「常に上を目指す。そのための努力は惜しまない」久保建英が語る過去、現在、未来【後編】

2019-04-25-takefusa_kubo(C)Kenichi Arai

FC東京MF久保建英。その成長の根底にあるものとは何か?Goal(世界全37エディション)では毎年 「NXGN世界で最も優れた10代50人」 という企画を行っており、久保が2年連続でランクインした。日本人選手としては初の選出となる。この日本が誇る逸材の本質を探るインタビュー。過去と今を語る前編に続く後編は、自身のこれからと世界への目線について。【聞き手:川端暁彦 写真:新井賢一】

■自分はまだまだ全然できていない

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――今年は、肉体的な部分でもスケールアップした印象があります。

去年も決してフィジカルで負けていたとは思っていません。(体の)使い方の問題だと思っていました。やはり慣れですね。特に何かを変えたというわけではなく、積み重ねが今になって出てきたんだと思っています。

――個人トレーニングもずっとやっていると聞いています。

特に去年から何かを始めたというわけではありません。前から積み重ねてきたことの成果がしっかり(パフォーマンスとして)試合に出るようになってきたのだと思います。練習量を特に増やしたわけでもありません。

――ただ、成長期で単純に大きくなったというのはありますよね(現在173cm)。

そこはありますね。身長はまだまだ伸びると思っています。サッカーをやっていなかったら、185センチくらい欲しかったです。でも、今の自分のプレ―スタイルが自分でも好きなので、そこまで大きくならなくてもいいです。あと、4、5センチあればベストかな、と思っています。

――選手としてのこれからのイメージは?

サッカーに関しては、常に上を目指していきたいので。自分がこの先どうなっていくのかというのは自分が一番楽しみにしていますし、そのための努力は惜しまないつもりです。その結果、何が見えてきて、どのくらいまでいけるのか。自分の可能性を楽しみにしながら、一歩一歩、一つずつ、階段を上っていければいいなと思っています。

――やっぱりヨーロッパにもう一回戻って、あそこでチャレンジしたいという気持ちはありますよね?

それは間違いなくあります。ヨーロッパの4大リーグと言われていますけれど、そういうリーグに行きたいと思っています。よりレベルの高いところで、さらにレベルの高い選手たちと一緒に戦うのが自分の小さい頃からの目標なので。どのリーグのレベルが一番高くなっていくのかはちょっと分からないですが、最終的にはその時代の一番高いレベルのリーグでプレーしている選手でありたいと思っています。

――特定のこのクラブに行きたいというわけではないんですね。

そうですね、そのときに一番強いチームから必要とされる選手になって、そのチームに行ければいいですね。でも、2番目に強いチームへ行って、一番強いチームを倒すのでもいいです。

――メンタリティとしては常に挑戦者のマインドですよね。

きっとそうだと思います。正直、今、日本にいて結構居心地が良いんです。「日本が世界のトップリーグだったら」なんてたまに思ったりもします。でも、現実はそうじゃないので。よりレベルの高いリーグが世界にはあって、それならそこに行けるように成長していきたいし、そういう姿勢でありたいと思っています。

――逆に言うと、現状に満足しているなら「挑戦しない」という選択肢も出てくるわけです。

自分はまったく現状に満足していないんです。まだ全然できていません。あまり自分はこういう言い方をしないんですが、まだ17歳の選手なので。これから先が(まだ)あると思っていますし、自分の未来が明るいことを信じて、もっと成長していくために頑張っていければと思います。

■ピッチで年齢のことは意識しない

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▲練習では時に笑顔もこぼれる(C)新井賢一

――確かに久保選手は「17歳だから」みたいな言い方はしませんよね。年齢を絶対に言い訳にしない。

はい。そのとおりですね。さっき言ったのは、あくまでこれからのキャリアがまだまだ続くという意味です。ピッチで年齢のことは意識しないですし、「若いね」と言われることがあったら、「はい」と言うだけで特に何も(笑)。

――この前、浦和レッズの橋岡大樹選手(19歳)と話していたら、「久保選手は自分のことを同級生だと思っている」みたいなことを言っていました。

五輪代表は同い年の選手もいないですし、上の選手ともコミュニケーションを取るようにしています。しっかりいじられキャラを見つけて、そこに行きます(笑)。

――確かに橋岡選手は久保選手からいじられていましたね(笑)。逆にいじられることは?

いや、いじられることもありますね。特に東京では多いです(笑)。でも、大丈夫ですよ。みんないじり、いじられ、みたいな感じなので。なんかそういうのが好きですね。

――U-17日本代表では一発芸とかみんなやっていました。

U-17の時はみんなやっていましたね(笑)。誕生日とか、そういうときに。でも、もう(五輪の)代表ではやっていないです。みんな大人になったので(笑)。

――ご自身にとって、「日本代表」をどう位置づけていますか?

