが、チェリーズは順位表のランクを下げ始め、残り10試合で降格の危機にさらされた。だが、シーズン後半は復活し、ボーンマスは十分な余裕をもって降格圏内を脱出した。
Getty Images今シーズンはすでにオサスナにとって記憶に残るシーズンとなっており、主にアカデミー出身選手で構成されたチームでコパ・デル・レイの決勝に進出した。優勝すればUEFAヨーロッパリーグにも出場できたのだった。
2019年にラ・リーガへ再昇格したチームを毎シーズン順位表の中位に導いてきたのだ。
Getty Imagesフライブルクは2016年に昇格して以来、確実に進歩してきており、チャンピオンズリーグの予選では敗退したものの、2シーズン連続でヨーロッパリーグに出場しており、大きな自信となっている。DFBポカールでも準決勝に進出した。
クリスティアン・シュトライヒは長く監督を務めてチームを掌握してきたが、2023-24シーズンも指揮を執りたいと願っているはずだ。
Getty Images3月、ホルヘ・サンパオリから地味なホセ・ルイス・メンディリバルに監督が代わったとき、セビージャは本当に危ないと思われていたが、わずか2カ月で、目覚ましい反転攻勢を見せた。「赤と白」ことセビージャは降格圏を脱し、順位表の中位に導いた。
ヨーロッパリーグではマンチェスター・ユナイテッドやユヴェントスを破り、決勝ではハーフタイム明けに選手を交代。リードされていた試合を追いつき、PK戦でローマを下して戴冠を果たした。
Getty Imagesイマノル・アルグアシルに率いられたレアル・ソシエダは、来シーズン、なんと10年ぶりにようやくチャンピオンズリーグへ復帰を果たす。レアル・ソシエダは今シーズンずっと好調で、得点源だったアレクサンデル・イサクがニューカッスルへ移籍し、キャプテンのミケル・オヤルサバルをケガで欠いても、ラ・リーガのビッグネームを連破して4位以内をキープしつづけた。
ヨーロッパのサッカー界でトップに復帰するという、子どもの頃からレアル・ソシエダのファンだったアルグアシルの夢が、かないつつあるのだ。
Getty Imagesインテルの監督としてのシモーネ・インザーギの今シーズンをどう判断したらよいだろうか。大金をかけて選手を集めた「黒と青」のチームは、セリエAではよいパフォーマンスが出来ず、ユヴェントスの勝ち点剥奪のおかげでトップ4でのシーズン終了を確定させただけである。
その一方、インザーギはイタリアのスーパーカップ制覇とコッパ・イタリア優勝にチームを導き、6月にはチャンピオンズリーグの決勝で優勝候補のマンチェスター・シティと対戦する。評価に値する監督であることは間違いない。
Gettyどんなに想像をたくましくしても、マンチェスター・ユナイテッドもしくはエリック・テン・ハーグにとって、今シーズンは単純なシーズンではなかったが、ピッチ内外の逆境をはねのけ、ラルフ・ラングニック前監督の呪われたチームの混乱を鎮めてチャンピオンズリーグ復帰を果たした。その間、カラバオ・カップも優勝した。
このオランダ人監督は、シーズン当初の恐るべき状態を矯正し、クリスティアーノ・ロナウドやジェイドン・サンチョをめぐるピッチ外での問題を統率して、大いなる信頼を勝ち取った。FAカップ決勝でライバルに敗れたとしても、評価は揺らがない。
Gettyクレルモンは2021年に初めてリーグ・アンに昇格したばかりのチームで、デビューシーズンは17位に終わったが、2022-23シーズンでは、それまでフランスのトップチームを率いたことのなかった59歳のパスカル・ガスティアンが、最終節ではPSGを下して8位にチームを導いている。
(C)Getty Imagesニューカッスルはサッカー史上最も金持ちのオーナーの支援を受けていたかもしれないが、20年以上ぶりにチームをチャンピオンズリーグに復帰させたのがエディー・ハウの手柄であることは間違いない。
昨年夏の移籍関係の動きは浪費どころか賢いものもあり、今シーズンはロケットスタートを果たして、カラバオ・カップの決勝前後のシーズン半ばの不調を乗り越えたカササギは、トップ4に戻ってきた。
Getty Imagesアストン・ヴィラがヨーロッパの大会に出場する。ウナイ・エメリがヴィラ・パークで監督してチームの運命を好転させると予想した人はほとんどいなかっただろう。だが、エメリはまたしても、自分がある程度の規模のクラブにとって素晴らしい監督であることを証明した。
このスペイン人監督の就任で、プレミアリーグの降格圏ぎりぎりにいたチームはヨーロッパの大会に出られるほどの順位まで躍進し、アストン・ヴィラはヨーロッパ・カンファレンスリーグ出場を確定している。UEFA主催の大会での実績を考えれば、来シーズンのエメリがどれほどの成果をあげるのか、誰にも予測できない。
Getty ImagesラツィオがセリエAのトップ4でシーズンを終えることは特筆すべきことではないかもしれない。だが、マウリツィオ・サッリはチームをチャンピオンズリーグへ復帰させるという奇跡を起こした。イタリアの首都で小規模チームを率いながら、依然として自身のトレードマークである攻撃的なポゼッション・サッカーを推し進めている。
実際、サッリは自分の偉業を理解していて、最近こんなことを語っている。「自分に成績をつけるのは好きではない。学校に通っていた21年間、成績評価は嫌いだった。ヨーロッパの大会ではよい成績をあげられなかったが、リーグでは素晴らしかったし、予想以上の成果をあげた。ラツィオが7位より上位で終わるとは誰も思わなかっただろう」
