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【現地発】「ヘタフェ移籍は懐疑的」久保建英の去就の行方は…納得しないレアル・マドリーとビジャレアルの正当性

「クボを、どうすればいいのだろうか?」

レアル・マドリーの周囲では、そんな問いかけが出始めている。久保建英をビジャレアルに預けたままにすべきなのか、それとも冬の移籍市場でもっとハードルが低いクラブに貸し出すべきなのか……。マドリーはビジャレアルの久保の扱い方を注視し続けて、考えを巡らせている。日曜のベティス戦で久保がスタメンに名を連ねたときには、「ビジャレアルのメッセージということでいいのか?」「クボを望んでいるというウナイ・エメリの返答だろうか?」といった言葉が飛び交っていた。

久保のビジャレアルでの出場記録を見てみると、18試合に出場とビセンテ・イボラとともに最も多くピッチに立っている。が、出場時間では11番目となり、スタメン出場は7回にとどまる。マドリーはそうした起用法に納得していない。マドリーはバレンシアの片田舎にありながら欧州カップ戦にも参加するビジャレアルが、久保にとって理想的なレンタル先だと考えていた。そのため現状には、少なくない失望を覚えている。

■マドリーに届き始めた冬での獲得オファー

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マドリーが久保をどう扱っていくのかは、現在のところ不透明となっている。一つだけ断言できるのは、今の段階で自クラブに復帰させる道は存在していないということ。現在、マドリーのトップチームではエデル・ミリトン、ヴィニシウス、ロドリゴのブラジル人たちがEU圏外の3枠を使用している。EU国籍を取得する見込みのない久保について、マドリーは中・長期プランで復帰させることを考えており、事実、来夏以降に彼のレンタル獲得を望むクラブから絶えずオファーが届いている。

そして現在、マドリーに届く久保に関するオファーは、来夏以降のものだけではなくなっている。ビジャレアルで日本人が置かれている状況を把握した複数のクラブが、この冬から彼のことを預かろうと、マドリーとコンタクトを取り始めているのだ。その中で最も激しくアピールしているのは、マドリーと同じくスペイン首都に拠を構え、今夏にも久保を引き入れることを望んでいたヘタフェである。

ただしマドリーは、ヘタフェという選択肢に懐疑的であり続けている。その理由は、二つある。一つはホセ・ボルダラス率いるチームが創造的というよりも、フィジカル重視の破壊的なプレースタイルを志向しているため。また一つは、彼らが欧州カップ戦に参加しておらず、リーガで下位に低迷しているためだ。もし久保がこの冬にビジャレアルから去るとして、マドリーはヘタフェよりも魅力的なレンタル先があると考えている。例えばヘタフェと同様に夏にも久保獲得を打診してきたアヤックスが、それに当てはまる。

■ビジャレアル残留がより確実かつ、現実的か

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では、久保本人の気持ちはどうなのだろうか。ビジャレアルでもっと出場機会を得られると思っていたのは確かだろうが、しかし彼は冬の市場で動くリスクも承知しているだろう。レンタル先を変えたとしても、自身の成長と足並みを合わせられる、ちょうど良いハードルとなるクラブが見つかる保証がないからだ。翻って、現在のところ彼にとって少しハードルが高いクラブとなっているビジャレアルであれば、リーガ、コパ・デル・レイ、ヨーロッパリーグの3大会に参加している状況で、出場機会を得ていくのは間違いない。

ビジャレアル側はマドリーの不満を察知していながらも、久保を手放す考えはない。日本人が一部の人たちにとって期待されていたような出場機会を得ていないとしても、彼らには彼らなりの正当性がある。久保は19歳と若く、ビジャレアルにはマジョルカより格段にレベルが高い選手たちが揃っているのだから。加えてエメリは、久保の成長と経験を無下にはしていないように思える。以前、会見でこう話していたように。

「クボはプロセスを踏んでいる最中だ。一つにはビジャレアルの道、もう一つにはクボの道がある。ビジャレアルがクボの成長の恩恵を受け、それと並行してクボがビジャレアルから恩恵を受けることを、私たちの全員が求めている。彼は私たちとともに欧州カップ戦でデビューを果たしたし、いつもチームのために尽くしくれている。私は彼とその仕事ぶりに満足している」

マドリーが久保の状況を憂慮しているのは事実であり、この冬に違うクラブに貸し出すことは、決してあり得ない話ではない。昨季、バジャドリーで出場機会に恵まれなかったGKアンドリー・ルニンを、冬にレアル・オビエドに加入させた前例だってある。しかしながら現状、久保にとってはビジャレアルでプレーし続けるという選択肢がより確実で、より現実味が高いように思えるが、果たして……。結局のところ、ここから冬の移籍市場が閉まるまでの久保本人の感触、考え、意思が重要になるだろう。

文=ミゲル・アンヘル・ララ(Miguel Angel Lara)/スペイン『マルカ』レアル・マドリー&スペイン代表番記者、江間慎一郎
翻訳・構成=江間慎一郎(Shinichiro Ema)

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