J1復帰の湘南、目指すは感動を分かち合える“湘南スタイル”の体現【J1戦力分析：湘南ベルマーレ編】

2018明治安田生命J1リーグが2月23日に開幕する。昨季、J2優勝を果たして再びJ1の舞台に戻ってきた湘南ベルマーレは、7年目を迎える曺貴裁監督の下で、スローガン「ALIVE」の体現を目指す。

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■開幕予想スタメン

©Goal Japan

■チームが生きていることを示したい1年

2012年に曺貴裁監督が湘南ベルマーレの指揮を執って7年目を迎える。過去2度の昇格と2度の降格を経て、昨季ふたたびJ2を制し、指揮官のもとでは3度目となる昇格を果たした。今季は2016年に次ぐJ1挑戦となる。

そうしたこれまでの歩みを踏まえたうえで、しかし指揮官は言った。

「過去に何回落ちたとよく言われますが、僕のなかでは今この一瞬からどう変わるのか、チームがどう作られるのかしか興味がない。今季どういうチームでどういうふうに戦うかに全神経を集中している」

彼らの姿勢は、掲げたスローガン「ALIVE」に集約される。

「今年のチームはピッチの中でも外でも『ALIVE』、すなわち生き続ける、生きているんだということを周りに示したい。あの選手はこんなプレーができるようになったのか、この選手はこんなふうに変われるのかと、1年を通して選手が『ALIVE』できる力強いシーズンにしたいと思っている。選手がプレーしていて楽しいと思う、そしてそれを観ている人の心が動かされる、そういう瞬間をたくさん作りたい」

■全員が“ルーキー”としてプレーするチーム

標榜する想いを体現すべく、今季は15人の選手が新たに加わった。浦和レッズから加入した梅崎司やサンフレッチェ広島で9年間プレーしたミキッチ、韓国代表のイ・ジョンヒョプら実績十分のメンバーから、昨季二種登録された松田天馬や新井光など伸びしろ豊かなルーキーまで、年齢を問わず多彩な才能が集った。2012年、2013年と2年間在籍した大野和成の合流も心強い。新加入選手はもとより、元から在籍しているメンバーを含め、互いの切磋琢磨が成長を喚起しよう。

過去ではなく、今季のこれからに目を向ける指揮官は、さらにこう続ける。

「このチームに経験のある選手はたくさんいますが、ベテランと言われる選手はいないとチームミーティングの最初に話した。我々は皆過去のものに捉われず、自分のいいところを取り戻そう、出そうというチーム。若い選手はヤングルーキーとして、年齢を重ねている選手はオールドルーキーとしてそういう気持ちでプレーしてもらいたいし、我々が繰り広げるサッカーを皆さんに楽しみにしてもらいたい。そして彼らがどのように成長していくのか、皆さんを驚かせるようなシーズンにしたい」

■“カギ”は攻撃的スタイルの成熟

スペインで10日余り行なったキャンプでは、ハードなトレーニングや海外のチームとの練習試合、ミーティングを通して、「ALIVE」を具体的に掘り下げた。自分たちがボールを持っているときと相手ボールのとき、攻守の切り替え、またアウトオブプレーも含め、90分間弛まずボールに係わり続ける姿勢が全員に求められている。さらに「FAST BREAK」をテーマに速い破壊を目指し、それが阻まれてもなおセカンドブレイク、サードブレイクと、重心を前に傾け仕掛けていく。

曺監督は、選手に対する想いとともに口にする。

「失点してしまうと厳しくはなるが、長いシーズンを考えたら得点を取る機会がないと選手自身が伸びないし、攻撃的なチームづくりをしていかなければいけない。そのうえで切り替えのときにしっかり相手のボールを奪い返したり、粘り強くプレーしたりしていかなければいけないと思っている。うちには代表に入ってほしい選手も、ロシアに行ってほしい選手もたくさんいる。そのためには、『このチームを変えてやる』と俺がいちばん強く思わなければなにも生まれない」

攻撃的な自分たちのスタイルを磨き、勝ち方の幅を広げ、なにより選手たちがプレーしながら楽しみをかみしめる。そしてそんな彼らに観る者は心を動かされる。そのためには勝利が欠かせず、さらに言えば、スタイルを育み、勝利を追求する一試合一試合の積み重ねが、J1定着やさらなる高みへと通じていく。

だから指揮官は言う。

「やるべきことをおざなりにすると勝てないし、勝てないと究極の喜びにはつながらない。ただし選手には、僕の言うことだけをこなしてプレーしないでほしい。自分のいいところは自信を持って出してもらいたいし、全員がチームを引っ張る気持ちでピッチに立ってもらいたい。それを我々はサポートし、開幕のときよりも一段も二段もレベルアップしたチームにしたい。実現したい、ではなく、実現しなければいけないと強く感じている」

順位や数字など、具体的な結果目標は語られていない。ただ、今季のスローガン「ALIVE」に添えられた文言が彼らの目指すところを端的に指し示す。

「我々は勝利を究極に追求し、見ている人と感動を分かち合えるフットボールを目指します。それこそが湘南スタイルの神髄です」

文＝隈元大吾

■開幕予想スタメン

■チームが生きていることを示したい1年

■全員が“ルーキー”としてプレーするチーム

■“カギ”は攻撃的スタイルの成熟

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