やはりその国の、日本代表のレギュラーになるということは、その国で最低でも11番目にはサッカーがうまい選手ということですよね。そう認められる時点で非常に名誉なことだと思います。もちろん、選考基準はそれぞれの監督によると思いますが、その時どういうサッカーを日本代表がしていたとしても、選ばれるような選手になっていたいと思います。

――やはりその話に戻ってくるんですね。日本代表は大きな目標?

はい、それは日本人なので。目標です。

――ワールドカップは意識していますか?

はい、いつもテレビで観てきましたし、世界はW杯になったら仕事も切り上げて観に来るくらい熱気があると思います。特別な大会ですよね。自分もW杯は夜中であっても観るようにしていました。前回のロシア大会は現地まで観に行くことができて。何て言えばいいんですかね、もう本当に「すごいな」という……。完全に観客の気分で観ていました。でもやっぱり、観る側より魅せる側でいたいと思っているので。そういう意味ではあらためて出てみたいな、と思いました。

――当時U-19日本代表の一員としてロシアに帯同して、実際に一緒にA代表の選手と練習もしました。

練習と試合ではまるで違いますから。もちろん、代表選手は練習でも100%を出していると思いますが、いざ試合になったら100%を超えて120%まで出している感じでした。練習を観たり、一緒にやったからこそ、試合でそれ以上のものを出してくるんだということがすごく分かりました。そういう意味でも、やっぱり良い経験になったと思います。

■16歳で経験したU-20W杯の衝撃

2019-04-25-takefusa_kubo(C)J.LEAGUE

▲今季J1では開幕戦から主力としてプレーする(C)J.LEAGUE

――自分が代表選手として戦った2017年5月のU-20W杯韓国大会(ラウンド16で準優勝国・ベネズエラに敗戦))、同年10月のU-17W杯インド大会(ラウンド16で優勝国・イングランドに敗戦)をあらためて振り返ってみると?

U-20はやはり衝撃がありました。すでに世界で活躍しかけている選手が何人も参加していましたから。実際にそういった選手のことを追っていたら、1年後にチャンピオンズリーグに出ている選手もいましたし。

――対戦した中に限っても、A代表へ入っているような選手もたくさんいます。

本当にA代表へも入ってきているし、欧州のリーグ戦に出ている選手もいますよね。観ていて、「あ、この選手の名前は聞いたことあるぞ。あのときの選手だ」というのが何人も出ていますからね。「あのときのU-20W杯に出ていた選手から、そういう選手が出てくるんだな」と思いました。「20歳になったら、このくらいじゃないといけないんだな」とも思いましたし。身体能力も本当にずばぬけた選手が何人もいました。

――逆に言うと、その物差しは「成長して届く距離だ」だったのか、それとも「これはちょっとヤバいぞ」という感覚だったのかどちらでしたか?

「ヤバいぞ」とはまったく思わなかったですね。逆にもっとヤバい選手がいることも分かっていました。U-20W杯に出場する年代の“トップ・オブ・トップ”は、それよりさらに上の年代の代表に選ばれていてここにはいないんだとも思っていましたから。逆に「20歳になった時、ここに出ているようじゃダメだぞ」という思いでした。

ただ、U-20に関してはやっぱり『自分は下の年代』という意識がどこかにあったと思います。だからU-17に関しては、もうとにかく、本当に負けた時点で悔しくて……。(PK戦で敗れたラウンド16のイングランド戦も)自分は勝てた試合だったと思っていますし。

――あの大会ではグループステージでフランスとも戦いましたが、同じように勝てたのにという感覚ですか?

フランス戦に関しては、自分たちが試合前にちょっと過信していたところがあったと思います。思っていたよりも、やられてしまったという試合内容でした(1-3で敗戦)。でも、イングランド戦はしっかり集中して試合に入れていたのでもっとやれたと思います。もちろん、ある程度やられてしまった部分もありますが、自分たちもチャンスを作っていたので。その中で何回か自分にも得点するチャンスはありました。それを決めていたら、試合は終わっていたので。PK戦で負けた後は、いろいろなことを考えました。その後、イングランドがブラジルにもスペインにも大勝して最後は優勝していくのを見て、「ああ、もし自分が決めて日本代表が勝っていたら、どうだったんだろう」とは思っていましたね……。

――やはり悔しかったんですね。

はい。もう、それだけです。

――あの時のイングランドはまさに今、A代表に入っているような選手もいたわけです。そういう意味で一つの基準になったのではないでしょうか。

でも、ドルトムントのサンチョ選手とはやれなかったので。

――サンチョはクラブの要請でラウンド16の直前に帰っちゃったんですよね。

はい。U-15日本代表の時に一度試合をしていて、その当時からすごい選手だなとは思っていましたが、あそこまでの選手になるとは思っていなかったですね。だからやってみたかったです。

実際に対戦した中ではチェルシーのカラム・ハドソン=オドイ選手(64年ぶりにイングランドのA代表最年少出場記録を更新した若手選手)が、「この選手は本当にすごいな」と思いました。チェルシーでも活躍していますし、あの試合でも日本の右サイドバックだった(堅実なプレーに定評のある)喜田陽選手(アビスパ福岡)があんなにやられるなんて驚きました。

