リオネル・メッシはバルセロナを離れる意思を見せている。この意思表明はショッキングではあったが、さほど驚くべきことではなかった。
しかし、バイエルン・ミュンヘンにチャンピオンズリーグで2-8の大敗を喫した後でさえ、そのようなシナリオを想像することすら拒否する人が多かった。
例えば、クラブOBのデコは「メッシのいないバルセロナを想像するのが難しい」と語る。元チームメイトでもあるサミュエル・エトーは「メッシがチームから去るのであれば、クラブの名前を変えなければいけない。メッシとはすなわちバルセロナなのだ」とまで言い放った。
確かに、バルサは長年このような印象を持たれていた。メッシはただのキャプテン以上の存在なのだ。クラブの顔であり、街のシンボルだ。
メッシは13歳の頃からカタルーニャで暮らしている。だからこそ、彼は"第二のホーム"とも言うべきカンプ・ノウでキャリアを終えるのだろうと皆が思い込んでいた。
しかし現実は、メッシがクラブから去る日は近づいている。
感傷をひとまず脇に置いておけば、メッシがクラブを離れたがっていることは完全に理解できる。
バルセロナは混迷を極めており、秩序を失っているのだ。
■クラブ首脳の根本的問題
Getty/Goal12年ぶり無冠という結果はもちろん大きなダメージを与えたが、それ以上に気分を害することなったのがジョゼップ・マリア・バルトメウ会長の言葉だ。彼はバイエルン戦大敗後、クラブが苦しんでいるのは「組織の問題ではなく、競技上の問題」と主張した。
つまり、バルサの置かれた現状の責任は選手だけにあると示したのだった。パフォーマンスの低下は選手だけの問題なのだろうか。いや、バルサの成績が落ち込んでいる理由は、クラブの方向性が誤っている点にある。
バルトメウ氏が2015年に会長になって以来、クラブは約10億ユーロ(約1250億円)を無駄にしている。さらに、コロナウイルスの流行によってクラブの財政が危険な状態にあることが明らかになり、さらにはフロントと選手の間に溝があることまでも露呈してしまった。
選手の給与削減について話し合いが持たれた時、メッシは、バルセロナの誰かが記者にリークすることで故意にチームを不利な状況に陥れようとしているとセンセーショナルに主張した。
このちょうど数か月前、元テクニカルダイレクターのエリック・アビダルがある選手について「エルネスト・バルベルデ監督解任の一端を担っている」と非難した。そのため、メッシはこのチームメイトを守らなければならないと感じ、怒りを露わにした。
一方、バルトメウ氏は、後継者が決まっていないにも関わらず、首位を走るチームからバルベルデを解任することを選択。キャリアで主要なトロフィーの獲得歴がないにも関わらず、キケ・セティエンを起用せざるを得なくなってしまった。
大方の予想通り、結果は惨憺たるものだった。リスボンでの歴史的大敗がすべてを物語っている。
もちろんメッシは、これまで通りの戦い方ではCLを勝ち抜くことはできないとクラブに再三忠告していた。果たして、彼の意見は正しかった。
ラ・リーガでも、過渡期にあるレアル・マドリーにさえ勝つことができなかった。「バルサがこれほどタイトルを逃したことはなかった。それも宿命のライバルにこんな形で渡してしまうことなどなかった」。レガネス相手にホームで屈辱の敗戦を喫した後、メッシはこう指摘した。
Gettyバイエルンに負けてしまうのは避けられない結果だった。これは何年にも渡ってマネジメントを失敗し続け、大量の散財を続けた結果であることは明らかだ。ジェラール・ピケはクラブについて、幅広く組織の構造を変えていく必要があったことがはっきりした、と指摘している。
しかし、セティエンが解任されアビダルが辞任した一方で、バルトメウ氏は辞任を拒否。先週、バルトメウ氏が公の場で口を開いた時、メッシに関する噂を真っ向から否定し、妄想を抱いているようですらあった。
「彼はここでキャリアを終えたいと思っている。いつもメッシと彼の父親に話しているが、彼は私たちのプロジェクトの一端を担っているんだ」
このバルトメウ氏の様子を見てすぐ思い出すのは、ジョルディ・メストレ前副会長が、ネイマールは「200%バルサに留まる」と発言した時のことだ。この発言の後、ネイマールはパリ・サンジェルマンへの移籍を決断した。
結果的には、この移籍がメッシとバルセロナにとって「終わりの始まり」だったのだ。メッシの後継者であり、よき友人がクラブを去った影響はメッシにとって非常に大きかった。この瞬間、バルトメウ氏はメッシからの信頼を完全に失ったのだ。
バルトメウ会長はこの2年間ネイマールの動向を公然と追い続けていたが、クラックとの再契約に近づくことはなかった。メッシは、クラブがこの契約を実現するために全力を尽くしているのか疑わしいと感じていたため、さらなるフラストレーションとなった。
そして最終的に、約束をすべて反故にされたことや、メディアへのリーク、政治的な動きにメッシは嫌気がさしてしまったのだ。
バルトメウ氏が辞任することはないとメッシは分かっていた。契約が切れる来年よりも前に辞任すれば、クラブの財政難の責任を負わされるのだから尚更だろう。
クラブを安定した財政状態に引き戻したいとバルトメウは思っている。彼の「遺産」を守るためだ。
■別れは最悪のものに…
Getty Images33歳となったメッシにとって、大掛かりな再構築が必要と見られるこのチームにもう一年留まるモチベーションは残されていない。メッシのピークはすでに過ぎ去っており、トップクラスで過ごせる残り時間を最大限活かしたいと強く願っているからだ。
ファンは当然、火曜日のニュースでがっかりしているだろう。すでにバルトメウの首を求めてカンプ・ノウに押しかけている人もいるようだ。
怒りの感情がピークに達するのはこれからで、すっきりした円満な別れにはならないかもしれない。
「契約条件に従えば、違約金なしでクラブを去る権利がある」というメッシの主張に対して、クラブは意義を唱えている。この状況からすれば、別れは最悪の状態になりそうだ。法廷での争いになってしまうこともありうる。
メッシのカンプ・ノウでのキャリアがこのような幕引きになるとは思っておらず、激怒したファンはスタジアムの外で抗議した。メッシのキャリアはいさかいなどではなく、感謝の気持ちを持って締めくくられるべきだった。
もちろん、サポーターはドラマティックな翻意を祈るしかない。メッシの意志が固まっていないことを願うしかないのだ。
しかし、今のフロントの状況下で、それもあまり現実的ではない。
確かにメッシはクラブを愛しているかもしれない。街や市民も愛しているかもしれない。だが、バルトメウのいるバルセロナにはこれ以上いたくないと思っている。
このような状態で、誰がメッシを責めることができるだろうか。「メッシがいる」というバルセロナ史上最高の時代は最悪の形でもって締めくくられそうになっている。
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