NXGNの10年間を振り返る…ファティやレイニエルら期待に応えられなかった元”ワンダーキッズ”たち

NXGNのピーク順位： 2016年の7位

クロアチアサッカーは2010年代後半に真のピークを迎え、シニアプロを補完する次世代の逸材を国内から発掘しようという機運が高まりました。 きらめくような足さばきとボサボサの髪が印象的なアンテ・コリッチは、2016年のEUROで肩を並べたルカ・モドリッチの完璧な後継者であるように見えた。

しかし、計画通りに事は運ばなかった。 少年時代にレッドブル・ザルツブルクに引き抜かれ、プロ入り後にディナモ・ザグレブに戻ったものの、コリッチは最高レベルで成功を収めることはできなかった。 2018年の600万ユーロでのローマ移籍は、彼にとって大きな転機となるはずだったが、結局は、彼のプレーがトップでは通用しないことを露呈するだけに終わった。

コリッチはデビューした2018-19シーズンにイタリアの首都で出場したのはわずか3試合で、その後はアルメリア、VVVフェンロ、オリンピア・リュブリャナ、FCチューリッヒへのレンタル移籍でほとんどプレーできなかった。2022年にローマを退団し、1年間フリーエージェントとして過ごした後、クロアチアのルデスと契約した。しかし、2025年の初めに契約が終了する前に、国内のライバルであるヴァラジュディンに1年で売却された。コリッチは現在も無所属の状態が続いている。

NXGNのピーク順位： 2017年の16位

レアル・マドリーは長年にわたり、南米サッカー界を席巻し、多くのトップタレントを発掘してきた。 だからこそ、2016年にパラグアイのセロ・ポルテーニョからスペインの首都へと移籍したセルヒオ・ディアスの肩には大きな期待が寄せられていた。 10代の頃に国内リーグで活躍した彼は、ヨーロッパでも同じ活躍をすると期待されていた。

しかし、レアル・マドリーのトップチームでは出場機会を得られず、5年間はリザーブチームのカスティージャに所属し、そのうち1シーズンだけマドリーでプレー。2016-17シーズンは36試合でわずか5ゴールを挙げ、翌シーズンはセグンダ（2部）のルーゴでほとんど出場機会がなかった。ブラジルの強豪、コリンチャンスへの2年間のレンタル移籍では、4試合の出場にとどまり、その後、ディアスはセロ・ポルテーニョに戻り、25試合で5得点を記録した。

2020年にはメキシコのクラブ・アメリカに移籍したが、ここでも彼の評価を回復させることはできなかった。マドリーは翌年の夏にディアスを放出。その後、フリー移籍で3度目のセロ・ポルテーニョへの加入を果たしたが、そこでの在籍期間は12か月間にとどまり、ギリシャ・スーパーリーグのパネトリーコスに移籍した。

NXGNのピーク順位： 2021年の1位

若さという点では厳しい選考？ そうかもしれない。しかし、正しかろうが間違っていようが、アンス・ファティが今頃はもっとキャリアを積んでいると世界が期待していたことは否定できない。バルセロナの舞台に登場した際には、史上最年少のラ・リーガでのバルサ得点者、同リーグの試合で得点とアシストを記録した最年少選手、ラ・リーガで2得点を決めた最年少選手、チャンピオンズリーグで得点を決めた最年少選手など、記録を次々と塗り替えた。 失敗はあり得ないと思われた。 これは将来有望な真の才能だった。

ファティがその将来性を証明するにはまだ時間がある。特に、彼が23歳になるのは秋以降だからだ。しかし、NXGNのリストでトップに輝いた選手としては、サッカー選手として成長過程にある今、大きな不安定要素を抱えている。ほとんどの場合、ケガによって彼の成長は妨げられ、すでに電光石火のスピードと、頭の中で切り替えるだけで両サイドに移動できる能力は弱まっていた。 また、ワンダーキッドの集まるブライトンにレンタル移籍したが、イングランド南海岸でも忘れられた存在となった。 一方、ラミン・ヤマルの台頭は、ファティにとって有利には働いていない。

ファティはバルセロナに残っているが、ハンジ・フリック監督のチームでは脇役で、試合メンバーから外れることもしばしばだ。 完全移籍を1回すれば再び自分の居場所を見つけられるかもしれないし、1回間違った移籍をすれば、スポットライトから永遠に悪評へと転落するかもしれない。

