森重真人は言う。「今年は2点取られても3点取り返すサッカー。そこを見てほしい」

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🄫F.C.Tokyo/Kenichi Arai

 「普通に戻りたい」という言葉がずしりと重みを持つようになった。それでも思いを乗せたボールは、日本中で転がり始める。FC東京のDF森重真人は、7月4日に再開する明治安田生命J1リーグへの思いと、Jリーガーが今できることを口にする。「嘘偽りのないスポーツの力で多くのモノを届けたい」、と。

 DAZN(ダゾーン)と18のパートナーメディアが取り組む「DAZN Jリーグ推進委員会」では、「THIS IS MY CLUB - FOR RESTART WITH LOVE -」と称し、J1再開に向けてインタビューを実施。Goalでは、FC東京の現所属選手の中で最長となる、11年目のシーズンを戦う森重真人に話を聞いた。

【聞き手:馬場康平/写真:F.C.TOKYO/新井賢一】

■順調に見えた2020シーズン滑り出し

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――昨シーズンは、本当に楽しそうにサッカーをしていた印象があります。

「それまで背負ってきたいろんなものを振り解いて楽しくサッカーができたと思います。自分自身は、それほど大きく何かを変えたつもりもなかったですけれどね。知らず知らずのうちに、まとわりついていたものが、それだけあったのかもしれません」

――昨季のJ1第33節・湘南ベルマーレ戦では、なんとか森重選手の終了間際の同点ゴールで優勝争いに踏みとどまった。これまでの勝負弱いと言われてきたチームが見せた小さくない変化だと思います。

「自分をカッコ良く見せるのならそう言うかもしれない(苦笑)。でも、実際は、その前の浦和と、その湘南戦に勝てなかった事実のほうを重く受け止めています。あそこで勝ちきって、優位に立った中でアウェイの最終節に乗り込むことが理想だった。それができなかったことを考えれば、まだまだだなと感じています」

――最後まで優勝争いをできたことは?

「そういう視点で見れば、初めてそれが経験できたので、前向きにとらえることもできます。本当に、一歩ずつですが優勝に近づいているけれど、まだまだだったと思います」

――そして迎えた今季ですが、開幕前の森重選手は、これまでとは全く違っていました。若手とサッカー談義や、アドバイスを送る姿は、以前は見たことがなかったです。

「いやぁ楽しいですよ、ホント。若い選手はサッカーも、トレーニングに関しても、感度が高い。彼らが取り入れている情報を自分に活かしたり、自分がやってきた話をしたり、そういう意見交換だけでもプラスになっている。逆に、僕自身が最新のサッカー事情に疎いので、海外サッカーの話や、新たに注目されている選手のことを教わったりもしている。そういうことだけでも楽しい。あとは、単純に自分が思っていることや、経験してきたことを若手に伝えないといけないと思っていたので」

――ACLプレーオフからJ1開幕戦までの4試合は、順調そうに見えましたが。

「チームとして新たなことにチャレンジしているので、そこへのやりがいは感じていました。ある意味では、新鮮さと、楽しみ、不安な部分があって、それが良いバランスでできていたのかな、と。最初からうまくいっていたわけではない。何が良くて、何がダメなのかを毎回考えながらやってきた。前日に手応えがあっても、次の日には問題点が出てくる。新たなことに挑むからこそ、出てくる課題もある。そうやって開幕までずっと頭をフル回転させてきたことが良い結果にもつながったのかなと思います」

――そこから新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリーグが中断、活動自粛となったが、その現実をどう受け止めましたか?

「初めは、まさかJリーグが中断することになるとは思っていなかった。海外ドラマや映画の世界の話が、現実に起こるのだと、ただただ驚いた。そういう非現実的なことを受け入れることは難しかったですね」

■気づいた小さな喜び

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――自粛期間中はどんなことをして過ごしていましたか?

「最初は自分なりに練習メニューを考えたり、いろんなことができることが新鮮で、楽しく過ごせていた。でも、Jリーグの再開が先延ばしになるにつれて、目標がないと無理かもしれないと思い始めた。そこからは、コンディション維持というよりも、毎日のルーティンをつくって最低限のトレーニングをこなすようになっていきました。逆に、サッカー以外で、ほかの楽しみを見つけて毎日を過ごしてきた感じです」

――たとえば、どんなことに挑戦したんですか?

「たとえば? ……勉強(苦笑)。実際にサッカーがなくなって、自分に何が残るかを考えたときに何もなかった。今のこの時期に、それに気づけたことは大きかったかもしれない。もちろんサッカーを続けていくうちはサッカーにのめり込めばいいとは思っているけれど、この期間を活かしてサッカー以外のいち社会人としての知識や教養を身につけておこう、と。今までやってこなかった分のしわ寄せがきていますね(笑)」

――活動自粛期間が明けてチームメートに再会できたときはうれしかった?

