Julen Lopetegui SevillaGoal

ロペテギが語るセビージャの成長と未来。サンチェス・ピスファンでの次なる挑戦は…/独占インタビュー

偏見とはほとんどの場合において状況や人物像を歪んで見せる、旅仲間としては決して好ましくない存在である。しかし、よい意味でのサプライズを起こす余地も持ち合わせているようだ。セビージャとフレン・ロペテギ監督の関係は混沌のうちに始まったが、今やまるで夫婦のようだ。

クラブ史上6回目となるヨーロッパリーグ制覇を果たした、昨年8月のドイツへの旅は、両者にとってのハネムーンだったのだろう。セビージャで2年近くを過ごしたこのバスク人は、自身が呼ぶ“セビージャの世界”を完璧に理解する。これは、クラブの行動規範と、再び自分たちを栄光に導いてくれたことに感謝しながら、並外れた成功を継続せよという厳しい要求をつきつけるサポーターとが共存する、クラブの生態系を指す。

1月には、2024年までの新契約を結んだロペテギは『Goal』の独占インタビューを通じてこの喜びと厳しさの両方を感じつつ、“彼にとっての”セビージャ、そしてラモン・サンチェス・ピスファンでの次の挑戦について語ってくれた。

■「仕事も街も楽しんでいる」

Julen Lopetegui Sevilla Europa League finalGetty Images

――現在のところ、監督業を楽しむ余裕はありますか?

つまるところ、混乱ですら楽しもうとする必要がある、ということだね。ヨーロッパの大会とラ・リーガの試合が次から次へとやってくる張り詰めた状況にあるよ。しかも、今はより短期間で大会が進行していく。選手の脚は2本、肺は2つのままなのに、より短いインターバルで試合をこなさなくてはならない。どの監督も対処を強いられているが、これも仕事の一部ということだね。

――私にはあなたがセビージャで幸せを見つけたように見えます。

仕事も街も楽しんでいるよ。家族も同様だね。私たちが元気でいられることが大切だ。監督は指示を出したり苦しめられたりする立場にあるが、ひとりの人間だ。元気でいられることが重要なのさ。私の場合はこの素晴らしい街、そして歓迎してくれる人々に非常に満足している。クラブレベルでも、今の仕事ができること、セビージャで責任ある職務にあることにとても満足している。

――では、フットボールから離れているときは何をしているのですか?

私よりも家族の方が街を楽しんでいて、私自身はあまり出かけないね。最近では試合に勝ったあとに家族と夕食に出かけるのが好きかな。パンデミックであらゆることが大変な状況だけど、これまでにセビージャで訪れた数少ない場所は私も妻もとても気に入っている。街だけではなく、この地方一帯の話だね。アンダルシア地方は美しい物が本当に豊富にある。すべてを経験したり楽しんだりできないことが残念だよ。

――街ではサポーターからどんな言葉を掛けられるのですか?

チームが勝てば皆ご機嫌だよ(笑)。ここでは最初から親しみや励まし、期待を持って接してくれた。でも街に着いた瞬間に高いレベルの要求を感じるのも確かだ。それがセビージャらしさであり、セビージャが持つ世界であるといえるね。

――今は、パンデミックの影響で無観客試合が続いています。スタジアムではサポーターの存在を恋しく感じているのではないでしょうか。

フットボールはサポーターのためにプレーすることに意味がある。私たちはこの状況に適応するために努力を続けているよ。サポーターという存在がいること、不安や期待、熱気を持って自宅から応援してくれていることはわかっている。目には見えないけどスピリッツは感じるものだ。私たちはサポーターのためにプレーしているよ。

■EL優勝で涙

Julen Lopetegui Sevilla Europa League finalGetty Images

――ぺぺ・カストロ会長は、「今はスタジアムに騒音がなく即座に選手に指示が出せることが試合を進めるカギのひとつとなっている」と話していました。

確かに、以前に比べてすべてがよく聞こえるし、透明性も高い。常に分析を図れる状態だね。監督、審判、選手の言うことが聞こえる今の状況に、全員が適応する必要がある。主役はあくまで選手で、それ以外は邪魔にならないようにチームを助けるだけだね。

――ケルンで行われたヨーロッパリーグの決勝で、あなたはひとりのセビジスタとして涙を流しました。あの瞬間は何を感じていたのでしょうか?