やっぱりオドイ選手やサンチョ選手のような速さのあるタイプは、若くてもどんどん使ってもらえる印象があります。ただ、自分も彼らにはない良いものを持っていると思っていますし、それを証明できる場所がやっぱり世界大会だと思っています。そういう違う部分を、国際試合では見せていけたらいいかなと思います。

――マンチェスター・シティのフィル・フォーデンはどうでした? 大会のMVPでした。

彼は最初に挙げた二人のような、足の速さであったり、目に見えてすぐ分かるような凄さがあるというタイプの選手ではないですよね。でも、サッカーを知っている人からすると、非常に厄介な選手だなと感じるタイプだと思います。ボールの持ち方とかも独特ですよね。マンチェスター・シティの中でも、きっと期待されている選手なんだろうなと感じますし。もし自分がこのあとに欧州のトップリーグでプレーしていたとしたら、当然対戦することになる選手なんだろうなと思います。

■圧倒的なスピードのある選手がかなり好き

2019-04-25-takefusa_kubo(C)Kenichi Arai

▲サインも左。ファンサービスにも丁寧に対応する(C)新井賢一

――やっぱり世界のサッカーはかなり観ているんですね。

観られるときは観ているくらいです。でも、チャンピオンズリーグは結構観ていますね。

――どういう選手が好きなんですか?

自分は図抜けてスピードのあるタイプではないので、そういう圧倒的なスピードを持っている速い選手がかなり好きですね。観ていて楽しいんです。

――ムバッペ(パリ・サンジェルマン)とかですか?

あと、ドウグラス・コスタ選手(ユヴェントス)とか好きです。そういう選手は「うわ、すごいな」と思います。

――ウイングのポジションで対面のDFをぶっちぎっちゃうようなタイプ?

あと、「こんなシザースはちょっとできないな」とか思わせてくれる選手ですね。自分にはできないようなプレーをやってのける選手には憧れます。

――クリスティアーノ・ロナウド(ユヴェントス)は?

身体能力が本当にすごいですよね。偉大な選手だと思います。でも、自分は若い頃のプレースタイルのほうが好きだったんです。マンチェスター・ユナイテッドにいたくらいの、ウイングのポジションから速くて上手いドリブルを繰り出しているときですね。

――ウイングが好きなんですか?

そうですかね。ウイングの選手が多分一番フリーでドリブルができますよね。そういう意味で言うと、ウイングの選手が観ていて一番楽しいと感じるのはあると思います。

――チームだとどうですか? 昔このチームが好きだったとか、今はここが好きだとか?

チームはあまりこれというのはないですね。どこのチームが特に贔屓という感覚はありません。サッカーとしておもしろいと感じるのは、今だとリヴァプールです。観ていて「すごいチームだな」と感じます。これは「好き」とは少し違う感覚で、「すごいな」という感覚です。

――リヴァプールも足の速い選手をそろえているチームですよね。やはり、そういうチームが好きなんですね。

好きですね、やっぱり。速くてうまいそういう選手が。強豪クラブなら、どこのチームにもそういうタイプはいると思うんですけれど、そういう選手はやっぱり観ていて「すごいな」と思います。

――プレー的には、どちらかと言うと、そういう選手を操る側ですよね。

チームにそんな選手がいてくれたら助かりますよね。自分のところにマークが集中しないですし、その選手がいたらきっと自分も決定的な仕事をやりやすいだろうなと思います。そういう選手をオトリにしておいて自分が生きるとかそういうイメージが沸きます。でもやはり、まずは観ていて楽しいというのが一番です。

■今のプレー、成長を見ていてほしい

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▲Goal選定NXGN来年は何位だろうか?(C)新井賢一

――自分と違うタイプの選手が好きということは、人のプレーを観て参考にする感じではないんでしょうか?

あまりそういう見方はしていないですね、確かに。自分の出ていない試合のサッカーを観るときは、研究とか勉強というより、まずは楽しんでいる感じです。ほぼ観客です(笑)。

――やっぱり、サッカーが大好きなんですね。

はい。大好きです。

――Jリーグだとどうですか?

Jリーグ王者の川崎フロンターレは、一人の選手がどうというより、チームとして印象に残っています。(今季開幕戦で対戦して)前半からボールを持たれてしまって、もう一生ボールを回されるのではないかと思いました(笑)。一度、「もうすぐ終わるかな?」と思って時計を確認したらまだ15分しか経っていなくてビックリしたのを覚えています(笑)。

――逆に、世界の人たちに「久保建英のここを見てくれ、楽しんでくれ」と言うとしたら、何でしょう?

何ですかね? でも今のプレー、成長を見ていてくれたらいいかな、と思いますね。

――どんどん進化してやるぞ、と?

はい。そうですね。いまGoalの49位だと思いますが、自分はもっと上だと思っているので、頑張ります。これからの成長で、それを証明してみせます。

【前編はこちら:世界のどこであっても、必要とされる選手になりたい」久保建英が語る過去、現在、未来】

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

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