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アフリカ王者も欧州王者も撃破。初めてのワールドカップで日本の17歳が得ている“学び”とは?

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グループステージを2勝1分、B組首位通過を決めたU-17日本代表。第1戦でアフリカ王者・モロッコを破ったものの、第2戦ではオセアニア代表のニューカレドニアに無得点。国際大会、しかもW杯という場の難しさに直面した。そして臨んだ欧州王者・ポルトガル代表との一戦ーー試合ごとに選手たちが直面する驚きや課題は、確実に彼らを成長させている。

取材・文=川端暁彦/写真=佐藤博之

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    W杯を戦う喜びを全身で表していたニューカレドニア

    「本当にこういうゲームを経験するために、ここへ来ている」

     U-17日本代表を率いる廣山望監督は取材ゾーンに現れての開口一番、こんな言葉でタフな試合を振り返った。

     11月3日にカタール・ドーハの地で開幕を迎えたU-17ワールドカップ。2008年以降に生まれた選手たちで構成されるU-17日本代表は、ここまで1勝1分の戦績だった。

     初戦でアフリカ王者のU-17モロッコ代表を2-0と粉砕したものの、第2戦ではオセアニア代表のU-17ニューカレドニア代表を攻め切れずに0-0のドロー。歓喜と失望を重ねた上で、ヨーロッパ王者のU-17ポルトガル代表との第3戦に臨んでいた。

     この試合を前に日本のグループステージ突破は確定こそしていないものの、グループ3位以下になるのはニューカレドニアが大勝した上で日本が大敗するようなレアケースのみだったため、指揮官はこの試合を「1位抜けを懸けた戦い」と位置付けていた。

     また、中2日の3連戦となるグループステージだが、このあとのノックアウトステージ初戦に向けては中4日〜5日のインターバルがあるというスケジュールとなっている。このため、第3戦での温存策が絶対ではなく、日本もポルトガルも第1戦から第2戦にかけてメンバーを入れ替えるターンオーバー策を敢行。第3戦が控え組同士の対戦になるというようなことは起きなかった。

     ただ、2試合ともに大勝(6-1、6-0)しているポルトガル側に余裕があったのも間違いないところで、日本側がより挑戦者としてのマインドを持ってこの試合に入ったのも確かだった。

     また日本にとってはニューカレドニア代表相手に無得点に終わった第2戦の影響も大きかった。廣山監督はこう語る。

    「『(ポルトガル戦について)こういう試合をするために来た』と言ったけれど、第2戦も違う意味で『こういう試合をするために来た』ゲームだった。ニューカレドニアのGKが顔を傷だらけにしながら守り抜いていて、ワールドカップを戦う喜びも全身で表して戦っていたのに対し、われわれはどうだったか。そういう話を選手たちにはしました」

     選手が相手を侮っていたというわけではないのだが、立ち上がりから泥臭くても勝ちに行っていたかというと、そうでなかったのは否めない。FW浅田大翔(横浜F・マリノス)は、とにかく全力で向かっていったニューカレドニアからポジティブな刺激をもらったことを明かし、あらためて世界大会へチャレンジしていくマインドを共有していたと言う。

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  • 得た“学び”を、実戦に活かしていく

     メンタル面の準備とともにポルトガル対策も限られた時間の中で落とし込んだ。前日のトレーニングでは相手の戦術・配置を想定しての守備を確認。またDF個別でも、対面の相手の映像を実際にピッチ上で確認しながら、プレーのクセを頭に入れての対応も練り込んだ。

     ポルトガルとは今年9月のフランス遠征で対戦していたという経験値もあり、DF藤田明日翔(川崎フロンターレU-18)は「(相手FWの)特徴はわかっていた」と言う。

     さらに得点力不足に泣いた攻撃面では、あらためてベーシックなシュート意識について再確認。廣山監督は「コーチ陣に『シュートをもっと振らないと』という話をしてもらった。ブラジルとかアルゼンチンはポジションに関わらず、エリアに入ってきたら打って決めている。その映像を観て、選手もやっぱり何かしら言葉よりも感じるものがあったと思う」と振り返る。

