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藤本憲明の大分への貢献は消せない。神戸移籍後にブーイング…でも、残り続ける『LOVE TRINITA』

大学を経てJFLからJ1の舞台に駆け上がり“日本のジェイミー・ヴァーディー”とも評される藤本憲明。“遅咲きストライカー”が大分トリニータの1シーズン半で残したインパクト、とりわけ2019年の前半戦でのパフォーマンスは衝撃的だった。

■神戸移籍の藤本、ブーイングは「愛」

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2017年に当時J3だった鹿児島ユナイテッドFCで24得点をあげる活躍を見せると、2018年にJ1昇格を目指す大分トリニータに移籍。途中、怪我に悩まされながらも12得点5アシストの結果を残し、J1昇格に大きく貢献した。J1初挑戦となった今年も鹿島アントラーズとの開幕戦で衝撃的な2ゴールを奪い、勝利に導くと、さらに6得点を重ねて得点王ランキングの上位に名を連ねる。

ゴールを決めるたびに右手で「L」、左手で「T」を表す『LOVE TORINITA』のポーズを作り、ゴール裏のサポーターを歓喜させてきた藤本。それだけに「眠れなくなるほど悩みました」というヴィッセル神戸への移籍には驚きとともに賛否両論が飛びかった。奇しくも移籍の4日後にアウェーの大分戦があったが、試合の終盤に藤本が登場すると盛大なブーイングを持って迎えられた。

自身の公式ツイッターで「いくらブーイングしても愛と受け取ります」とメッセージを発した藤本は、続く天皇杯の3回戦で移籍後の初ゴールを記録。2-0で迎えた後半9分に山口蛍の縦パスから抜け出し、ペナルティエリア内でディフェンスをかわして右足シュートを突き刺す藤本らしいゴールだった。

裏に抜け出す動きは大分でも見せてきた藤本の十八番だ。象徴的なゴールは開幕戦であげた2点目だった。後方のつなぎからGK高木駿が左足で前方に蹴り出す。オナイウ阿道が左ワイドから相手ディフェンスの背後に出てボールを運ぶと、中央で連動した藤本がトップスピードのままタイミングよくラストパスに合わせ、右足のダイレクトでゴールネットを揺らした。

第4節の横浜F・マリノス戦でも、相手からボールを奪った流れで中盤のティティパンにボールを預け、右サイドの松本怜に展開される間に長い距離を走り、折り返しをダイレクトで合わせるスペクタクルなゴールを決めた。さらに右サイドの展開から鋭いクロスに右足のヒールで合わせる技ありのゴール。攻撃的な相手チームのお株を奪う2ゴールをあげて見せた。

シーズン6得点目となった第6節北海道コンサドーレ札幌戦のゴールも、藤本の特徴が見事に発揮されたものだった。立ち上がりに岩田智樹のロングボールから小塚和季が中央に送ったクロスを反対サイドから駆け上がった星雄次が折り返し、最後は中央に走り込んだ藤本が流し込んだ。藤本が決めてきた多くのゴールは、タイミングの良い動き出しと正確なダイレクトのボールタッチにほぼ集約されている。そして藤本の持ち味を周囲の選手たちが理解していることがゴール量産の鍵だ。

■ゴール以外でも貢献度は高い

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そんな藤本も第7節以降は15試合で2得点となかなか結果を出せなかった。それは藤本に対するマークが厳しくなっただけでなく、昇格組ながら快進撃を続けていた大分に対しても相手の警戒が強くなったことが影響しているだろう。そうした状況でも藤本はタイミングの良い動き出しにこだわり、それによってディフェンスに混乱を引き起こすことで、チームのゴールに貢献してきた。

その点で印象的だったのが、第12節の清水エスパルス戦で同点ゴールに絡んだシーンだ。左サイドでのパス回しから小塚が右サイドに展開し、松本、岩田とつなぎ、岩田がシュート性のボールをゴール前に送ると、そこに走り込んだ藤本がボールに触れずにスルー。ボールはそのままゴールネットを揺らした。記録は岩田のゴールだが、藤本の動きが効いていた。

ストライカーとしてゴールを決め続けることは大事だが、“結果を出す”という言葉を突き詰めればそれはチームが勝利することに他ならない。JFL時代からゴールを決め続けることでのし上がってきたFWでもそれは同じ。ただし、藤本の場合は最初から周りにゴールを取らせるプレーではなく、最もゴールに近い選手としてあくまでゴールを狙い、結果として周りの選手にチャンスが生まれればゴールチャンスを助ける動きに切り替えている様子だ。

藤本が大分で記録する最後のゴールが生まれたのは、第17節ホームの浦和レッズ戦。3-4-2-1の1トップに張る藤本は、中盤の細かいパス回しから小塚がターンしてディフェンスの背後にボールを送る流れで、日本代表DFの槙野智章が構える手前から斜めに動き出し、マウリシオの背中を取る形からボールを右足でコントロール。左足の2タッチ目で、とっさに反応するGK西川周作の脇を破った。

バイタルエリアで小塚がパスを受け、ターンから前を向く瞬間に動き出していた藤本。それまでも何度かビッグチャンスに絡みながら、西川の牙城を崩せずにいたが、真骨頂とも言える動き出しからチームを勝利に導くゴールを決めて見せた。そして今シーズン、藤本がゴールを決めた6試合は全て勝利となった。

ヴィッセル神戸への移籍を受けて、大分のオフィシャルHPで「永遠に僕は『LOVE TRINITA』です。あっという間の1年半でしたがかけがえのない濃い1年半でした」とメッセージを残した藤本。残るシーズンも新天地でストライカーとしてゴールを狙い続けていくことになるが、2019年に入ってからこれまで決めたゴールは、大分トリニータのJ1昇格初年度の奮闘の記憶とともに残り続ける。

文=河治良幸

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