2019シーズンの明治安田生命J1リーグは優勝争いのみならず、残留争いも佳境を迎えている。ラスト2節となったいま、J2降格が決まっているチームはなし。勝ち点36で並ぶ13位・浦和レッズ、14位・サガン鳥栖、15位・清水エスパルスは、自動降格こそ免れたものの、J1参入プレーオフ出場圏の16位に転落する可能性を残している。
また、勝ち点32の16位・湘南ベルマーレと同30の松本山雅FCは自動残留、参入プレーオフ、自動降格と、すべての可能性を残す状況。最下位に沈む勝ち点28のジュビロ磐田は、すでに16位以下が確定したため、残り2試合で16位に浮上し、2年連続のプレーオフで生き残りを目指すしかない。
この6チームがどんな状況でクライマックスを迎えることになるのか。それぞれの思惑が渦巻く混戦模様のJ1残留争いを展望していく。
■13位: 浦和 [勝ち点36・得失点差-15]
★残留へのポイント:ACLの悔しさをFC東京戦にぶつける
11月24日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦でアル・ヒラル(サウジアラビア)に0-2で完敗し、アジア王者の座を逃した浦和。リーグ戦の不調に加えて意気消沈ムードが漂うかに思われたが、守護神の西川周作が「これをJリーグに生かさなければ意味がない」と語気を強めたように、来季は再びACL出場権を獲りにいくつもりだ。
そのためにも、まずはJ1残留を確定させ、可能であれば2連勝でシーズンを終えたいところ。その相手はFC東京とガンバ大阪。浦和にとってFC東京は“お得意様”と言える相手で、2014年からリーグ戦で11試合無敗を継続中。3月の前回対戦では、FC東京が1点をリードして後半アディショナルタイムに突入。このままFC東京勝利かと思われたが、終了間際に森脇良太が値千金の同点弾を奪い、1-1の引き分けに持ち込んでいる。
ラスト2試合はエース・興梠慎三のJ1得点王獲得が逆転で叶うかどうかにも注目が集まる。現在トップを走るマルコス・ジュニオール(横浜FM)との差は3点。不振に陥るチームをゴールでけん引してきたエースを、チーム全体で後押ししたいという思いも強いだろう。あらゆる意味でモチベーションの高い浦和がJ1を残留する確率はかなり高そうだ。
■14位: 鳥栖 [勝ち点36・得失点差-18]
★残留へのポイント:チーム全体が復調傾向
11月10日に行われた第31節・松本との直接対決を1-0で制し、さらに23日の32節・名古屋グランパス戦も0-0で引き分けたことで、J1残留に大きく近づいた鳥栖。彼らの残り試合は札幌と清水。まずは目先の札幌に勝って残留確定させることが最初のテーマとなる。
ここ最近の復調傾向の大きな要因と言えるのが堅守だ。11月に入ってからは2日の横浜F・マリノス戦こそ1失点を喫しているものの、松本と名古屋戦の2試合はいずれも無失点。高橋秀人と高橋祐治の“ダブル高橋”が統率する最終ラインは安定感を増している。
強固な守備はミハイロ・ペトロヴィッチ監督率いる札幌が、破壊力抜群の攻撃を兼ね備えていても、そう簡単には崩せないはず。まずは失点ゼロでしっかりと試合をコントロールしたい。
そのうえで、豊田陽平と金崎夢生という強力2トップ擁する攻撃陣がゴールという結果を残せば、彼らは残留にグッと近づく。シーズン序盤は得点力不足で苦しんだ彼らだが、金崎、クエンカ、豊田に加えて、原川力や金井貢史も得点力をアップさせている。彼らが決めるべきところで決めてくれれば、鳥栖のJ1残留は実現する状況にあるだろう。
■15位: 清水 [勝ち点36・得失点差-24]
★残留へのポイント:早い時間帯の失点回避
清水は次節のセレッソ大阪戦、最終節の鳥栖戦のいずれかで勝てば清水のJ1残留も決まる。前節は大分トリニータと1-1で引き分けて連敗を4でストップしたものの、未勝利は続いており、停滞感が拭えない。
勝てば残留が決められる一方で、残り2試合で勝ち点を落とすようなことがあれば、プレーオフ圏の16位に転落する可能性もあり、決して油断はできない。いかにして失点をせず、自分たちのリズムに持ち込むかが最重要テーマと言っていい。