「とてもうれしいです。活動自粛期間中は、一人でずっとボールを蹴っていた。コンクリートの壁がないからボールを蹴って取りに行っての繰り返しで、『なんだよコレ』って思っていた。練習再開直後はグループ別練習で、ボールを蹴り合うことはできなかったけれど、徐々に緩和されてボールを蹴り合えたときに喜びを感じた。ボールを蹴って、自分のところにただ返ってくるだけでうれしかった。毎日会っていたチームメイトなので、そういう彼らと話ができることも楽しかったですね」

――その後、全体練習も再開してチーム、個人として取り組んできたことを教えてください。

「2カ月まるまるサッカーができていなかったので。普通のオフ期間よりも長いし、自主練も最低限しかできていなかったので、33歳の自分の身体がどこまで動くか不安でした。まずはしっかりと身体をつくるところから始めました。チームとしては、新しいシステムに挑戦していたので、それを思い出す作業からでしたね。でも、一カ月もすれば元に戻るというか、コンディションもサッカーの部分でも、ここまでは順調にきていると思います。実際に試合をしてみないとわからないところもあると思いますが」

――長谷川監督も、コンビネーションや精度の部分でまだまだだけど、手応えをつかみつつあると話していました。

「トレーニングを積んで理解が深まるほど、どこに力を注げばいいのかとかがわかってくる。それがわかってくれば、コンビネーションやあうんの呼吸も出てくる。それをつかむまでが一番大変な作業だと思っています。後は相手がこうきたときに、こうしようとかは、実戦経験がモノをいうので。ここからリーグが再開して、シーズン中にどこまで修正できるかだと思う」

■もう一度あの最高の瞬間を

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――都内の感染者数がなかなか減らないなかで、選手たちも不安を抱えていると思います。

「首都だからこそ、人の往来も激しいし、感染のリスクもその分高くなる。感染予防には多くの注意を払ってきたが、僕たち選手にも不安はあります。練習も従来のやり方ではないですし、不要な外出はしていないのにPCR検査で陽性が出たらどうしようとか、どこかでストレスを抱えている。それでも、Jリーグが決めたガイドラインがあるので、それに則って僕らはやるしかないと思っています。僕たち選手も覚悟を持って、サッカーと向き合っていることを知ってほしいですね」

――また、SNSや、オンラインでファンとつながる機会も増えたと思います。新たなファンサービスのあり方についてはどう考えていますか?

「僕たちも、この期間にさまざまなことに取り組んできました。ファン・サポーターの皆さんが満足してもらえたことは、今後も継続して残っていくと思います。時代が変わるきっかけになると思っていますし、それをポジティブに捉えてチャレンジするいい機会だと考えています。日本や海外でも新しい可能性が芽吹いているので、自分たちもそれを利用して新たなアクションを起こしていきたいと思っています」

――この期間に、本当にたくさんのイベントに参加しましたよね。

「各方面からのプレッシャーがあったので(苦笑)。それは冗談ですが、リモートマッチでの開催が発表され、ファン・サポーターがいないなかでプレーしても寂しいし、面白くないと強く思いました。これまで彼らに僕たちは支えられてきたと実感したからこそ、僕たちが元気を与える番だと思ったのがきっかけです。それはサッカー選手全員が思っていることだと思う。だからこそ、多くの選手がいろんな企画に取り組んでいた。そういう思いで、僕自身も参加していました」

――その中には、お笑い芸人のEXITのりんたろー。さんとの共演もありました。ゴールパフォーマンスで、彼らがネタのつかみでやるEXITポーズを披露するという公約もありましたが。

「(笑)。やはり僕もそうですが、ああいう人たちから元気をもらっている。元気を与えられる存在というのは、あらためてすごいなと思いました。自分が何かやることで喜んでもらえるなら、積極的にやっていこうかなと思いますけれどね」

――サポーター有志が集まって『みんなでユルネバ』という動画もアップされていましたが、『You’ll Never Walk Alone』はやはり特別な歌ですか?

「これまで試合前に歌い継がれてきたけれど、昨シーズンからは勝利した後にも歌われるようになった。勝った後にみんなとゴール裏で歌うのは、本当に気持ちいい。ユルネバっていいなって思える瞬間だし、あれは何度でも味わいたいですね」

――再開直後は無観客での開催となり、そのユルネバは聞くことができませんが。

「それは残念ですが、ファン・サポーターのみんなともう一度、あの歌を歌えるときがきたときに、また大きな喜びを味わえると思っています。『やっぱりユルネバっていいよね』ってまた再認識できる瞬間を共有できれば、最高だと思う。そこでみんなにも頑張った甲斐があったなって、きっと思ってもらえるので、その瞬間を楽しみに待ちたいですね」

■再開するJリーグの力を

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――再開後のチームのここを見てほしいという一番の推しポイントを教えてください。

「わかりやすく言えば、今年は2点取られても3点取り返すサッカーだと思う。そこを見てほしい。試合を重ねるうちに、それが変わってくるかもしれないけれど、いま見てほしいのはそこかな、と。ただ、DFとしては大変ですが(苦笑)」

――新しいJリーグが始まろうとするなかで、FC東京としてどんな存在感を放っていきたいですか?

「嘘偽りのないスポーツには、見ている人に勇気や感動を与えられる力があると思っています。再開するJリーグが、日本のサッカーファンに多くのモノを届けられるようにしていきたいと考えています。まずは僕たちが、首都・東京のチームとしてそういう姿を見せられるようにしていきたいですし、そのなかで結果を出し続けたい。こういう状況ではありますが、僕たちには昨年逃したモノがあるので。リーグ優勝という明確な目標に向けて、全力で獲りに行く姿を見てほしいと思っています」

――ACLの再開が決まれば、さらにタフなミッションになりそうですが。

「今年はチーム全員の力が必要なので、若手にとってはチャンスかもしれない。それぞれにポジティブな要素があると思う。ネガティブなことを考えずに、みんなが前向きに捉えてこの一年を戦って、目標をつかんで成長していきたいと思います」

――最後にファン、サポーターに向けてメッセージを。

「今シーズンは、開幕戦のようなワクワクする東京の姿を見せられると思っています。昨年つかめなかったモノをつかむ自信もあるし、全員一丸となって戦い、今年こそは最後にみんなで笑えるようにしたいと思います」

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