6日の朝、アルネ・スロット監督のもとに初めてリヴァプールの全選手が揃った。注目すべきは、AXAトレーニングセンターに集まった中で、新加入は監督自身だけであること。レッズはプレミアリーグで唯一、この夏の移籍市場でまだ誰とも契約していないチームである。
リヴァプールの新シーズンはおよそ2週間後のイプスウィッチ戦から始まるが、すでにアンフィールド周辺の緊張が高まりつつあるのは当然のことだ。オランダ出身指揮官の就任1年目での成功という希望が、フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)の「倹約的な方針のせいで潰されるのではないか」という不安は消えない。
だが、不安が怒りに変わるようなことはまだ起こっていない。ひとつには、昨季限りで去っていったユルゲン・クロップの置き土産があるからだ。リヴァプールは昨年夏の中盤の総入れ替えが成功、チャンピオンズリーグへの復帰だけでなく、同時に“キッズ”たちがカラバオ・カップ優勝を達成した。
さらに、クラブのスポーツ部門での大改造のひとつとして新しくSD(スポーツダイレクター)に就任したリチャード・ヒューズが、マージーサイドに来て早々、比較的静かな夏が締め切り日直前に「最高潮」を迎えると語ったのだ。つまり、リヴァプールはこれから月末までに最低でも数回のビッグディールを予定している可能性がある。
しかし、補強のない状況でサポーターが比較的冷静でいられるのは、新監督の下で臨んだプレシーズンがほぼ完璧に近かったことが大きい。不安を抱く人々を信者に変えるという、前任の名監督を見習おうとするスロット監督の試みは、これ以上は望めないほど良いスタートを切ったのだ。