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LiverpoolGetty Images

サンティアゴ・ベルナベウで流された『You'll Never Walk Alone』…レアル・マドリーがリヴァプールに恩返し

それは試合のホイッスルが吹かれた直後のことだった。レアル・マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウのスピーカーから「リヴァプールに敬意を表して、これから『You'll Never Walk Alone』を流します」とのアナウンスが流れて、イントロが始まった。

15日のチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグ、マドリー対リヴァプール。アンフィールドでのファーストレグで5-2の大勝を収めていたマドリーは、尻に火がついているリヴァプール相手に1失点も許すことなく、78分にカリム・ベンゼマのゴールで勝負を決めて準々決勝進出を果たした。普段ならば、試合終了後には自分たちのイムノを流すのが決まりとなっているのだが、再生されたのはまさかの相手のチームの代表曲である。ベルナベウというフットボール界の神殿の一つで、フットボール界を代表する曲『You'll Never Walk Alone』が聞けるなど、あまりにも凄まじい、鳥肌が立つような出来事だった。

マドリーが『You'll Never Walk Alone』を流した理由は、リヴァプールへのお礼だ。この対戦のファーストレグは、マドリーの名誉会長アマンシオが83歳で逝去した直後に行われたが、リヴァプールはアマンシオに黙祷を捧げただけでなく同クラブのレジェンド、ケニー・ダルグリッシュが1500人にマドリーサポーターが陣取るスタンドの前まで赴いて花束を捧げている。マドリーはこのセカンドレグで、その心づかいに報いようとしたのである。クラブ幹部のエミリオ・ブトラゲーニョは試合後、次のように語っていた。

「リヴァプールはアンフィールドで私たちを思いやってくれた。あれはまさに偉大なクラブの偉大な振る舞いであり、私たちは恩返しをしたかったんだ。あれくらいのことしかできず申し訳ない」

「素晴らしいクラブというものは、ピッチ上の出来事を超越した振る舞いでもって、自分たちの偉大さを示すものなんだ。アンフィールドでのリヴァプールの振る舞いは、まさにそういうものだったと言える」

またマドリー指揮官のカルロ・アンチェロッティは記者会見で、「私は知らないことだったが、素晴らしいじゃないか。リヴァプールは紳士のクラブであり、ファーストレグではアマンシオのことを思い出させてくれた。私たちのクラブも彼らに対して、とても素晴らしい振る舞いを見せたと思う」と語っている。

『You'll Never Walk Alone』が流れ始めたときと終わったとき、ベルナベウに残っていたマドリーのサポーターは北スタンド上段のアウェー席に陣取るリヴァプールのサポーターに万雷の拍手を送り、マフラーを掲げて熱唱していたリヴァプールのサポーターも曲が終わった後に拍手をし返した。マドリー、リヴァプールの今回の対戦の振る舞いをそのまま体現したかのような“交感”の光景が、そこにはあったのだった。『You'll Never Walk Alone』の最も有名な邦題は、「人生ひとりではない」。この日生まれた光景に、これ以上ふさわしい曲はなかったように思える。

取材・文/江間慎一郎

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