残り2節を残し、J1首位に立つ横浜F・マリノス。明日の第33節で川崎フロンターレから勝利を奪い、勝ち点1差で2位につけるFC東京が浦和レッズに敗れれば、2004年以来の優勝を果たすことになる。とはいえ、川崎Fは簡単に勝てる相手ではない。では、この試合のカギはどこにあるのか。【取材・文=藤井雅彦】
■ボールを持ちたい両者の戦い
©Goal横浜F・マリノスは昨季就任したアンジェ・ポステコグルー監督の下で生まれ変わった。長年の伝統だった堅守から180度方向転換し、攻撃に軸足を置くアタッキングフットボールを志向。今季はここまでリーグ最多61得点を挙げている。
他チームからの見え方は大きく変わり、一定以上のリスペクトを受けているようだ。チームの中核を担う喜田拓也の言葉を借りると「相手の立場になって考えてみると『マリノスにボールを持たれるのは仕方ない』という思考になっているチームが多い気がする」。
対戦相手の多くは、横浜FMと同じ土俵で勝負してこない。ポゼッションを半ばあきらめ、システム変更も活用して自陣を固めてからの速攻に勝機を見いだす。順位表の下位に沈み、個々の能力を切り取っても厳しいチームであればあるほど、その傾向は強くなる。
しかし今週末に激突する川崎フロンターレは違う。ボールを持ちたいマリノスと、ボールを持ちたいフロンターレ。勝つための方法論は、両者よく似ている。つまり今節は久しぶりの真っ向勝負が予想されるのだ。
選手たちは口々に言う。「フロンターレは強い」と。
2018年に横浜FMがスタイル転換してから3度の対戦成績は2分1敗。勝敗だけで見ると大きな差はないように思えるが、例えば引き分けた今季の前半戦も川崎Fのポゼッションに手を焼いた。試合終了間際にセットプレーから同点に追いつくのがやっとで、その時点での完成度には確実に開きがあった。
加えて言えば、開幕から3試合目で対戦した当時の川崎Fは、ACLを含めた過密日程もあって万全の状態には程遠かった。そして試合前のウォーミングアップで先発を予定した大島僚太にアクシデントが発生し、急きょ先発を変更した経緯も無視するわけにはいかない。
■主導権を握られたときには
©J.LEAGUE喜田とともにダブルボランチを担う扇原貴宏は強者との対戦に向けて慎重な姿勢を崩さない。
「フロンターレはJリーグで一番上手いチーム。それに前回対戦の時は大島がいなかった。彼がいるかいないかでサッカーがまったく違うものになる」
大島のいる川崎フロンターレをいかにして上回るか。それが試合の焦点だ。
先に記したように、まずは前年度王者の胸を借りて正面からぶつかるだろう。スローガンの『勇猛果敢』を体現し、攻撃も守備もアグレッシブに戦う。「自分たちが積み上げてきたものへの自信」(喜田)は、32節を終えて首位という現在順位が何よりの証明になっている。
それでも対戦相手は、選手の誰もが理解しているように一筋縄ではいかないチームだ。ポゼッションで後手に回り、主導権を握られる可能性は否定できない。
以前の、例えば昨季の横浜FMならば、それでも無謀なハイプレスとハイラインを頑なに貫き、ミスも絡んで自滅のような失点で敗れてしまっていた。スタイルを貫くことが目的となって一本調子なサッカーに終始していた時期も、たしかにあった。
だが、5連勝で首位に立った今は違う。自分たちのサッカーを貫きながらも、状況次第で続けるか否かの判断と決断を、選手たちが自主的に行うようになった。
誤解のないように補足しておくと、それはスタイルの放棄でもなければ、ましてや指揮官への造反でもない。勝利への欲求を起点とした選手の成長であり、ピッチで戦う11人が主体性を持って考えている証拠なのだ。
■軸足を置くのは自分たちだが
(C)J.LEAGUE喜田は毎試合前に「すべてがうまくいくわけじゃない。いろいろなことを想定して試合に入っている」と繰り返す。軸足を置くのは自分たちのスタイルだが、対戦相手あってのサッカーは目まぐるしく状況が変わる。スコア推移によってプレーの選択肢が変わるのは当然のこと。
扇原も「全部が全部ボールをつなぐではなく、割り切って戦うことも大事」と同調する。意地になってボールをつなぐ頑固な姿勢がすべてではない。選手たちは状況に応じてベストな選択をしていく。
安定感を増した横浜F・マリノスは、優勝に王手をかけている。
直近5試合で4得点と絶好調の仲川輝人は、プレッシャーよりも今の状況が楽しくて仕方がないといった様子で話した。
「残り2試合の相手は強い。でも優勝するためにはこういうチームを倒さないといけないのが宿命。自分たちの力を証明するにはいい相手だと思う」
特長こそ異なれども、川崎フロンターレもFC東京も強いチームであることに疑いの余地はない。事実、昨季も今季もその難敵たちから白星を勝ち取れていない。だからトリコロールは最後まで挑戦者なのだ。
勝つことで優勝に値するチームであることを証明しよう。横浜F・マリノスの強さと成長を見せるのに、これ以上ない舞台が整った。
文=藤井雅彦
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