NXGNのピーク順位： 2017年の10位

ルイス・ファン・ハールが指揮を執ったマンチェスター・ユナイテッドは、サー・アレックス・ファーガソン退任後の時代において、初めて主要なトロフィーを獲得した。しかし、彼がもたらした大きな影響は、ユナイテッドのユース育成という長年の哲学を推進し続けたことである。マーカス・ラッシュフォードとアンソニー・マルシャルは、オランダ人監督の信頼を最も受けた選手であり、ティモシー・フォス＝メンサーも、しばらくの間はユナイテッドの要となる存在になると思われた。

守備でも中盤でもプレーできる万能で賢い選手であるフォス＝メンサーは、少なくともチームのメンバーとして、あるいはベンチ要員として重要な存在になる可能性を秘めていた。 彼の多様な守備スキルセットは、トップレベルのチームでユーティリティープレーヤーとして活躍できることを意味していたはずだ。

2025年に早送りすると、27歳になったフォス＝メンサーは所属クラブがない状態だ。レヴァークーゼンが最後の所属クラブとなり、2023-24シーズンには1分も出場せず、試合当日のメンバーに選ばれたのは数えるほどだった。最後の公式戦出場は2023年4月23日で、RBライプツィヒ戦で11分間プレーし、2-0で勝利した。

フォス＝メンサーは、2019年と2021年に2度負ったACLの負傷から完全に回復することができず、プロとしての将来に疑問が残っている。10代の頃に示した潜在能力を考えると、非常に残念である。

NXGNのピーク順位： 2020年の8位

2010年代後半、PSVの生産ラインからモハメド・イハッタレンが送り出された。 足元のテクニックに優れる攻撃的ミッドフィルダーである彼の疑いようのない能力は、彼の献身や姿勢と必ずしも一致しているわけではないようだ。

彼がプレーしたクラブでは、少なくともある程度は、どこでも疎外されていた。イハッタレンは、2021年にPSVからユヴェントスに売却された。これは、ロジャー・シュミット監督と対立したことと、その夏にニースのトレーニンググラウンドに現れた姿が写真に撮られたことが原因だった。ユヴェントスに加入後すぐにサンプドリアにレンタル移籍となったが、そこで初めて新天地での生活への適応に問題が生じ、彼をサポートする専属アシスタントの助けを借りてもなお、その問題は解決しなかった。このレンタル移籍は2022年1月に一度も出場することなく終了し、代わりに同様の条件でアヤックスに移籍したが、オランダの強豪チームは彼を買い取るオプションを行使しないことを決めたほどだった。

ユヴェントスとイハッタレンは2023年7月に彼の契約を相互に解除したが、そこから彼の狂乱の夏が始まった。数週間後、イハッタレンはトルコ・スーパーリーグの新参者であるサムスンスポルのスター選手として発表され、大きな話題となったが、彼の代理人がより有利な条件を提示しようとしたため、クラブはそのオファーを取り消し、キャンセルした。「君は問題児だ。プレーしないのに、なぜ君に給料を払わなければならないのか？」というのが、ユクセル・イリディム会長の反論だった。

イハッタレンは、チェコのクラブ、スラビア・プラハと新たに契約を結ぶまで、さらに数か月待たなければならなかった。加入後数週間で、フィジカルコンディショニングの問題により、リザーブチームに降格させられてしまったのだ。この契約は2024年3月末に終了した。夏にはヴァールヴァイクの一員としてオランダに戻り、今ではエールディビジで90分間のフル出場を定期的にこなしている。イハッタレンはまだ23歳であり、育成リーグで多くの出場時間を確保しているため、いずれはすべてをうまくまとめられるかもしれない。

NXGNのピーク順位： 2019年の8位

カルロス・ベラやジョバンニ・ドス・サントスの時代を経て、ディエゴ・ライネスはメキシコの次世代サッカー界のプリンスとなるべく、その地位を確立しつつあった。 16歳でメキシコで最も有名なクラブ、クラブ・アメリカの一員として頭角を現し、すぐにスペインのラ・リーガのレアル・ベティスに引き抜かれた。

しかし、ライネスはヨーロッパのサッカーに馴染むことはできなかった。伝統的なウイングで、ブーツにチョークが付くのを好む彼は、フィジカル面で苦労し、身長170センチという低身長が災いして、時に簡単に倒されてしまうこともあった。ベティスでは72試合でわずか4ゴールにとどまり、2022年にブラガとともにポルトガルにレンタル移籍した。ポルトガルでは全大会で13試合に出場し、メキシコを離れてからの放浪の旅を、この契約がシーズン途中で終了したことで終えることを決意した。