興奮と歓喜の表現だよ。フットボールの世界では1年の間に複雑で難しい瞬間が幾度も訪れるものだ。クラブの裏側では多くの人々が仕事に励んでいる。選手やコーチングスタッフだけではないよ。取締役会、チームのサポート係、会長、委員会、すべてだ。あの試合のような激闘の末に頂点に立つのは、すべての人にとっての歓喜となる。その気持ちを私はあのように表現したということだ。

――ですが、サポーターと共に祝うことはできませんでしたね。

それでも、美しい瞬間で、思い出に残るものであることに変わりはない。私たちはバーチャルでお祝いをしたけど、現実に起きたことでもある。私はあの夜、セビジスタの家々が幸せを感じながら眠りについたことを知っているよ。今現在、私たちの国は歴史に残る難しい時間を過ごしているけど、セビジスタに喜びを届けられれば、自分たちの仕事にも意味を与えることができるね。

――トーナメント戦はまるで映画のようでしたね。何度も敗退の瀬戸際まで追い詰められながらも、その度に立ち上がりました。それこそがセビージャの真髄ではないでしょうか?

ワールドカップやCLのような形式の試合では、あらゆるディテールや瞬間でのプレーが重要になる。それぞれにニュアンスの違いがあるのは確かだけどね。正しいプレーをすることとアンラッキーに見舞われないことも必要だ。私たちは難しい展開でPKを3本獲得したり、巻き返しを図った瞬間に結果が出たりと、いくつかの幸運に恵まれた。しかしいつもこうなるとは限らない。こういった性質の大会を勝ち抜くには多くの状況を味方につける必要があって、幸運にもそうなったということだ。

■セビージャの成長と未来

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Osasuna vs. SevillaGetty

――マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督は、「以前知られていたような監督はもはや存在しない」と話していました。つまり、今は選手の回復とケガの回避に取り組むだけで、監督がチームや選手を改善する時間はないと。あなたも同じことを感じますか?

日程が過密になればなるほど対応が増えるし、より困難な状況になるといえる。出場した選手の回復に努め、その時間すら確保できないこともしょっちゅうあるが、残りの選手は次の試合に向けたコンディション作りをする。1週間かけてチーム練習ができるチームと比べればアドバンテージは失われている。私たちは現在の状況下で、限られた時間を最適化しなければいけない。

――セビージャは非常に要求の高いクラブです。これが成功のカギでもありますが、時に不当だと感じることはないですか?

チャンピオンズリーグはどれも非常に厳しい試合ばかりだ。すべての試合において追加の難易度が課されている。ひとつの試合ごとに世界があり、どれも難しいね。人々はチャンピオンズリーグとラ・リーガの難しさも、セビージャがチェルシーやバルセロナと対峙できることも認識している。私たちは自分たちのすることをコントロールしなくてはいけない。自分たちの長所を信じ、相手の長所は潰して最小化する。それがうまくいくときもあればいかないときもある。周囲の評価は私たちのコントロール外のことだ。

――セビージャはアトレティコ・マドリーをお手本とするべきか、という話はよく言われることです。これまでの成長をどう捉えていますか?

自分たちが成長と改善を続けられているかどうかだけを気にするべきだ。今年のように特殊な状況下でも、私たちは将来の課題に対応し続けなくてはならない。私たちにはラ・リーガで改善を継続し、チャンピオンズリーグでもいい戦いを続けられるだけのキャパシティが備わっている。どちらも壮大かつ困難で複雑な挑戦だし、それ以上のことは考えていない。昨年のことは昨年のことに過ぎないしね。これからのことは今から5月までの私たちの行動にかかっている。

何度も話しているが、フットボールの世界には日々を見つめること以外に特別な秘密なんてものはない。隣人や他人を気にすることに価値はないよ。自分自身を見つめて自己批判的になること、より強固に、よりよくなるために自分たちができていることとできていないことを知り、改善すること、そしてすべての選手をいい状態にすること。私たちの挑戦にできるだけ多くの選手がいてくれるといいね。

――契約を2024年まで延長しましたが、セビージャの未来にどんなことを期待していますか?

私たちは次の試合に向けて日々の戦いを続けている。日々高いレベルの要求をこなしていて、先のことは見ていないよ。何の助けにもならないからね。朝起きてから、常に最善を尽くすことに集中する必要がある。私はセビージャで幸せだし、ひとつのチームで継続することを考えるのは美しいことだ。でも、フットボールがどんなものかも皆わかっているよね。私は幸せで、満足しているよ。

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