浦和レッズGK鈴木彩艶が、ベルギー挑戦についての思いを語った。
浦和は6日、U-22日本代表GK鈴木のベルギー1部シント=トロイデンへの期限付き移籍について、クラブ間合意に達したことを発表。期間は2024年6月30日までで、メディカルチェック後に正式契約となっている。
190cm、91kgの体格を誇る鈴木は、埼玉県出身の20歳。浦和の下部組織で育ち、2021年にトップチーム昇格を果たした。同シーズンはリーグ6試合に出場。しかし、その後はGK西川周作という日本屈指の守護神がライバルということもあり、なかなか出場機会は得られず。2023シーズンはここまでJ1リーグでは出場がなく、JリーグYBCルヴァンカップ5試合、天皇杯1試合の出場となっていた。
同日に開催されたJ1第22節の横浜F・マリノス戦後、報道陣からのインタビューに応じた鈴木は海外挑戦について「世界一っていうところを目指していく上で、ステップアップとして今回の移籍を決断した」と説明。
鈴木にはここ1カ月ほど、プレミアリーグ屈指の強豪・マンチェスター・ユナイテッドからオファーが届いているという報道が、海外主要メディア含めて伝えられていた。
同オファーについて鈴木は「マンチェスター・ユナイテッドからオファーがあったっていうのは事実としてあります」と認め「本当にこの決断というのは非常に迷いました」と心中を吐露。なぜオファーを受け入れなかったのか、自身の考えを明かした。
「サッカー選手として、1人の人としても、何も考えなかったら、もちろんマンチェスター・ユナイテッドに行きたいと思うんですけど、その中でも、その先にどういう未来が待ってるのかっていうのを本当に時間をかけて考えた結果、この決断をしました」
「今、自分が日本で試合に出れてない中で、マンチェスター・ユナイテッドはオナナ選手を獲得していて。その中で出れるレベルにあるかを考えた時に、自分でもなかなか難しいなという風に評価しました。ただ、どちらも本当に素晴らしいクラブであるっていうのは間違いないので、今行けなくても、必ず数年後にはまた戻ってきたいと思っています。着実にステップアップするために、今回の移籍を決断しました」
また、鈴木自身がベルギーに移籍先を決断した理由として取り上げられていた報道についても自ら否定。「一部報道でパリ五輪のために移籍するっていうのを言うのを目にしたんですけど、それはまたちょっと違った話で」とし、今後のキャリアでの目標達成に向けて試合に出場することが第一だと話した。
「パリ五輪があるから移籍するわけではなくて、僕自身は A代表を目指してますし、W杯を目指していますし、その先の世界一っていうところを目指しているので。今回はパリ五輪がどうっていうところで移籍を決断したっていうのは間違いであるっていうのはここで言っておきたいです。ですが、もちろん通過点としてパリ五輪は大事な大会になるので、目指していく部分は変わらないです」
「とにかく、自分は試合に出ることっていうのが大事ですし、それがまた世界の舞台でプレーするってことも大事だと思っています。これから本当に厳しい戦いが待っていると思いますけど、ここでの学びっていうのを活かして頑張りたいです」
鈴木がポジション争いをすることになる日本代表GKシュミット・ダニエルをはじめ、日本人が多く在籍するシント=トロイデン。同チームとベルギーリーグの印象については「非常にレベルの高いリーグ」と話し「代表のゴールキーパーでもあるシュミット選手がプレーしています。そこでも高い競争ができると思いました」とコメントした。
この囲み取材で「プレミアリーグでプレーすることが夢」だと繰り返した鈴木。目標とする舞台で活躍するために、自身初となる欧州挑戦へ意気込んでいる。
「色々な選手が海外で活躍してる中で、本当にキーパーっていうのは難しい存在でもあります。今の自分の現状としては日本で試合に出れてないっていう部分がある中で、今回オファーを頂いたので。そういったところでは、これから本当に厳しい戦いが待っていると思います。まだGKとしてプレミアリーグで活躍している日本人っていうのはいないので、その最初の1人の選手としてなれるように、着実に1歩1歩進んでいきたいです」