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東大卒の最強知識王、伊沢拓司はなぜトッテナムを好きになったのか?/インタビュー前編

高校生時代に『全国高等学校クイズ選手権』で開成高校を初優勝に導き、個人として史上初となる選手権2連覇を成し遂げた伊沢氏。TV番組『東大王』で一躍有名人となった同氏は現在、クイズプレーヤーとしてだけでなく、自身のメディア『QuizKnock』を立ち上げ、YouTuberとしても活動するなど、多くのファンを楽しませている。

そんな伊沢氏は、サッカー好きであり、トッテナムのファンであることも知られている。今回、『Goal』では、伊沢氏に自身のサッカー感やトッテナムについて存分に語ってもらった。インタビュー前編では、サッカーとの出会いやプレーヤー時代の思い出を聞いた。

インタビュー=音堂泰博(Goal)

■キッカケは日韓ワールドカップ

2019_9_11_japan(C)Getty Images

――まず、伊沢さんとサッカーとの関わりについておうかがいします。サッカーとの出会いと好きになったキッカケを教えてください。

保育園まではまったくサッカーに興味がありませんでした。でも、入学した小学校がとてもサッカーが盛んで、周囲の子たちがみんなサッカーをしていたんです。それで僕もサッカーを始めました。

そんな中、2002年の日韓ワールドカップが僕にとって非常に大きかったです。当時は2年生でしたが、小学生ながら「どハマり」しました。デイヴィッド・ベッカムやジネディーヌ・ジダン、ロナウドといったスター選手たちを見て、「サッカーってカッコイイな」、「サッカーって面白いな」と感じたんです。日本代表もベスト16まで行きましたし、大盛り上がりでしたからね。

――日本代表は2勝1分けでグループステージを突破しましたよね。決勝トーナメント1回戦では0-1で敗れましたけど、トルコ相手に善戦した。

初戦のベルギー戦は、小学校の林間学校があったんですけど、僕はそれを休んだんです。サッカーが見たいから。家で、一人でTV画面にかぶりついて見ていましたね。もちろん日本代表も応援していましたけど、世界のスター選手にも魅せられて、海外のサッカーにも興味が湧きました。

――スポーツ番組やサッカーメディアだけでなく、朝のワイドショーでもサッカー一色でしたよね。

僕のサッカーへの気持ちを一層と高ぶらせた出来事がありました。NHKの『W杯総集編』で取り上げられたんです! 大会終了後の総集編で、フットサルスクールに通っていた僕が取材を受けることになって。リポーターの方に、「将来はW杯に出たいですか?」と聞かれた僕が「W杯出たいです! 出ます!」と意気揚々と答えたインタビューが、番組の締めに使われました。番組の最後、日産スタジアムを遠景にする映像で、最後の登場人物が僕だったんです。あれが最初のTV出演でしたね(笑)。びっくりしましたけど、それがとても嬉しくて…。ビデオは擦り切れるほど見ましたよ(笑)。

――ご自身でプレーすることにも熱中していましたか?

小学校の1年生か2年生の頃に始めました。なかなか上手くはならなかったですけどね(笑)。受験もあったので、サッカー部ではなくフットサル部で活動していました。中学校でも最初はフットサル部に入部しました。でも、中高一貫校で立ち上げられたばかりの部で、高校1年生しかいませんでした。僕と高校1年生だけという…。やっぱり体格も違うし、全然プレーのレベルが合わなくて他の部活を探しました。好きな気持ちは変わらなかったですけどね。

その代わりに入部したのがクイズ研究部でした。逆に言えば、フットサルやサッカーをやっていなかったら、その時のタイミングでクイズ研究部に入ることはなく、今の僕もなかったかもしれませんね。多分、他の適当な部活に入っていたと思うので。

――フットサル時代、自身はどのようなタイプのプレーヤーでしたか?

オフェンスよりもディフェンスの方が好きでした。フットサルで言えば、「フィクソ」と呼ばれるポジションです。小学生時代は160cmくらいで身長が周りの子に比べて高かったので、球際の競り合いでも少し有利でしたね。しっかりと距離を取って守るのが得意で、今でもフットサルをやる時は守備が中心です。

■一時はサッカーと離れるも再び大好きに

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――高校時代は『全国高等学校クイズ選手権』で個人初の2連覇を達成しましたね。当時、そしてその後はサッカーとの関わりはどのように変化しましたか?

中学から高校にかけてサッカーを見る時間が減りました。埼玉県に住んでいたこともあり、2004年くらいから浦和レッズが好きになりました。エメルソン選手や田中達也選手が活躍していて、たくさん応援にも行きましたね。視聴環境もあって海外サッカーの視聴からは遠ざかったのですが、TVゲームではプレーしていました。

その後、2012年にゲームセンターのサッカーゲームにハマったんです。そこでよく使用していたのがトッテナムでした。トッテナムを選んだ理由は、「強いチームを使いたくなかったから」です。ロゴがカッコよくて使い始めたら、当時、現実世界のトッテナムがちょうど転換期で、ルカ・モドリッチがレアル・マドリーに移籍して、次のシーズンにはギャレス・ベイルも退団しました。チームに興味が出てきて調べて見ていくと、なんとなく「カッコいい」と思ったんですよね。発展途上だけど高い技術をもった選手たちが在籍していましたし、だんだん愛着が湧いてきました。