ドウグラス、ジュニオール・ドゥトラなど決め手のあるアタッカーがいて、最低1点は取れる力があるだけに、あとは守備陣の忍耐力次第で残留への光が見えてくる。残り2戦のうち1つでも勝てれば自力残留というアドバンテージを最大限に生かしたいところだ。
■16位: 湘南 [勝ち点32・得失点差-24]
★残留へのポイント:最終節の松本戦が天王山か
曹貴裁前監督のパワハラ騒動が起きてからというもの、リーグ戦10試合未勝利と非常に苦しい状態にある湘南。それでも、浮島敏監督就任後は少しずつ立て直しが進んでいて、11月に入ってからは不安定だった守備が大きく改善した。
31節のセレッソ大阪戦では敗れはしたものの、0-1の最少失点であったのに加えて、続く32節のFC東京戦は、先制点を奪って3ポイント獲得寸前まで行った。この試合内容に指揮官も選手たちも大きな自信を得たことだろう。
ただ、自動残留圏となる15位浮上へはラスト2試合で4ポイント以上が必要となる。次節の相手であるサンフレッチェ広島は、ACL圏の3位に入る可能性は消えたものの、鹿島アントラーズが天皇杯で優勝すれば4位にもACL出場権獲得のチャンスが回ってくるため、まだモチベーションを失っていない。この試合も本気で勝ちにくるはずだ。
広島戦を良い結果で終えることも重要だが、湘南にとっての天王山は松本との最終節になる可能性が高い。プレーオフ進出も視野に入れつつ、あらゆる状況でも対応できるようなタフなメンタルを持つことが苦境脱出のカギになる。
■17位: 松本 [勝ち点30・得失点差-16]
★残留へのポイント:得点力不足をどう打開するか
9月29日の第27節・FC東京戦から、2トップシステムを採用したことで、一時は勢いが出ていた17位の松本。しかし、キーマンのセルジ―ニョと町田也真人の離脱によって攻撃の厚みがなくなり、11月に入ってからは1分2敗と再び停滞感に包まれている。
30節のC大阪戦は杉本太郎のゴールで何とか1-1に持ち込んだものの、続く31節の鳥栖戦と32節の横浜FM戦を0-1で敗れて、2連敗。リーグでの得点数はJ1ワーストの19という得点力不足を如実に示す状況に反町康治監督も頭を悩ませている。
残り2試合はガンバ大阪と湘南が相手。J1残留が決まったG大阪は、宇佐美貴史やアデミウソンらFW陣が勢いに乗っており、3ポイントを奪うのは容易ではない。2連勝しなければ自動残留の可能性はなくなるため、最終節の湘南戦に望みをつなぎ、そこで勝って16位に滑り込み、プレーオフで生き残るというのが現実的なシナリオだ。
そのためにも何とか得点の取れる形を見出さなければならない。新戦力・イズマらのブレイクに期待するしかないだろう。
■18位: 磐田 [勝ち点28・得失点差-20]
★残留へのポイント:攻撃陣は活性化。あとは勝利あるのみ
前節、札幌に勝利して辛うじて降格を免れた磐田。しかし、勝ち点28とすでに15位以上の可能性はなくなり、生き残るためには16位でプレーオフに出るしかない状況となっている。残る相手は名古屋と神戸。次節、引き分け以下に終わると、その時点で降格が決定。まさに、勝利しか許されない戦いとなるが、仮に勝利したとしても、湘南が勝った時点で残留への望みがなくなる。まずは自分たちが白星を挙げ、湘南や松本が取りこぼすのを待つしかないのが、いまの磐田の現実なのだ。
とはいえ、8月下旬のフベロ監督就任後は、チーム状態が着実に改善しているのも確か。11月に入ってからは清水と札幌相手に白星を挙げている。失点の多さは相変わらずだが、攻撃陣は確実に活性化していて、最大の得点源であるアダイウトンが復調。監督交代まで出番のなかった藤川虎太朗も前線に勢いを与えている。
こうした面々がさらに結果を出せば、名古屋と神戸という相手を倒せる可能性は少なからずある。いま、彼らにできるのは、人事を尽くして天命を待つこと。それだけだ。
文=元川悦子

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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です