ベティスは2023年1月にライネスをティグレス・UANLにレンタル移籍させ、約800万ユーロの損失を被ったものの、数か月後にメキシコ側が600万ユーロの買取オプションを発動することを選択したことで、おそらくは感謝したことだろう。ライネスは現在もティグレスに所属しているが、先発メンバーには入っておらず、2018年にエル・トリでデビューして以来、トップチームでの出場は29試合にとどまっている。

NXGNのピーク順位： 2016年の25位

ハキム・マストゥールを覚えている人はいるだろうか？ 彼はYouTubeのスターの王様であり、同世代のフレディ・マーキュリーだった。 モロッコ人のクリップは、彼が14歳の時に、地元のレジャイナからACミランに50万ユーロで移籍した直後から、しばしば話題となった。マストゥールは、今振り返ると、この騒ぎが自分の成長にマイナスだったと感じている。「ミラン移籍のことでメディアが騒ぎ立てたことで、クラブやアドバイザーは、私がスポーツ選手として辛抱強く努力すべき存在というよりも、利益を生み出すチャンスとして見るようになった。僕はただプレーしたかっただけなのに、それが私の運動能力の成長を妨げた」。

マストゥールは、2015年11月にマラガにレンタル移籍し、シニアデビューを果たす前からサッカー界では有名人だった。その後、オランダのPECズヴォレへのレンタル移籍も成功せず、当時の監督ロン・ヤンスは「彼はボールを扱う素晴らしい能力を持っているが、もっとゲームに深みを加える必要がある」と説明した。マストゥールはミランに戻り、残りの契約期間を全うした後、ギリシャのラミアと契約した。ケガの治療をめぐる論争により、最終的にマストゥールは契約から1年も経たないうちに退団となり、イタリアに戻ってレッジーナ、そしてカルピでプレーすることを選んだ。

イタリアで育ったマストゥールは、両親の出身国であるモロッコへ渡り、2部リーグのゼマムラでプレーすることを決意した。より成熟したプレーを見せたことで、昨年夏に退団するまで26歳で過ごした最後のクラブ、ユニオン・ド・トゥアルガで同国の1部リーグに昇格した。

では、マストゥールは今どこにいるのか？ 7人制キングスリーグで彼を見つけることができる。 公平に見て、このような光景は彼のスタイルやプレーにより適しているかもしれない。 さらに重要なのは、ここ数年精神的に苦しんできた彼が再び幸せを取り戻していることだ。 「私は困難な時期を経験した。 うつ病に苦しんだが、そこからより強く立ち直ることができた。 再び笑顔を取り戻し、サッカーの楽しさを見出た」と彼は2024年に語っている。

NXGNのピーク順位： 2020年の4位

以前、レアル・マドリーがセルヒオ・ディアスと契約したという話をしたのを覚えていますか？南米の才能ある選手を見逃すことはほとんどないという話を。その話を覚えているなら、その気持ちを1000倍にして、それがレイニエルだと思ってほしい。

ヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴを獲得した直後、レアル・マドリーは2020年1月にブラジルに戻り、フラメンゴの攻撃的ミッドフィルダー、レイニエルと3,000万ユーロの契約を結んだ。ロックダウン（外出禁止令）の最初の数か月間、彼はカスティージャチームで数試合に出場し、3試合で2ゴールを挙げる活躍を見せた。その後、2年間のレンタル移籍でボルシア・ドルトムントに送られた。 彼の成長の道筋は明確であり、2022年にベルナベウに戻ってくる際には、はるかに優れた選手になっていることは明白だった。 しかし、どういうわけか、彼は去った頃の天才的な才能の面影を失って戻ってきた。

レイニエルはシグナル・イドゥナ・パルクでは脇役の選手だった。「とにかくそこから抜け出したかった。自分の役割は果たした。トレーニングもしたし、毎日家に帰った。いつも時間通りに到着した。クラブで働く人たち全員を尊敬していた。後ろめたい気持ちはなかった」と彼は後に語っている。マドリーに戻ったとき、彼の評価は大幅に下落しており、彼を獲得しようというチームは中位のジローナだけだった。しかし、そこでもレギュラーではなく控え選手だった。翌年、フロジノーネでも同様に印象を与えることができず、現在はグラナダでセグンダ・ディビシオン（スペイン2部）に所属している。報道によると、契約期間がまだ1年残っているにもかかわらず、ここ12か月間、マドリーとのコミュニケーションはほとんどなかった。

少なくとも、レイニエルは2021年に延期された東京オリンピックでブラジルが金メダルを獲得するのに貢献した。これは母国では非常に大きな出来事である。それと、マドリーでのデビューが、彼のキャリアにおける2つのハイライトとなっている。残念ながら。