――東京大学に入学後は少しサッカーを見る時間も増やせたのですね。

大学時代は視聴環境も整えることができて、一人暮らしを始めたのでたくさん見ましたね。2014年のブラジルW杯は45試合くらい見ました。「6月、学校行ったっけ?」みたいな感じでしたよ(笑)。

そこからプレミアリーグを追うようになってきて、2015-16シーズンにレスター・シティが優勝するという、「ミラクル・レスター」で、改めて「サッカーは面白い」と感じましたね。スパーズもどんどん好きになっていって、「ミラクル・レスター」のシーズンは、ずっと2位で優勝争いに参加していて、でも結局ライバルのアーセナルにまくられて3位…。でも、そこもスパーズらしくて、「やっぱり、このチーム好きだな」と思いましたね。

――ここ4,5年で再びサッカー熱が高まったのですね。

そうですね。海外サッカーは、応援するチームができると、他のライバルクラブも気になるので多くの情報を能動的にインプットするようになるんですよね。サッカー熱はどんどん高まりました。しかも今は環境も恵まれていて、『DAZN』で多くの試合が配信されて視聴できるようになっていますよね。この視聴環境も大きいです。

2010年代前半にはスパーズの試合もライブではなかなかなかったですし、ビッグ6の中継も番組枠次第でしたからね。今はプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ(CL)も『DAZN』でライブ視聴できますし、やっぱり試合を見続けることで応援の熱も高まってきましたね。

――クイズプレーヤーとして圧倒的な強さを見せていますが、超一流のクイズプレーヤーからみて、クイズとサッカーという異なる2つのジャンルで「共通すること」は何ですか?

「1問正解したら勝利」とか「1ポイント先取式の個人vs個人」というのがTVのクイズの一般的イメージだと思いますが、僕が普段やっているクイズはよりロングタームです。優勝するために50問正解しなければいけないとか、1度もミスできない状況で連続正解を求められる場面も多いです。

例えば、TV番組の『東大王』であれば、決勝戦が5問先取式なのですが、これが非常にサッカーの駆け引きに近い。チーム戦ながらも早押しの個人勝負になるところや、個々の瞬発力や知識が決定打になる。もちろん、全体の戦略も大事ですし。チームのことを考えて、「今は何対何だから、攻めよう」だったり、「少しだけ慎重になって回答の確度を上げよう」だったり、リスクの取り方を考えます。

――チームとしての戦術、個人としての戦術理解度が重要視されるのは、ほぼスポーツに近いですね。

最終的に5ポイントを先取したら勝利ですが、その5ポイントを取る過程で、個人としても戦術的な変更を考慮します。スポーツの中でもサッカーに近いと思いますね。逆に言えば、僕はその視点をクイズプレーヤーとしての自分に取り入れた感があります。

例えばCLなどでは、ファーストレグとセカンドレグ、そしてホーム&アウェーがあることによって、戦い方を大きく変えるチームも多い。どんなスポーツでも戦略は重要ですが、サッカーは特にリスク管理がチームとしても個人としても求められる。それを細かく計算できる時間もあります。サッカーも必ずしも常に全力を尽くすだけではない部分があるので、そのあたりはクイズでの戦いと近いと思います。

――確かに早押しクイズもサッカーも、局面でのコンマ1秒が勝負を決定づけますね。

早押しクイズでは、ボタンを押してからわずかですが余白の時間が与えられます。実はこの時間が僕たちにとっては非常に重要。競技としてクイズをやっている人間は、「思い浮かべた答えが正解なのか」「このタイミングで回答した場合の正解・不正解確率」という感覚的な計算を自分の状況を踏まえた上でしてボタンを押します。そして、ボタンを押してから約5秒間の中で、自分が発しようとしている回答と問題を再検証して、場合によっては回答を変えることもあります。ボタンを押す、回答するという一連の流れの中でリスクとリターンを計算し、行動します。

サッカーで言えば、「ボールを受けてシュートをするまでの動き」に近いかもしれません。例えばアーセナルのアレクサンドル・ラカゼットなんかは、「自分の最良の形を作り出してシュートに持ち込む」のが非常に上手い選手だと思います。ボールの扱い方や手の使い方、「自分のスペースをつくる」のが抜群に上手い。あとはプレミアリーグの序盤戦でインパクトを残しているノリッジ・シティのテーム・プッキとか。ボールの受け方からシュートにもっていく姿勢が非常に印象的です。「ゴールが決まりそうだな」から「ゴールを決める」にもっていくアプローチ、その一瞬一瞬のディテールの詰め方は、クイズプレーヤーの回答までの流れに通じる。これが上手い選手はとても魅力に感じますね。

――一流の選手と一流のクイズプレーヤーに共通して求められる調整力ですね。

ジョゼップ・グアルディオラ監督が指揮する(マンチェスター・)シティなんかは、そのあたりがみんな上手くなっていますよね。例えばケヴィン・デ・ブライネの技術とインテリジェンスを活かすシティ。「ポジショニングだけで相手のマークをずらして、マイナスボールをダイレクトクロス、そこからファーサイドで飛び込んだラヒーム・スターリングがゴール」というシーンが第2節のスパーズ戦でありましたが、完ぺきにプレーがデザインされていました。「狙い通りの形」と言っても、ビッグマッチで完ぺきにそれを再現できる細かな調整力は本当に脱帽です。そのような場面を見ると、敵ながら感動するんです。

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