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変化する社会の中で、変わらぬ一本気。長谷川健太は“勝負”にこだわり抜く

 就任当初から口を開けば、タイトルを目標として語ってきた。そこに勝負師の矜持がにじむ。新型コロナウイルスの感染拡大により、価値観さえも変わろうとする社会にあって変わらぬ一本気。長谷川健太監督が、まもなく再開するJ1で心待ちにしていたファン、サポーターに見せたい姿とは――。

 DAZN(ダゾーン)と18のパートナーメディアが取り組む「DAZN Jリーグ推進委員会」では、「THIS IS MY CLUB - FOR RESTART WITH LOVE -」と称し、J1再開に向けてインタビューを実施。Goalでは、FC東京を率いて3年目のシーズンを戦う長谷川健太監督に話を聞いた。

【聞き手:馬場康平/写真:F.C.TOKYO/新井賢一】

以下に続く

■新たなカタチで挑むリーグ通算55得点

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――最終節まで優勝争いを演じた昨季は、初制覇まであと一歩でした。

「悔しい昨シーズンの結果を踏まえて、今年はより多く点を取ることに挑んでいます。この3年間、シーズン55得点を目標にしてきました。その目標を達成しないと、やはり優勝には手が届かないと思っています。昨シーズンもリーグ通算で49得点と、50点にも届かなかった。守備力は、失点数も昨シーズンはリーグで2番目の少なさでしたし、安定した戦いができていたと思います。あとは、得点をチームとしてどこまで伸ばせるかだと思っています」

――迎えた今季はACLプレーオフから始まり、J1開幕戦まで公式戦4試合を戦いましたが、その手応えもあったのでは?

「攻撃力アップを最大のテーマに、今シーズンは良いスタートが切れたと思っていました。ACLも含め、J1開幕戦では清水相手に先制はされましたが、その後3得点を挙げて久しぶりに開幕戦を白星で飾れました。

 選手たちも自分たちの課題として、攻撃力を上げるために意欲的に取り組んでくれています。メンバーを変更するだけでなく、今季は新たに4-3-3システムにも挑戦してきました。そこにも徐々に慣れてきたなと思い始めた矢先に、リーグが中断してしまった。

 自粛期間を経てチームの活動を再開しましたが、今季やってきたことを一から思い出す作業から取り組んできました。システムがチームに浸透しきったわけではないので、まずは根付かせて、そこに自分たちのアイデアを加えて、よりオートマティックに戦えるようにしていきたいと考えています。チームとしては、この中断期間中に練習試合も戦いながらそうしたことに取り組んできましたが、良い感覚はつかみ始めています」

――自粛期間中は監督として、どんなことを考えてきましたか?

「正直、何も考えられませんでした。はじめは、4月中旬の再開を目指すという話もありました。ですが、緊急事態宣言が出され、日に日に増える東京都の感染者の推移も見てきました。

 サッカーどころではないと思いましたし、感染しないためにいかに自粛生活を送るかを考えるようになりました。選手たちもサッカーのことを考えるよりも、自分や家族の身を守ることが第一になっていたと思います。ようやく活動再開の目処が見えてきたときに、試合映像を見返してサッカーのことを考えられるようにはなりましたが、特に4月中は今後のことは何も考えられなかった。それが正直なところです」

――幼い頃からずっとサッカーに携わり、この自粛期間中のようなサッカーのない生活などほぼなかったと思います。

「これが老後の生活なのかなって思いましたね(笑)。今年で55歳になるけれど、10年後はこんな生活を送っているのかなって。サッカーを見ることさえない生活は初めてだったかもしれません。元気だけれど、家に閉じこもることも多かったし、出るとしても近所を散歩するぐらい。こういう老後を迎えるのかと思うと、寂しさを感じました。もっとアクティブな生活を送りたいなと思いつつ、毎日を過ごしてきました。

 これまで毎日グランドに出てみんなとサッカーやって、スタッフといろんなことを話し合ってという生活をしてきました。今回少し自炊をしてみたり、いろいろやってはみたけれど、刺激が少なくて張り合いがなかったですね。東京は現在も多くの感染者が出ています。引き続き、我々も最大限の予防を続けていかなければいけないと考えていますが、サッカーができる喜びや幸せに感謝しています」

■育成や成長という言葉に逃げない一貫性

2020-07-02-hasegawa-kenta🄫F.C.Tokyo/Kenichi Arai

――ようやく活動再開して、選手やスタッフと再会したときはうれしかったのでは。

「本当にうれしかったです。一時はクラブハウスに行くことさえできなかったので、久しぶりにクラブハウスの門をくぐっただけで気分が高揚しました。当たり前の日常はこんなにも素晴らしいのかと思えました」

――練習再開後、選手たちからはサッカーに対する飢えを感じましたか?

「それは感じました。さまざまな制限を加えた状況で練習を再開しましたが、2人組でボールを蹴る姿を見たときは本当に良かったなと思えた。このまま再開することができないかもしれないと考えた時期もあったので。6月に入って全体練習がスタートできたときは、私も本当にうれしかったですね」

――再開後に向けて、一番重点的に取り組んできたことは?