Getty自身のアーセナルでの計画はまだ始まったばかりだが、2022-23シーズンは、クラブを再びひとつにするためのピッチ内外でのミケル・アルテタの奮闘が、ほとんど頂点に達したシーズンであった。
シーズン後半の騒動でマンチェスター・シティに惨敗したにもかかわらず、ガナーズはシーズンの大部分でプレミアリーグの順位表のトップに位置し、アルテタはエキサイティングな攻撃サッカーをする若いチームを新しい連帯感で鍛えあげ、勝利のメンタルを植えつけた。
最終的には優勝できなかったが、アルテタのアーセナルは、多くの人がアーセナルはこうあるべきだと期待する場所を進んでおり、ファンの声援を背に、黄金時代を取り戻しつつある。
(C)Getty Imagesブライトンが強豪ひしめくプレミアリーグでヨーロッパリーグ出場を勝ち取った。南海岸の現在までのロベルト・デ・ゼルビのチームは、『フットボール・マネージャー』のゲームさながらのチームだ。このイタリアの戦術家は若いチームを、プレミアリーグの経験とシーガルズのスカウト部門が推薦した賢い契約をもとに育てあげ、前代未聞のチームを作りあげた。
2022-23シーズンの勝利の方程式は、卓越したサッカーを展開し、ゴージャスなゴールを決めて、チーム史上最高位でリーグ終了を迎え、初めてヨーロッパリーグに参戦するブライトンである。まさに夢の国だ。
Getty Images2022-23シーズンの欧州各国のリーグ戦で、最も注目すべきチームのひとつがウニオン・ベルリンである。スイス人監督のウルス・フィッシャーの指導のもと、ブンデスリーガのトップ4を確定し、来シーズンのチャンピオンズリーグ参戦を決めたのだ。
2019年に初めてドイツのトップリーグに昇格したばかりのクラブで、謎多き控えめな監督は比較的無名な選手たちばかりのチームを、カウンターアタックを主体とする激しいサッカーで飛躍させた。過去2シーズンでカンファレンスリーグとヨーロッパリーグの出場に導くと、チーム史上初めて欧州最高峰の大会に到達させた。
Getty Imagesどんなに想像をたくましくしても、今シーズンはバルセロナにとって栄光のシーズンではないが、だからと言ってトップレベルの監督は未経験だったチャビの偉業を見下すべきではない。
チャビと比較的若い選手たちは、4年間遠ざかっていたラ・リーガのタイトル獲得やスーペルコパ・デ・エスパーニャの制覇に必要なことをやり遂げたのである。
Getty現代に入ってからフェイエノールトがエールディヴィジのタイトルを獲得することはごくまれであり、2022-23シーズンのアルネ・スロットの偉業の重要性は強調されるべきである。「トータル・フットボール」というオランダの哲学を受け継ぐスロットは、敵が誰であろうと、前がかりな攻撃的サッカーを果敢に実行する。
この方法は、今シーズン大いに成功し、選手たちはスロットの指示を正確に実行して、常に警戒すべきPSVやアヤックスを倒してタイトルを獲得し、3位に終わったアヤックスとの勝ち点差は13であった。
どうしても新しい監督が欲しいトッテナムから声がかかったが、スロットは新しい契約を交わして残留することになった。
Gettyマンチェスター・シティでチームと財源を自由にすることができ、もちろん世界的に知られた監督としての能力をもって、ペップ・グアルディオラは、毎シーズン、少なくともひとつはタイトルを取ることが常に期待されるべき存在である。だが、2022-23シーズンの終わりが近づくにつれ、彼は偉大な存在としての最先端に立っている。
マンチェスター・Cはアーセナルとの接戦を制して、すでにプレミアリーグ優勝を決めており、いつもどおりの無情さと堂々たる態度をもってリーグ戦を締めくくった。現在は歴史的な三冠を達成するために1試合を残すのみである。
すでに何年も前から、グアルディオラの偉大さについては十分に話されてきたが、三冠を達成すれば、クラブの歴代監督の中で最も偉大な監督となることは間違いない。
Getty Imagesリーグ・アンの優勝争いをパリ・サンジェルマンと接戦で繰り広げるのがRCランスだと予見できた人がいるだろうか。まさにそれが、「血と黄金」を愛称にもつランスの衝撃的なシーズンで起こったことなのである。初めてトップチームの監督をフルタイムで務めたフランク・エーズは、2年連続で7位だったチームを躍進させ、今やタイトルをうかがうまでにしたのだ。
最終的にはPSGにわずか1ポイント差で及ばなかったが、20年ぶりにチャンピオンズリーグに復帰することになった。エーズは、比較的無名な選手たちを3-4-3のフォーメーションで一丸となってプレーさせ、最高の成果を引き出した。
Getty狡猾な戦術家であるルチアーノ・スパレッティに率いられたナポリは、ファンタスティックでセンセーショナルで美しいシーズンを送った。ヴィクター・オシムヘンを一番槍に、2022-23シーズンのヨーロッパでブレイクしたスター、フヴィチャ・クヴァラツヘリアを擁して、33年間待ち焦がれた輝かしい国内リーグのスクデット獲得を成し遂げたのである。結果的には楽勝で、リーグトップをひた走り、これまでのライバルたちとは異なる、前代未聞のセリエA優勝を果たしたのだった。
合計すると、スパレッティはセリエAの頂点に立つのに553試合を要している。それまで一度も優勝していない監督が初めてスクデットを獲得するまでにかかった道のりとしては最長で、64歳という年齢も歴代最高齢である。
スパレッティは契約にある有給休暇のオプションを実行することを決めた。彼がそれに値しないと言える人はいないだろう。