     実際、1-0で迎えた前半終了間際に見事な左足のシュートで2点目を決めたMF瀬口大翔(ヴィッセル神戸U-18)は、今までだったら足を「振らない」場面だったとして、感覚の変化がゴールへ繋がったことを明かす。自分たちの試合の中身を踏まえた指導者からの助言についても、他の国の試合からも素直に“学び”を得て、すぐに実践していく。この辺りは、今回のU-17代表チームが持つ明確な美点と言えるだろう。

  • ポルトガルの攻勢をガッツで跳ね返す

     若い選手たちが世界大会という舞台で得る“学び”は2-0で折り返した後半にも待っていた。

     1年生ながら主力選手として活躍してきたMF長南開史(柏レイソルU-18)がレッドカードで退場となってしまったからだ。

     いったんはイエローカードが提示されたものの、VARの簡易版と言うべきFVS(リクエストによる映像判定システム)で主審が再判定しての退場処分という形で、いきなり1人少なくなるというシチュエーションは選手にとってもちろん未体験のものだった。

     加えて後半からポルトガルが日本のビルドアップに合わせて守備を変えてくるといった策がハマって勢いも増している流れだったこともあり、完全に試合の天秤はポルトガルに傾き出すこととなった。

     [3−4−3]でスタートしていた日本は、1人退場を受けて選手交代から[4−4−1]にシフトチェンジしたが、ポルトガルは1人多い優位性を活用しながらの攻勢で日本を追い詰めてきていた。このため、さらなる交代から日本は[5−3−1]へ布陣をチェンジするというめまぐるしい対応となった。

     DF元砂晏翔仁ウデンバ(鹿島アントラーズユース)が「あれで役割がハッキリした」と振り返ったように、逃げ切り策でチームの意思統一も果たし、試合はポルトガルの攻勢をガッツで跳ね返し続けるという流れに。GK村松秀司が「みんな本当に素晴らしかった」と手放しで褒めたとおり、それぞれが体を張って走っての戦いを貫徹し、2-1での逃げ切り勝ちとなった。

     また単に頑張りを見せたというだけでなく、戦術的にも柔軟な対応を見せられたのは大きかった。廣山監督も「(システムを変えるなどの)変化のところもスムーズに理解してやってくれた。日本全体の個人戦術のレベルが上がっているのを感じた」と振り返る。特に[5−3−1]の“3”に入った選手たちはシンプルに活動量の多さが要求される中で、出ていくところとポジションを埋めるところの判断と決断を最後までやり切り、戦術遂行能力の高さを見せてくれていた。

  • 「こういう試合をするために来た」成果

     これで日本はグループステージの1位通過を達成。まずは第一関門を突破することとなった。

     第2戦では勝点を落とし、第3戦は理想的な試合展開での勝利ではなかったわけだが、結果的に得られる“学び”はより大きなものとなった。

     目の前の試合に勝つのはもちろん大事だが、17歳以下の選手たちにとっては、試合の中で成長していくことも重要なポイントで、その点でまさに「こういう試合をするために来た」成果を感じる大会になっている。

     退場した長南についても、廣山監督は「プロ選手だし、逆に学びになってほしい。それをチームの選手が救ってくれたというところで、それをどう受け取って自分のパワーにどう変えていくか。逆に僕は期待しています」と言う。期待の16歳にとってはここからが大事な時間となる。

     また、「全員が1人足りないところを『俺がなんとかしてみせる』と思って仕事をしてほしい」と、長南が出場停止で不在となっていく中で、ほかの選手の奮起も期待した。

     次戦からはノックアウトステージの戦いが始まる。世界大会という場の重みも醍醐味も体感し、確かな“学び”を得たグループステージでの戦いは確実にチームの財産となっている。その成果を発揮し、まずは “トーナメント初戦”を突き抜けたい。

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