NXGNのピーク順位： 2017年の7位

センターバックに求める主な要素、すなわち経験、強さ、冷静さを考慮すると、マラング・サールがなぜこのようなキャリアを歩んできたのか、ましてやなぜチェルシーで成功できなかったのかは、少し不可解である。

サールはフランスのユースチームの守備の要であり、2020年に21歳でスタンフォード・ブリッジに向かう前には、ニースで119試合のトップチーム出場を経験していた。この契約は、リスクが非常に低く、見返りが大きいと感じられた。特に、彼がすぐにポルトにレンタル移籍し、さらなる活躍を収めたという事実と相まって。その後、彼は2021-22シーズンも残留し、自分のポジションを争うことを選んだ。この姿勢はトーマス・トゥヘル監督に評価され、同監督はサールを21試合で起用し、彼の評価を高め続けた。

それ以来、すべてがぼんやりとしており、特に有頂天になるというよりも、むしろ記憶喪失的な感じだ。2022-23シーズンには、モナコへの無意味なローン移籍が実現した。そして、西ロンドンに戻ってきたとき、新ヘッドコーチのマウリシオ・ポチェッティーノは、サールについて完全に忘れていたことを認めた。しかし、サールは今日までそれを否定している。「彼は僕のことを知っていた。トッテナムでも僕を獲得しようとしていた。説明を求めなかった」。

ルアーブルは、サールがチェルシーとの契約が残っている間、レンタル移籍を試みたが、ブルーズがその申し出を断り、2024年の契約満了まで彼を孤立させた。その後、ウィル・スティルの率いるRCランスにフリー移籍で加入し、今年1月のアブドゥコディル・フサノフのマンチェスター・シティへの売却後、主力選手となった。

NXGNのピーク順位： 2017年の20位

ガリー・ネヴィルの言葉を借りるなら、ベン・ウッドバーンは「バンカー」、つまり「疑う余地のない」、失敗するはずのない選手だった。 彼はリヴァプールの次なる偉大な生え抜きヒーローとなるためのすべての資質を備えていた。攻撃的ミッドフィルダーのウッドバーンは、アンダー7のレベルでクラブに加入し、その明白な才能により、将来のアシスタントコーチとなるペップ・リンダース氏と仕事をした。15歳で学校を中退し、以前はメルウッドのトレーニング施設で年齢層を上げて移籍し、ユルゲン・クロップの目に留まった。

伝説はそれだけでは終わらなかった。ウッドバーンはトレント・アレクサンダー＝アーノルドと同時にプロ契約を結び、リーグカップのリーズ・ユナイテッド戦でゴールを決め、17歳45日という若さでマイケル・オーウェンのクラブ最年少得点記録を更新した。『スカイスポーツ』のロブ・ホーソーンの解説は「ウッドバーン！」と声を限りに叫び、永遠に続くかのようだった。

しかし、彼の才能を披露するさらなる機会は訪れなかった。2017-18シーズンには、当時のユース監督スティーブン・ジェラードによってU-18のキャプテンに任命されたものの、その後シェフィールド・ユナイテッド、オックスフォード・ユナイテッド、ブラックプールとEFLへの3年連続のレンタル移籍で疎外されてしまった。リヴァプールでの最後の年、ウッドバーンはスコットランド国境の北にあるハーツにレンタル移籍し、その後、放出された。

2022年にプレストンがウッドバーンを1年契約で獲得し、さらに12か月のオプションも付いていたが、その延長オプションが行使されたにもかかわらず、その契約期間の終了とともに彼は放出された。ウッドバーンは現在、リーグ2のサルフォード・シティで先発メンバーから外れたり入ったりしている。この物語を再び振り返るために、ネヴィルが共同オーナーを務めるチームだ。

ウッドバーンのキャリアに注目し、彼に寄せられた期待が過大だったと主張する人もいるが、本人はそうではないと主張している。「当時、世界最高の選手たちと一緒にトレーニングをしていたので、常に上達していた」とサルフォードと契約した後、彼は語った。「信じられないような経験だった。本当に多くのことを学んだ。彼らは多くの試合に勝利しており、彼らのメンタリティについて多くを学ぶことができた。ただ、もっと試合に出たかった。もしもっと早い時期に、たくさんたくさん試合に出られていたら、もっと早く成長できていたかもしれない」。

レンタル移籍中の負傷もウッドバーンの低迷の大きな要因となったが、少なくとも、安定した出場時間を確保するために、ウッドバーンは謙虚な姿勢でカテゴリーを下げることも辞さない。