「コンビネーションの部分です。ブラジル籍選手のコンディションも非常に良いので、彼らに割って入る存在を一人でも多くつくることにも力を注いでいます。あとは、中盤のバランスにもこだわってきました。4-3-3で、アンカーを置いた中盤にするのか。使い分けも今後は考えています。この中断期間は、個々のレベルアップと、システムのバリエーションを少しでも上積みできるように取り組んできました」

――就任当初からシステムのオプションを増やすことは口にしてきました。その手応えはありますか?

「カタチは4-3-3ですが、中盤にアンカーを置いたり、ダブルボランチにしたりしているチームは世界的にも多い。どちらも良さがあって、ウィークポイントをいかに補っていくのか。選手によってはダブルボランチのほうがやりやすい選手もいれば、アンカーシステムで特長を出せる選手もいる。メンバーによっていろいろなシステムを使い分けることができれば、戦い方にも幅がでてくるように思います」

――選手たちが試合の中で判断して、柔軟に立ち位置を変えられるようになれば、バリエーションはさらに増えそうですね。

「選手たちも手応えはつかみつつあると思っています。まだまだ手探りのところもあります。4-3-3の良さが出る反面、中盤に人が多いので誰がボールにアプローチするのかはっきりしないこともあった。ですが、この期間中で、それらが少しずつ整理できてきたのかなと思います」

――具体的にどんな部分をファン・サポーターには楽しみにしてほしいですか?

「今シーズンは、ファン・サポーターにゴールシーンをたくさん見せたいと思っています。それがないと、優勝、タイトルには届かないと思います」

――レギュレーションも変更し、今季は降格するクラブもありません。そのなかで、何を大切にしていきたいですか?

「だからこそ、勝負にこだわって戦っていきたいと思います。降格がないからといって、育成や、経験という言葉に逃げたくはありません。東京は、そういうチームではないと思っています。我々はあくまでも一試合一試合の結果にこだわって戦う姿勢を、観ているファン・サポーターにおみせしていきたい。私自身も勝ちたいし、それを一番に考えてきたので。これまでと変わらず、勝負にこだわる姿を大切にしていきたい」

■昨季最終節とは違う『ユルネバ』を

2020-07-02-fctokyo-2019season🄫J.LEAGUE

――FC東京の監督に就任して以降、右肩上がりで成績を伸ばしてきました。やはり今シーズン目指すのは、リーグ優勝ですか?

「1年目からタイトルと言い続けてきましたからね(苦笑)。何度も話してきたことですが、ガンバ大阪でもタイトルを獲ったので、次は東京でもタイトルを獲りたい。それに尽きると思います」

――再開初戦は柏レイソルと対戦しますが?

「昨シーズンはJ2で尻上がりに良くなって優勝してJ1昇格を勝ち獲ったチームです。開幕戦も札幌相手に打ち勝っていますし、前線には非常に強力なタレントがそろっています。一方で、今季からGKが新加入するなど手堅い補強で、すでにJ1で戦えるチームに仕上がっている印象もあります。ネルシーニョ監督は百戦錬磨ですので、非常にタフな試合になると思います。しっかりと戦えなければ、あの攻撃力に苦戦することになるでしょう」

――再開後、選手たちに期待することは?

「選手たちは黙っていても気合いが入っていると思います。再開初戦でワンプレー、ワンプレーに気持ちも入るし、カード的にも一戦一戦気が抜けない関東圏の強豪チームとの対戦が続きます。自然と気持ちが入った、いい試合をしてくれると信じています」

――これから再開するJ1で、どんなことを感じてもらいたいですか?

「偉そうなことは言えないですが……いまは、サッカーが身近に感じられる環境に戻れたことを本当に感謝しています。もちろんすべてが元に戻ったわけではないですが、当たり前のことを当たり前にやれる。そういう日常を少しずつ取り戻すことができている。その感謝の思いを選手たちにはピッチで表現してほしい。それを見ている人たちにどう感じていただけるのか。サッカーができる喜びをピッチですべて出し切る。それが我々の務めだと思います」

――この自粛期間中に、有志のサポーターが『みんなでユルネバ』という動画をアップしていましたが、就任して2年半で『You’ll Never Walk Alone』は特別な歌になりましたか?

「奮い立つというか、昨シーズンも間近で聞いてすごいと思いました。東京のファン・サポーターはまとまっていて、いつも温かくも熱い声援を送ってくれる。彼らのために頑張らないといけないと思わせてくれる存在です。サッカーを観る目も肥えていると思いますし、サッカーを知っている人も非常に多い。そういうファン・サポーターが満足できる試合を1試合でも多くして結果を求めていくシーズンにしたい。J1のタイトルを獲って、彼らと喜びたいと心から思っていますし、昨季最終節は悔しいユルネバでしたけれど、今度は勝って喜びを分かち合えるユルネバを彼らと歌いたいと思います」

――では、最後にファン、サポーターへのメッセージを。

「ぜひ、再開を楽しみにしていてください。我々は東京のファン・サポーターのために全力で戦っていきたいと思います。選手たちもサッカーに飢えていますし、プレーできる喜びを全身で表現してくれるはずです。私も彼らと一緒に戦っていきたいと思います。ぜひ、7月4日を楽しみに待っていてください」

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です
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